第三十八話 穏やかな日常
更新遅くなりました。
試練の祠に訪れてから一週間が経過していた。
その間、何も変わったこともなく経過している。あの後も伸治たちは訓練に励んでおり、一日おきに王都近郊のダンジョンに挑戦しているらしい。
ただ、伸治たちの実力からすればかなり格下のダンジョンなので少し物足りないと不満を言っていた。
そうそう、城に帰って来てから涼子と伸治には黙っていた重要なスキルについて話して置いた。
伸治のスキル
覚醒
発動後すべてのステータスが10倍、スキル効果が3倍
HPが全快、SP、MPの消費が0になる。
ただし、発動時間は10分、発動後はステータスが三分の一に
SP,MPが10分の1になり三日間どのような手段でもそれ以上は回復しない
涼子のスキル
聖女の祈り
発動すると味方と認識するすべての人間のHP、MP、SP全回復
状態異常の回復
10分間、本人を中心に攻撃無効化の結界を生み出す。
味方以外は結界内から排除される。
結界消失後、本人は昏睡状態。
味方の数、結界の大きさによってその時間が決まる
(例、五人パーティー時は三日間)
これを聞いて伸治はなんでそれをあの時教えてくれなかったか怒っていた。
だが、あの時教えていたらきっと彼は覚醒を使っていただろう。
そして、周りをピンチに陥らせていた。
覚醒スキルはあくまでも最後の切り札だ。
それにいきなりステータスが10倍になってもそれを使いこなすことが出来るとは限らないのだ。
そのことを話すと何とか納得してくれた。
そして、安全な今なら試して良いだろうと言って早速自爆していた。
うん、あのスキルはとんでもなかった。
自分の速さに対応できなくて壁に激突する奴を始めてみた。
だから、身体強化は切って置けって言ったのに……
ちなみに涼子は試すようなことはしなかった。
彼女の場合、効果はわかっているしデメリットの方が多い。
このスキルにはLvがないので本当のピンチ以外には使わない方が得策だろう。
ちなみにスキル発動のペナルティー中だと言っても伸治はダンジョン探索に参加していた。
オレに言わせれば、弱体化してる時くらい休んでおけよと思わないでもなかったが、伸治は動いていないと落ち着かないのかみんなが止めても一緒についていってしまったらしい。
まあ、ビリー隊長が止めないのだから心配ないのだろう。
ところでさっきからなんで伸治たちのことを他人事のように言っているのかというと大輔は訓練やダンジョン探索には全く参加していなかったからだ。
この一週間の間、大輔は本に埋もれていた。
うん。なんて幸せな一週間だっただろう。
学校にも行かず、日本ではとても手に出来ないような本の数々に触れることが出来るのだ。
特に魔法関係。
やはり、実際に魔法があるところの本は素晴らしい。
日本人からすれば魔法なんて法則もない出鱈目な奇跡とか思われるだろうが、そんなことはない。
ちゃんとそこには法則があるのだ。
不思議現象にも法則があって理論立てて研究、実践が行われているというのは本当に興味深かった。
他にも魔導具や魔物関連の本も読み漁った。
魔導具に関しては職人を紹介してもらって軽く製作にも挑戦してみた。
どうやら読書家の恩恵もあるのか魔導具をいくつか作ることができた。
日本に帰るのにいいお土産が出来た。
あと、いくつか写本も作って見た。
これで日本に帰ってから魔法が使えるか実験できるとほくそ笑んでいたのは秘密である。
と言う訳でそろそろ念願の一か月が立とうとしていた。
そう、そろそろ日本への帰還について答えを出す時が迫っているのである。
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