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第十五話 ステータス鑑定をやってみよう

 後衛職の心得の講義が終わるとタイミング良く昼食の時間になった。

 全員で食堂に移り昼食を摂る。

 近接組は外の訓練場でお弁当らしくこの場にいない。


 大輔はご飯を食べた後、涼子たちと別れた。

 彼女たちはこの後も魔法の訓練を続けるらしい。

 そして、大輔はと言うと自室に戻ると言いながら城を散策してみた。


 大輔がなぜ城の中を巡っているかと言うと


「やっぱり、ステータスバーが見えない」


 正確には殆どが付くのだが、場内で働いているメイドさんなどの下働きの人や文官の人達のステータスバーは見えなかった。

 だが、たまに兵士のステータスバーが浮いていることがある。


「どういうことだ?」


 どうやら、ステータス鑑定のレベルが上がった訳ではないようだ。

 ステータス鑑定なら見れる人と見られない人がいるのがわからない。

 ステータス鑑定を妨害するスキルを持つのがメイドの嗜みとはとても思えない。


 と言うことはやっぱりこれも読書スキルの仕業なのだろうか?


 以前、鑑定のオーブの時も鑑定結果は書の扱いだった。

 と言うことはステータスバーも書なのだろう。

 この世界の書の範囲がよくわからない。

 だが、これは大輔に有利なことである。

 つまり、非表示状態でもそこに書があれば読書スキルで見ることが出来るわけだ。


 多分、兵士のステータスバーが見えたのは兵士がステータスバーを非表示で出していたのだろう。

 だから、大輔には見えたのだ。

 逆に他の人はステータス鑑定をしていないのでステータスバーが浮かんでいない。

 だから見えないわけだ。


 それとここでもう一つ重要なことが。


 どうやら、目に見えない状態でもそこに書があるのが大輔にはわかるらしい。

 絢奈がステータスバーを出した時に違和感を覚えたのはこれの所為だろう。

 これはかなりの利点である。


 そこに書があれば大輔にわかるのなら……


 大輔は注意深く周りを見渡してみた。

 すると、いくつか反応があるのがわかる。


「もしかして」


 大輔は一つに意識を向けた。

 そこにあったのは魔力灯である。

 この世界では魔導具が普及していて電気機器のような役目を果たしている。

 電灯のようにそこらを照らしているのも魔導具だ。


 大輔はその一つに注目する。

 魔導具には何か文字のような絵のような物が刻まれていた。

 多分、これにスキルが反応しているのだろう。


 スキルを発動してみる。

 やっぱりビンゴだ。

 そこには『光』と表記されていた。


 多分、この字が魔導具の根幹をなしているのだろう。

 どうやら、魔導具についても調べなければならない。

 知らないことが多すぎて大輔には手いっぱいだった。


 そんな検証活動を進めながら大輔は自室に向かう。

 その間もステータス鑑定を使っている物がいたのか何人かのステータスバーが見えていた。


 そして


「訓練でもしているのかな?」


 大輔は窓から庭を見下ろしていた。

 いつも大輔達が訓練しているのとは別の中庭で城の兵士が集団訓練をしている。

 100人単位の人間が槍を構え突撃し、それを大きな盾を持った人間が受け止めっている。

 数の力とは恐ろしいものだ。

 結構な距離が離れているのにここまで音が響いて来ている。

 スゴイ迫力だった。


 そんな光景に魅入られている時だった。


「なんだ、これ!」


 盾を構えていた兵士の一人が突撃の衝撃に耐えられずに吹き飛ばされたのを見た時だった。

 彼のステータスバーのHPゲージがごっそりと削れていくのが見えた。

 そう! ステータスバーが見えたのだ。

 驚く、大輔。

 だが、これだけでは済まなかった。

 大輔が倒れた兵士のステータスバーを認識した時には視界にステータスバーが溢れかえっていたのだ。


 いきなりのことに驚く、大輔。

