第四十五話 決闘中 涼子のターン 降参
最近短めですみません。
今回も短いです(-_-;)
既に魔法の詠唱は終えていた。
あとは発動の魔法名を言えば良いだけ。
涼子は淡々とその魔法名を告げる。
「リフレクトシールド」
涼子の前に円形の光の盾が現れた。
そして、その光の盾に絢奈が放った暗黒の閃光が直撃する。
「きゃあああああ!」
暗黒の光は反射し、まずはみな実に直撃した。
魔法が撥ね返されるなんて思っていなかったのかみな実は驚愕の表情のまま、光の粒子へと変わっていく。
それを呆然と見ている絢奈。
そして、暗黒の光が自分へと迫ってくる。
涼子が盾の角度を調整しているのだ。
ここで魔法を止めればよかったのだが、みな実を攻撃してしまって気が動転しているのか絢奈はそんな事を考えることが出来ない。
そして
「うおおおおおおおおお!」
西郷が絢奈を守る為に前に出て、魔法を弾き飛ばそうと拳を繰り出す。
しかし、今の西郷のレベルでは絢奈の魔法に耐えられなかった。
一瞬だけ拳と閃光が拮抗したが、すぐに拳は弾き飛ばされてそのまま身体ごと光の粒子に変わっていく。
「あわわわわわ」
頭は良いのに、いや、頭が良すぎて想定の範囲外のことにあうことがなかったのだろう。
予期せぬことに対処する能力が絢奈には致命的に欠けていた。
混乱の拍車が止まらない絢奈に無慈悲にも暗黒の閃光が迫る。
…………
絢奈は光の粒子へと変わり舞台に沈黙が舞い降りた。
「これで形勢逆転かな?」
大輔は伸治に向かってそう告げる。
4対2で圧倒的優位だったはずなのに形勢は完全に逆転していた。
いま起こっていることが信じられないのか、伸治は呆然と絢奈たちがいた方を見ている。
ただ、剣先だけは隙なく大輔に向かっているのは彼の凄さだろう。
そんな伸治を見ながら、涼子が大輔の隣に立つ。
伸治が二人を忌々しそうに睨んだ。
「全部計算づくか?」
伸治の呟きに素直に大輔は頷く。
「ホーリーシールドが完成した段階でお前たちのお前たちに攻撃手段は残されていない。だけど、それはこちらも同じだ。オレ達では伸治や西郷、日高さんにダメージを与える手段はない。これじゃあ、引き分けだ。それでは決闘した意味がない」
「だから、絢奈を利用したってわけか」
「まあ、丁度、鬼頭さんはイライラしてたからね。利用させてもらった訳だ」
「じゃあ、ホーリーガードの話をしたのも」
「ああ、闇魔法でこちらを攻撃してもらうためだ。渾身の魔法をノーダメージで防がれた後に挑発すればきっと闇魔法を撃ってくると思ってたからね」
「どれだけスゴイ魔法でも来るとわかっていれば対処のしようはあるものよ」
ドヤ顔で言ってのける、涼子。
そんな涼子に大輔は肩を竦めながら苦笑いで答える。
伸治は激しく唇を噛んでいた。
そんな伸治を見て二人は溜息をもらす。
そして
「じゃあ、わたしの出番はこれでお仕舞いね」
「ごくろうさん」
視線を伸治に固定したまま、大輔は涼子を労う。
「じゃあ、あとはよろしく。わたしは降参するわ」
微笑みながら涼子は降参を宣言し光の粒子へと変わっていった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
冒頭でも書きましたが、最近短めですみません。
幕引きを考えるとどうしてもこの辺で切りたくなってしまいます。
と言う訳でこの章もいよいよクライマックスです。
これからもよろしくお願いいたします。