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新宇宙軍  作者: まめ
4/7

宇宙軍4(拷問)

その頃、地下では。

男が部屋の中央の天井から下がってる鎖に、繋がれていた。

「ねぇ、そろそろ言う気になった? 誰の命で、君は来たの?」

「誰の命でもない」

それを言った男に、小早川が鞭を振る。

ピシッとした音が響く。

「うっ」

男の体には、もう無数の痕があった。

「ただ、金がありそうだから、お前を襲っただけだ」

「じゃあ、どうやってあの推薦状を手に入れたの?」

「なぁ、こいつが持ってたのって、誰の推薦状だったんだ?」

「……僕の妹の夫だ」

「厄介だな」

「妹に恨まれようと、こいつを近くには置いておけない」

「そうだな、害虫は早めに退治すべしだな」

「そうだ」

「で、話は戻るけど、どうやって、手に入れたの?」

「ここに本来来る奴を殺して、手に入れたんだ」

害虫じゃないと言えば、殺されないと思ってるのか、妹さんとは何の関係もないと言う。

小早川は言う。

「お前、何か、勘違いしてない。妹と関係なくても、僕は自分に銃を向けた人間を許すわけがない」

そう言って、ムチを振る。

「うっ」

「で、貴様の目的は何なんだ? 我らの星の監視っていうのでもなさそうだし、狙っていたものは何?」

「こう、考えると、お前の命だろうな。銃で狙ったところを見ると」

「俺か?」

「お前、何か恨まれるようなことやった?」

「俺は恨まれるような付き合いどころか、光輝としか付き合ってない」

「だからそれ止めれ……まぁ良いか?」

「でも、目的が俺の命だとしたら、小さくないか?」

「小さくなどないさ。お前を殺せば、この整った星が手に入るからな」

「そうか、こんな小さな星を手に入れるために、分からないものだな」

しみじみと言う。

その声で男はこの後大きく、小早川のことを読み違えることになる。

それを聞いた男が、ペッと、小早川に唾を吐きかけたのだ。

「お前なんかに、星を欲しがる者の気持ちは分かんねぇよ」

「分かんないね」

小早川涼しく言う。

それを見た光輝は、心の中で手を合わせた。

『あ~あ。命運、尽きたな』と。

案の定、光輝の予想通りに、小早川は切れた。

それが、以下の通りである。

小早川はそれに、ニッコリ笑い自分の袖で拭くと、

「随分、面白いことをやってくれるね。これには、お返ししなきゃねぇ」

小早川は持っていた、鞭を振り上げる。

それを見て、男は叫ぶ。

鞭が上がる。

「うわ~」

「もう、遅いよ。20回ぐらいは耐えてくれよ」

小早川は、ニッコリ笑って言うと、男はヒキツる。

自分が読み間違えたことに気付く。

「遅かったね」

光輝は手を合わせた。

「や、や、辞めてくれ」

「今更遅い。天国で己の読み間違いを、悔やむんだな」

ヒュンと、鞭が鳴り、男の体に鞭が振るわれる度、体からは血が出る。

そして、何度目かの時に、男の口から、ゴホッと血が出る。

キタナいな」

ヨゴしたのは、お前だろ」

「もう、良いや。死んで」

面倒臭そうに、そう言って、刀を下ろそうとした時、それを止める手があった。

凄く剣呑そうに、止めた手の持ち主:光輝を睨む。

光輝もその目を受け止め、更に、力強い目で睨む。

けして、どちらも反らさない。

「領分を間違えないでもらおうか? それにお前言っただろう自分で。『処分は俺に任せると』 お前は我らが母星を見守ることが役目。それに対し、母星にあだなす者に、制裁を加えるのが俺の役目だ。つまり、殺しは俺の領分だ」