 だが、これだけでは済まない。


 ステータスバーに意識がいくたびにそれが数字化されて頭に入り込んでくるのだ。

 これはマズいと意識を逸らそうと思うと逆に意識してしまう。

 それならと視線を外せば、と顔ごと逸らそうとした時だった。

 集団全体が視界に納まってしまった。


「うわああああああああ」


 思わず大声を上げていた。


 100対100。

 合計200人のステータスバーが全て数値化されて頭に流れ込んでくる。

 いきなりのことでパニックを起こしていた。

 なんか気持ち悪い。

 船酔いみたいな感覚で吐き気がする。


 大輔は目を瞑ってその場にしゃがみこんだ。

 大輔の叫び声を聞いたのか近くで警邏していた兵士が慌てて駆け寄ってきた。


「大丈夫ですか!」


「大丈夫です。少し立眩みがしただけですから」


 大輔の答えに納得がいかないのか兵士が彼の身体を支えながら


「医者を呼びますか? それとも部屋まで付き添いますか?」


「本当に大丈夫です。少し休めば元に戻りますから」


「何かあったら近くにいる兵士に声をかけてくださいね」


 これ以上は逆に失礼になると思ったのか納得いかなそうな顔をしている物の兵士はそう声をかけて警邏に戻っていった。

 大輔は大きく深呼吸した後に、現状を確認する。


 身体中を擦ってみる。

 うん。身体に異常はなさそうだ。


 深呼吸しながら周りを見てみる。

 大丈夫。何か変なものが見えていたり、見えなくなってたりはしていない。


 そして、恐る恐る。外を見てみた。

 何も異常はなかった。

 兵士たちが普通に訓練をしている。

 もちろん、埋め尽くされるようなステータスバーはない。


 さっきのは一体何なんだったのだろうか。

 いきなり、数字とステータスバーが視界一杯に現れて……

 

 もしかして!


 大輔はもう一度周囲を見回していた。

 すると廊下の端で先程の兵士がこちらを見ている。

 どうやら、大輔のことを心配して遠くから様子を伺っているようだ。

 大輔は苦笑しながらも、兵士に頭を下げておく。

 すると、ようやく安心したのか向こうも頭を去って歩き出した。


 その時、貴也は素早くその兵士の背中に目を凝らした。

 やり方は間違っていないはず。

 自分のステータスバーを見る感覚を相手に向ければ……


「出来た」


 やっぱり、ステータス鑑定のレベルが上がっていたらしい。

 さっきのは無造作にステータスバーを見ていた時に運悪くレベルアップした為、無差別に鑑定してしまったのだろう。

 さらに動揺した為に制御が出来ず、200人全員の鑑定をしてしまった。

 例えステータスバーに表示されているくらいの情報量にしても200人の分も集まればかなりの量である。

 それがいっぺんに流れ込んで来たら気分が悪くなっても仕方がないだろう。

 まあ、大輔の推測でしかないが


 それにしても読書スキルで遊び半分で他人のステータスバーを覗いていたらこんなことになるなんて……

 確か、ステータス鑑定は


 レベル1 自分のステータスバーが見れるようになる。

 レベル2 自分のステータス値が見れるようになる。

 レベル3 他人のステータスバーが見れるようになる。

 レベル4 他人のステータス値が見れるようになる。

 レベル5 自分及び他人の職業、スキル、称号が見れるようになる。


 だった。


 つまり、大輔は一気にレベル3になったということだ。

 いかさまみたいなやり方だがこれは面白い結果だ。

 つまり、段階を経なくてもレベル以上のことが出来れば一気にレベルアップが出来るということが証明されたわけだ。

 まあ、実例が少ないし、異世界人チートが影響している可能性もある。

 だから、現時点ではまだ何とも言えない。

 だが、これはかなり使える。


 大輔はニヤリと笑いながら足早に自室に戻るのだった。


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