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第十四話 魔法職の心得を聞く

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

「すいません。遅くなりました」


「良かった。来ないので先に始めようかと思ってたんです」


「何か予定があったんですか?」


「明日、森に出るので後衛の心構えを話して置きたかったんですよ」


「なるほど、それはすみませんでした」


 大輔の謝罪をにこやかに受け流してクレメンスは涼子たちを呼ぶ。

 そして、心構えについて話始めた。


「明日の森の散策では森での歩き方、魔物との戦い方や陣形、連携について学んでもらいます。そして、今からは事前に知っておいた方がいいことを話して置きます」


 クレメンスは一拍置いてみんなの顔を順番に見ていく。

 多分、聞く準備が出来ているか確認しているのだろう。

 彼は満足そうに頷いた後、話を始める。


「あなた方は後衛職です。基本、魔物との戦闘では前衛の皆様に守られながら戦うことになります。後衛職がやらなければいけないことは三つ。涼子様、なんだと思いますか?」


「近接組への支援及び回復。魔物に対する攻撃と牽制。あとは戦況を把握して指示を出すことですか?」


「はい。正解です」


 クレメンスは満足そうに頷く。


「特に戦況の把握については気を付けてください。魔物を目の前にして戦っている近接組は視野が狭くなりがちです。しかも、戦闘中は魔物の相手に集中してしまうので正常な判断は難しいでしょう。後衛にいる者は必ず一歩引いて冷静に判断してください。引き時を誤れば全滅することもあります」


 全滅=死である。

 この世界はゲームではない。

 だから、もちろんコンティニューなんてないのだ。

 蘇生魔法はあるが死んだ直後にしか効果はなく、しかも、膨大な魔力を消費する。

 とても戦闘中や逃亡中に使える者ではない。

 魔物との戦いには生死が関わっているのだ。

 その辺のことをもう一度心に刻む。


「ですが、いきなり指示を出せと言っても難しいでしょう。ですから、明日から森で訓練をするのです。森には野生動物や比較的弱い魔物しかいません。だからと言って油断はしないでください。あなた達は強いですが、それでも死ぬことはあるのです。それと自分の生命を軽く見ないでください。戦闘中、一人が戦闘不能になれば全体に影響を及ぼします。貴方の油断が全員の生命を危険にさらすということを覚えておいてください」


 そこは絶対に言っておかなければいけないことだったのだろう。

 いつも柔和なクレメンスの顔は真剣で口調が重かった。

 大輔達はクレメンスを見返して頷く。

 それを見ていつもの優しいクレメンスに戻る。


「それでは具体的な話に戻りますね。貴方たちは基本、魔法で支援、攻撃を行います。ですから、一番重要なのはMPの管理です。魔力枯渇を起こした魔法使いなどただのお荷物だということを心に留めていてください」


 それからいくつかの注意事項を教えて貰った。


 ・MPが多いことを過信して大魔法を連発しない。

 ・回復力を考えながら、魔力は常に5割は確保しておくこと。

 ・魔物には属性があり、効果が薄い魔法、逆に効果が高い魔法がある。

  必ず、そこを見極めて戦うこと。

 ・効果時間がある魔法はその時間を把握しておくこと。

  そして、効果が切れる前に対応すること。

 などなど


 ゲームなどでよく聞く話だ。

 大輔は無駄知識を思い出しながらそれと合わせて検証していく。


 そして、


「皆様はステータス鑑定を取得済みですね。戦闘中は必ずステータスバーを表示状態にしておいてください」


「それはどうしてなの? 視界にチラチラ入ってきて鬱陶しいんだけど」


 絢奈がクレメンスに訊いていた。


「戦闘中のMP管理が格段に楽になります。回復するタイミングを計るのにも有効です。表示しなくても感覚でわかるものですが、戦闘中はなかなか冷静ではいられません。魔法を発動しながら魔力量を計算して相手の動きや周辺の状況を把握、指示を出す。かなり、難解なことでしょう。出来るだけ戦闘中にやらないといけないことは省くべきです」


「じゃあ、これが気にならないようにする方法はないの?」


「慣れるしかないですね」


 クレメンスは肩を竦めていた。

 本当に慣れるしかないのだろう。

 その時だった。

 不意に絢奈が指した所に違和感を覚える。

 大輔が注目していると突然、それが浮かび上がった。


「ステータスバー?」


 そうだ。

 横棒が何本か並んでいる。

 さらに目を凝らしてみると数字も表れてきた。


 これって絢奈のステータスバーなのか? 

 でも、なんで大輔にも見えているんだろう?

 首を傾げて考えてみても答えは出てこない。

 だから、確認してみる。


「ステータスバーはみんなに見えるように出来るんですか?」


「それは練習次第ですね。いまは表示と非表示の設定しかできないと思いますが、練習次第で表示する人を限定できるようになります」


 それを聞いて大輔はステータスバーを表示する。

 みんなにも見えているのか大輔の表示したステータスバーに視線が向かっていた。

 それを確認した大輔は


「鬼頭さんと涼子もステータスバーを表示してみて」


 そういうと二人もステータスバーを表示したみたいだ。

 みたいだと言うのはクレメンス達の反応を見てそう思っただけである。

 なぜ大輔にはわからなかったかと言うと彼女たちのステータスバーはずっと見えていたからだ。


 これは何のスキルなのだろうか。

 ステータス鑑定がレベル3に上がれば相手のステータスバーが読めるようになるらしい。

 だが、残念なことに大輔のステータス鑑定のレベルは1。

 相手のステータスバーどころか自分のステータスの詳細すらわからない。

 なのになんで彼女たちのステータスバーが見えたのだろう。


 考えられるのは……


 やっぱり、読書スキルくらいしか思いつかない。

 よくわからないがこの件は検証する必要がある。

 職業読書家は外れだと思っていたのだが、存外、これもチート職業だったのかもしれない。


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