「そうだな」

少し考え、小早川も頷く。

「分かってもらえたようで良かった」

そう言って、腰の剣を抜く。

余りにその動作が綺麗で、男は気付かなかった。

剣が自分の胸を刺してることに。

光輝は剣を抜くとその血を、振り落とすように一度だけ払う。

「やっぱり欲しいな」

「俺は、お前と対等の立場だ。部下になって、頭を下げるのはごめんだよ」

「僕も、光輝に頭を下げられるのは、ごめんだな。何か、勘ぐってしまうよ、何事かと?」

「お互い、思ってることが一緒で良ったよ」

「そろそろ、上に戻るか?」

「そうだな?」

そう言って、二人は上へと行く。


その時悩みながら小早川は言う。

「ここにも、警備員を入れた方がいいよね。でも、信用度をどう見たらいいんだろう?」

「警備員か、家に良いのが要るぞ。信用度は俺の折り紙付き」

「まさかあいつか? あいつは艦を絶対下りないぞ」

「架けても良い。あいつは友のためなら下りるよ」

「友なのか?」

そう言って、ビックリする。

「お前は気付いていないが、あいつはいつもお前を心配してたよ。友だと思ってないのはお前だけじゃないか。それは家の艦が来ると、あいつは、いつも下りるだろう」

「でも別に何も、話さないぜ」

「ただ、顔が見えれば安心何だろ」

「そんなの可笑しい」

「可笑しくても、見返りを一切求めない思いもある。認めてやったらどうだ友として」

「認めてやらんこともない」

ちょっと顔を赤くしてる。

「じゃ、行こう」

上に行くと、今にも泣きそうな斗真が走り寄ってきた。

「昔の斗真君カムバックって、感じだな」

そう言われ、焦ったように涙を拭くと、ちょっと洗面所にと言って、いなくなる。

それに光輝は、クスクス笑う。

斗真がいなくなると、碇が言う。

「ご苦労様でした」

そう言って、頭を下げる。

「何が?」

そう、光輝が言うと碇は、ハンカチを取り出し、光輝の頬を拭く。

そして、ハンカチを見せる。

「まずった。斗真君が平常心じゃなくて、良かった」

「本当に、良かったですね」

「何か、剣呑だな」

光輝は苦笑いする。

「これからは、ここにくる前に鏡を見てから、来て下さい」

どうやら、碇は自分抜きで仕事を行ったことを怒ってるらしい。

それが分かり、光輝は更に、苦笑いをする。

「ああ、そうするよ。でも、何か一物有りそうな物言いだな」

「そうですか?」

そう碇が言うと、光輝は碇の肩に頭を乗せる。

「何か、疲れたよ」

「お疲れ様です」

碇は、子供にするように、背中をポンポンと叩く。

「フー」

と、光輝は溜め息を付くと、頭を上げる。

「カーゼル、勅命を命じる」

「何ですか?」

「この星の主を今から守れ。艦を降りて。これは大切な任務だ。我が母星が目的の奴が、ターゲットをここに変えてきた。いつ小早川が狙われるか分からない。黒幕が分かるまでの間、頼む。なるべく早く目星は付ける」

「分かりました。微力ながら」

それを聞いて、小早川も言う。

「しばらくの間頼む」

そう言って、頭を下げると、カーゼルはビックリする。

「お前が頭を下げるなんて、どうしたの? お前」

光輝が、それにクスクス笑いながら言う。

「お前から、嫌、友から飛ぶことを奪ってしまって、申し訳ないと、思ってるんだよ。こいつは」

感極まったように、カーゼルは小早川を見る。

「・・・そんなこと・・・」

「なぁ、俺の言ったとおりだろ」

「お前の伯爵という身分に釣られてくる人間は多いが、お前自身が魅力的で来る人間も多い。それを全部否定する前に見極めろ」

「ああ、そうする。カーゼルありがとう」

頭を下げる。

「止めてくれ、照れるじゃないか?」

「あっ、それは見たいかも?」

「艦長」

その場は笑いに包まれた。

「でも、本当にすまない。お前から飛ぶことを奪ってしまって」

「何、永遠じゃないんだ。別に構わないさ。それに、艦長が何か情報を持ってくるはずさ。それに時間はかからないよ」

「お前、光輝のこと信頼してるんだな」

「お前と一緒だよ。お前も朝霞艦長のこと信頼しているだろ?」

「何か、狡い」

小早川がいじける。

カーゼルは何故か分からず、光輝を見る。

それに、光輝は笑う。

「俺に妬いているんだ。お前の一番になりたいんだろ?」

それを聞いて、カーゼルは驚く。

「友の一番の位置には、大人も子どもも関係なく、譲りたくないんじゃないか? 妬くと思うぜ」

「私が小早川の一番に・・・」

「何だ、お前も嬉しいのかよ?」

カーゼルは慌てて否定する。

「違いますよ」

「まぁ、良いけどな」

「それより、早く見つけて来て下さいね。期限は1年です」

「了解」

笑って、光輝は言ったのだった。

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