宇宙軍5(保護する)
こうして、会談(?)は、終わった。
副艦が今は操縦している。
気づくと、あっと言う間に、2日が経ち給油が終わり、船は星を離れる。
「艦長が言われていたより、優しい方でしたね」
「ああ、あいつは、基本的には優しいよ。ただその、裏に意味があることに気づかなきゃな」
「は~あ?」
分からないながらも、返事をする斗真。
「まぁ、いずれ分かるさ」
光輝は、笑いながら言う。
光輝はそれだけ言うと、休憩に入る。
ようやく、光輝がゆっくり休めると思ったとき、それは鳴った。
それは、光輝が寝て少し経ったときだった。
ビービービー。
艦内にけたたましい警報音が、突然鳴り響いた。
光輝は頭を押さえた。
今日は、厄日かと。
普段なら絶対鳴らないベルだ。この艦で鳴ったのは、始めてのことかもしれない。今まで光輝も鳴っているのは、聞いたことがない。
それが、鳴ると言うことは、緊急事態ということだ。光輝は飛び起きると、それはそれは弾丸の如く、ブリッジヘと向かった。
そして、光輝と同じように飛んできた斗真と、ブリッジの外で会った。
「今日は厄日かね?」
「いえ、艦長が最近填まっている占い師が、今日は最高の日だと、言ってましたね」
「もう、信じるの止めよう」
プンプン怒りながら言う。
「でも、当たるって評判の占い師さんですけど」
「じゃあ、私にだけ当たらないんだ」
「アハハハハ。でも、何事しょうか?」
「さぁな、俺も初めて、聞いたよ。今まで聞いたことない」
「えっ、艦長もですか?」
「ああ、なんだろうな? まぁ、入れば分かるさ」
そう言って入った先では、奇妙な緊張感があった。
「どうした?」
「それが、自分にも何が何だかわからなくって?」
碇の言葉に光輝は首を傾げる。
「どういう事だ?」
「通信してきている者にとっては、まだ、先の戦いのようなのです。彼は降伏するって言ってます。どうしましょう?」
「その者と話がしたい繋いでくれ」
「分かりました」
光輝はすぐに、席に着く。
「番号は?」
画面に向かって、尋ねる。
冬眞は何故、そんなこと聞くのか分からなかったようだ。
「どうした? 冬眞君」
碇が斗真に質問する。
「番号って何ですか?」
「戦時中なら、皆番号を持っているはすだよ。それが言えなきゃ、装ってるだけとなる」
「なるほど?」
冬馬が納得したとき、男は淀むことなく答えた。
「自分は013225314であります」
その答えを聞き、碇が画面に入力し、頷く。
それに、輝は目を閉じる。
「今までご苦労であった。ところで、お前の参加した戦は何て言うやつだ?」
そう聞かれ、彼は戸惑う。
「えっと、中央戦でありますが、それが一体なんでしょうか?」
「そうか? その戦いで、 ルーシュの王は倒れた」
「えっ、倒れたって何ですか?」
「俺も良くわからないが、早い話が、亡くなったてことだよ」
「じゃあ、我々は勝てたと言うことですね?」
そう嬉しそうに言った。
「そう言うってことは、お前は我々の味方だな。今の王の方ってことか?」
「統治なされたってことですね。 ところで、今の王は何方ですか?」
「ランスロット王だな」
それを、聞いて泣く。
「お前の王じゃないのか?」
「はい、私の王はランスロット様の父君にございました」
「そうか、先の戦いから、ずいぶん立つからな」
「ええ。ずいぶん立ちました。帰るのが遅くなってしまった。王よ、申し訳ございません。あの、救難信号はなかったことでお願いします」
「救難信号を見逃せと。それこそ、無理だな。我々は信号を見逃さない。我々には、殆どゴミ処理とバカな子どもの保護しか、普段仕事がないんだから。こう言った時に働かず、いつ働けば良いのか? 教えて貰いたいね」
光輝は笑う。
でも、笑っていないことは誰の目からも分かった。
冬馬はそれを見て、怖いと思った(笑)
「手厚く輸送しよう。まぁ、遠慮するな」
そう言われて、男はなにも言えなくなってしまう。
それを見て、冬馬は笑うしかなかった。
「碇くん、彼を迎えに行ってあげて。助けなくて良いなんてまだ抜かすようなら、一発撲って良いから連れてこい」
「分かりました。一発ですね。二発はいけませんか?」
「いけないな」
で、副艦の碇が迎えに行った。
大人しく、彼は連れてこられた。
そして、光輝は彼に訪ねた。
「何故、あなたは宇宙をさ迷っていたんてすか?」
「私は戦争が怖くて、逃げ出しました。見付かるのが恐くて逃げてたんです。ダメですね」
「いや、良いと思うよ。俺は、人を殺して得た恩賞より、何倍も人を殺さなかった方がすごいと思うよ。自慢して良い」
「そうでしょうか?」
「ああ」
「そう言って頂けると嬉しいのですが、私は王の為に何も出来なかった。それが、申し訳なくて、申し訳なくて。王に会わせる顔がなかった」
「人を殺さないって言う選択は戦時中では、難しい。その中で良くやったな。俺は出来なかったよ。だから、俺はたくさんの者を戦時中に黄泉の国へと送ったな。その者達に俺は死んだとき詫びなきゃな。まぁ、許してはもらえないと思うが」
寂しそうに光輝は言う。
「だからこそ、思うよ。戦時中にその選択は難しいけど、良く出来たな。お前の王も責めたりはしないよ」
「いえ、私は臆病なだけです。それは、王に忠誠を誓った者としては、ありえない選択です。勝ったから、良かったものの、王に会わせる顔がない」
「臆病なものか。俺は、何人殺ったと、嬉しそうに語ってたよ。その当時が、恥ずかしい。