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第四十八話 伸治のターン 反撃


「覚醒解放!!!」


 伸治の声が響き渡った。

 大輔は身体中に緊張を漲らせて、これから起こることに耐え――


「グファああああああ!!!」


 そう思ったときにはすでに伸治の拳が大輔の腹に炸裂していた。

 大輔はそのまま吹き飛ばされた。

 そして、壁に激突、はじき返されて地にひれ伏す。


 腹を殴られ、背中を強打した為、息が出来ない。

 その場で蹲って何とか耐えていると、痛みはすぐに引いてきた。

 涼子の魔法のおかげかダメージはない。

 それは鑑定で確認してある。


 ただ、地面に激突した時に口のあたりを切ってしまったようだ。

 血の味と口の中に入った砂利の感触が気色悪い。


 大輔は視線を上げて伸治の表情を伺う。

 彼は追撃することなく。

 大輔を見下ろしていた。


「これで終わりじゃないよな」

 

 伸治の声に大輔は立ち上がることで返答した。

 伸治が構えを取る。

 大輔はそれに対して何もしない。

 

 というか何もできない。

 ただでさえ勇者というのはチートな職業なのに、今はその勇者固有のスキルを使っているのだから。


 そうそれが『覚醒』


 勇者しか使えない。壊れスキル。


 覚醒:発動後すべてのステータスが10倍、スキル効果が3倍

    HPが全快、SP、MPの消費が0になる。

    ただし、発動時間は10分、

    発動後、三日間はステータスが三分の一に

    SP,MP最大値が十分の一になる。


 このスキルを使われた時点で大輔には対処のしようがなかった。

 いままでさえ伸治の動きを目で追うのが精一杯だったのだ。

 いまは彼の動きが線にすら見えない。


 その証拠に


「がはぁ」


 立ち上がった傍から膝から崩れ落ちた。

 大輔の腹にアッパー気味のパンチが叩き込まれる。

 腹から根こそぎ空気を奪われ意識が飛びそうになるが何とか伸治を見て笑う。


 ゼロ距離で火炎属性の爆裂石を使う。

 この距離では自分にもダメージを受けるが躊躇しない。

 というか、そんな余裕はない。

 それにまだ涼子の魔法の効果時間内だ。


 爆発の衝撃に煽られて大輔は吹き飛ばされる。

 大輔は抵抗する気力もなくゴロゴロとゴミのように地面転がり、壁にぶつかる。


 だが……


 伸治は涼しい顔でその場に佇んでいた。

 かなりの強力な物でこの城の壁でさえ破壊できるような代物だ。

 いくらステータスが跳ね上がっているにしてもダメージは通るはずなのに……


 まあ、予測の範疇だが。


「光属性付与か?」


「お前達だけの切り札じゃないだよ」


 伸治が大輔に迫り蹴り上げる。

 ボールのように天高く舞い上がりそのまま地面に叩き付けられる。

 背中から着地した大輔は二度ほどバウンドして天を仰いだ。


「この辺で降参したらどうだ。お前はオレに勝てない」


 冷たく吐き捨てる伸治の姿を大輔は今まで見たことがなかった。

 伸治がこんな黒い部分を持ってるなんて思いもしていなかった。

 大輔は震える足を何とか掴んで立ち上がる。


「覚醒のデメリットを知ってるんだろう。十分間耐えればいいとか思ってないか?」


 確かにそれは良い手だ。

 十分間耐えきれば伸治のステータスは三分の一になる。

 それでもまだ向こうが上だが、SPとMPの上限が下がるのでスキルや魔法が思ったように使えなくなる。

 それを考えるとこちらが優位だ。


 だが、大輔の狙いはそこにはない。


「そんなに長いこと待っていられないな。オレはお前を叩きのめすためにこの場に立ってるんだ。お前の最大の切り札『覚醒』を覆さないと意味がないだろう?」


 そうにニヒルに笑って見せる。

 そうここからが本番なのだ。


いつもお読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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