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第四話 神の加護 ステータス

「まず、この世界には神様の加護がございます。それにより自分の実力を把握し危険な魔物と戦えるか判断するのです。それが神の加護 ステータスです」


「ステータスですか?」


「はい。ステータスです」


 どうやら聞き間違いではないようだ。

 ゲームでお馴染みの言葉に首を傾げることしか出来ない。

 だが、そんな細かいことを気にしているのは大輔だけだったみたいだ。

 なまじ知識があると言うのは厄介な物である。


「それでは説明するより実際に見て貰う方が早いでしょう。どなたかこのオーブに手を翳してくださいませんか?」


 そういって占い師が持っていそうな大ぶりの水晶玉を前に出した。

 これが鑑定のオーブらしい。

 大変貴重な魔導具らしく丁重に扱うように注意された。


 誰が使うか視線で確認する六人。

 そして、やはりと言うか伸治が名乗りを上げた。

 みんなの了承を取ると伸治はオーブの上に手を翳す。

 

すると


「なんだ、これ。目の前に何か文字が出てきてるんだけど」


 伸治が驚いて声を上げる。

 王女はそれを微笑ましく見ながら


「いまは勇者様にしか見えない状態になっています。よろしければわたしたちにも見せてはいただけませんか。念じていただければ誰でも見られるように出来ますので」


「わかった」


 そういうと伸治は目を瞑って何やら念じているようだ。

 すると、空中に半透明のプレートが浮かびあがりそこに文字がつづられている。

 内容は以下の通りだ。



 名前 真藤伸治

 年齢 十六歳

 性別 男


 ステータス

  Lv1

  HP :650

  MP :260

  SP :182

  STR:192

  AGI:194

  VIT:140

  INT:174

  DEX:183

  DEF:131

 MDEF:156


 職業 勇者

 称号 召喚者

 取得スキル

  異世界言語

  魔法の才能Lv1

  剣技Lv1 盾術Lv1 身体強化Lv1

  光魔法Lv1 身体強化魔法Lv1

  覚醒


 以上だ。

 本当にゲームみたいだなあと思いながらも基準がどの程度かわからないのでこれが強いのか、弱いのか、何とも言えない。

 だが、それを見た王女と近くにいた兵士がどよめいていた。


「何かおかしなことが書いてある?」


 王女たちの反応を見て不安そうな声を上げる、伸治。

 王女は慌てて首を振って否定した。


「違います。と言うかこのような文字を見たことがなくて読めません」


 ああ、なるほど。

 よく考えてみれば異世界人に日本語が読める方がおかしい。

 王女を始め、ここにいる住人は全員、普通に日本語を話していたので気付かなかった。

 逆になんで日本語が通じるのか疑問に思わなかった自分が恥ずかしい。


 それにしてもなんで伸治のステータスは日本語で表示されたのだろう。

 元々、ステータスは本人の実力を知るための加護だと言っていたから、表示はその者が知る言語で表示されるということだろうか?

 王女たちの反応を見ると、普通は異世界の文字で表示されているのだろう。


 ならば

 大輔は伸治に耳打ちしようと近づいたが時すでに遅しだった


「オレのステータスだけど――」


 なにバカ正直に答えてんだよ。

 現状、こいつらは敵か味方か分かんないんだぞ。

 切り札は隠しておかないといけないじゃないか! 

 こいつのことだから王女のことをすっかり信用しているんだろう。

 最初にこいつのステータスを見せたのは間違いだったと後悔していた。


 そんなことを考えている間にも伸治はステータスを読み上げていく。

 それに従って王女たちの顔つきが変わってきた。

 それに気付いた伸治がステータスの数値部分を読み上げたところで止まった。


「どうかしましたか?」


「いえ、あまりにも高ステータスなので驚いているのです。伸治様のステータスは騎士には届きませんが隊長格の兵士とほぼ同等です。しかも、その兵士は大体Lv30くらい。それに比べて伸治様はLv1。もし同じくらいまでレベルを上げたらどこまで上がるか……」


 息を飲む王女。

 その驚き方を見るに伸治のステータスは予想以上の高さなのだろう。

 ステータスの数字に目を向けるみんなを余所に大輔の視線はその下を見ていた。


「職業 勇者?」


「勇者ですか! 本当に! やはり伸治様が勇者様なのですね」


 そう言って王女は伸治に近寄り、手を包むように握り込む。

 そして、顔がくっつくかと言う距離で見上げる王女。

 その瞬間、空間に亀裂が走るような音と約二名からどす黒いオーラが解き放たれたのには全力で気付かない振りをする。

 そんな空気を王女は気にした様子もなく王女は手を上目遣いのまま説明を始めた。


「ああ、説明がまだでしたね。ステータスには能力を数値化したものとは別にその者の職業、称号、習得したスキルも表示されます」


「勇者は職業なのか?」


 伸治が王女の目を見詰め返して問いかける。

 そこで初めて自分の取った行動に気付いたのか、王女は頬を染めて手を放した。

 ただ、距離感はあまり変わっていない。


「はっ、はい。勇者は職業となります。ステータスはその人に最も適した職業を示します。そして、この職業には特殊な恩恵やスキルが付いてきます。この高いステータス値が『職業、勇者』の恩恵だとすれば納得ができます」


 なるほど、その者の適性を見極めるだけでなく職業には恩恵が付いてくるわけね。

 それにしてもやっぱりこいつが勇者なんだなあ。

 少しがっかりしたのはここだけの話だ。


「それで他にも称号とかあるけどこれにも意味があるの?」


 大輔が余計なことを考えている間に絢奈が王女と伸治の間に割って入りながら聞いている。

 言葉の端々に険が見られるのは分かりやすい嫉妬だろう。

 近付き過ぎだと牽制しているのがよくわかる。


「どのような称号があるのですか?」


 この後、称号やスキルについての説明もあった。

 『称号、召喚者』は召喚者全員にあるものなのだろう。

 恩恵は多分、スキル、異世界言語か

 なるほど、この異世界言語のスキルが異世界の言葉を翻訳してくれているわけね。


 どうやら、本当にラノベのような異世界無双話の様相を呈してきたと若干心躍らせる大輔だった。


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