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新宇宙軍  作者: まめ
7/7

宇宙軍7(冬眞の過去)

「お帰りなさい」

冬眞がカーゼルにそう言った。

カーゼルも少し照れたように言った。

「ただいま」

何故か、光輝は突然言った。

「そう言えば冬眞、確か、上官に口答えしちゃあいけないんじゃないか? 士官学校で習うだろう?」

「突然、何ですか? 確かに、軍では艦長の言うことに逆らっては行けません。だけど、家の艦長自体、軍務規定なんて何のそのの人ですから、部下はこのぐらいでちょうど良いんです」

上官が白と言えば、例え黒くても白になるのが軍だ。上官の言葉はそのぐらい絶対だ。

それが、軍の中では当たり前のこと。

光輝は笑う。

「お前が、使われた理由がよく分かったよ。お前はすごく素直な奴だ。だから、使われるんだよ」

「使われている気はありません」

怒ったように、冬眞は言う。

「そう言うが、お前がここにきた、いきさつを思うと私は心配だよ」

「いいんです。あれで、良い勉強になりましたから。今では、彼らに感謝しているぐらいです」

「そうか」

「ええ。あれで、自分のいたらなさを知りました」

本当に、そう思っているように言う。

「一応、私は自分で志願を出してきたんです。経緯は、どうあれ」

「まぁ、確かにな」

光輝は苦笑いする。

「一応、僕は志願兵です。ここに来て、色々なことを学べました。来てよかったです」

「そういってもらえて良かったよ」

冬眞は士艦学校を首席で卒業した。なのになぜ、そんな冬眞がこんな辺境地域に来たのかと言えば、それは己の甘さのせいだった。

冬眞は始め、情報部へ行こうと思っていた。しかし、仲間の中で、情報部をすごく希望している者がいた。その思いは、自分のいより、はるかに強かった。自分が受けたら、彼は受からないと思い、受けるのを辞めた。その後知った衝撃の事実。それは、彼らが仲間内で話していたものだった。それは、

「な、俺が言ったとおりだろう。あいつに言えば、絶対受けないってな」

「あれじゃあ、頭よくてもな」

「でも、そのおかげで、俺らも試験の山とかも教えてもらえったけどな」

「冬眞様様だな。そのおかげで、俺らも希望の部署に行けたし。良かったよな」

「そうだな。あいつのおかげで、俺らもおこぼれに預かれたし。希望の部署に進めた」

「本当だよな」

自分が彼らに使われているとは薄々感じてはいた。

中には彼らと付き合わない方が良いと同級生の中には、忠告してくれた者もいたが、信じたくなかった。

友達だと、思ったから。

でも、そう思っていたのは自分だけのようだった。

どうでもよくなった。引き抜きの話もなかったわけではないが、それらを丁重に断り、みんなから、気が狂ったのかといわれたが、それらを全部黙殺し、こんな辺境へと来た。

来てみてビックリ。そこには、歓迎のかの字もなかった。それどころか、冷たい眼差しで艦長に言われたのは、

「何で、お前はここに来た? すぐママのおっぱいが恋しくなるよ。ここは託児所じゃないんでね。このままユータンして、帰りな。優等生のおぼっちゃん」

だった。

「何で、そんなこと言われなきゃならないんですか?」

怒った冬眞に、光輝は笑いながら言う。

「そんなこと、言わなきゃお前、分からねぇのか? そのおつむはお飾りか?」

嘲るように光輝は言う。

「じゃあ聞くが、お前が、ここを志願した理由は? それが、答えだ」

まるで、冬眞がここに来た経緯を知っているかの言う。

「当初、お前は、花形と言われる情報部に狙いをしぼってたはずだ。まぁ、受けなくって正解だったよ。どうせ、受けても、受かってないさ」

あまりに、当然のことのように言われ、冬馬は怒る。

「なっ」

プルプル震える拳。

「怒ったってことは、自分がければ、受かるって思ってたわけだ。多分、友達に譲ったって思っているんだろうけど、ずいぶん、その友達をバカにしてるじゃないか? 卑劣な奴だな」

「何でそんなこと、あなたに……」

屈辱に震える冬眞に、光輝は冷めた眼差しで言う。

「言われたくないってか? じゃあ、言ってやるよ。友達だと、友達の方が思っていなかったわけじゃねぇ。お前の方が友達だと思っていなかったさ。本心ではバカにしてたんだ」

「そんなこと?」

「思っていないか? だったら、なぜ情報部を受けなかった。受けなかったのは、その友達のためだろう? 自分が受けたら、相手は落ちるって考えたののそれのどこが、友達だよ。ずいぶん、そのお友達をバカにしているじゃないか。お前は友達のことを本当に思うなら受けるべきだった。正面から勝負すべきだった。私の言っていることは間違っているか? 間違っていると言うなら、聞こう」

そう言われ、その通りだと冬眞は思った。相手をけして侮っていたわけじゃない。でも、彼らも日頃からそれを冬眞から感じていたのかもしれない。

だったら、自分だけが被害者面できないなと、この時、初めて感じた冬眞。

だから、いさせてくれと艦長に頼んだのだった。それに対して、艦長は笑って、

「お前の性根を叩き直すのは、面白そうだ。それ買った」

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