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新宇宙軍  作者: まめ
1/7

宇宙軍1「眠い)

以前の1を1と2に分けました。

〈ヤバい。眠い。もうダメかもしれない〉

何がだと、思わず突っ込みを入れたくなる。

くっつきそうになる瞳を何とかマタタかせる。

〈頑張れ俺。負けるな俺〉

と、分けの分からん声援を送って、頑張る俺。何て偉いのだろう? と、自分を自画自賛することを忘れない。

そんな、声援を送るのは、安積光輝(アサ力コウキ)この艦の艦長をしてる。

階級は中将。つまりこの艦で、一番偉いと言える。

艦長と言えば、一番偉いはずなのに……。

そんな人が何故、こんな眠いのか? それは同情の余地もない。つまり自業自得なのである。

何とか眠気を、追い払おうと、躍起になるが、本人の意思とは関係なく、狭まる視界。

〈もう、ダメかもしれない〉

光輝の思いとは、裏腹に体は正直だった。

その時、ヌッとコーヒーカップが差し出される。

良い香りに、つられてカップを受け取る。

その間も、光輝の顔は画面に釘付けで、ズーズーと啜る。

「旨い」

「それは良かった」

コーヒーを渡した男は満面の笑顔で言う。

それは、光輝の直属の部下である上原冬眞ウエハラトウマ中佐である。

年齢から考えると、異例の出世の早さである。

光輝は階級には興味ないが、世間は違うらしい。

だから、光輝は正当に評価した。

別段、甘くなど、評価はしていない。

イヤ、逆に厳しいくらいだ。

彼は苦笑いを浮かべて言った。

「安積中将、大丈夫ですか?」

「ああ、それより何かあったか?」

冬眞はそう言われ、笑って腕時計を見せる。

「何かあったかじゃありませんよ。もう、交代の時間ですよ、艦長。お疲れ様でした」

そう言われ、光輝は画面からようやく視線を外した。

「あぁ、もうそんな時間か? 疲れた」

「ええ、今回は何時間勤務だったんですか?」

「聞いて驚けよ。36時間だ」

光輝のその言葉を聞いて、冷やかすように口笛が響く。

口笛を吹いたのは、操縦士のカーゼルだった。

一番前の席から、口笛だけを吹く。

やはり、操縦士だけはある。

目線は前に固定されている。

茶化すときも、それは徹底されていた。

ここは、自動操縦の区間だから、そんな気を使わなくてもと、冬眞は思うが、『だからこそ、こいつは操縦士の中で、飛び抜けて1番なんだ』と、艦長は言っていたっけ。

「それは凄い」

この高貴、賭が好きで、暇が有れば賭をやっていた。

本来、この艦隊では普通3交代勤務である。

つまりは、8時間交代なのである。

それが、36時間になると言うことは、それだけ勝負に負けたということだ。

やはり同情の余地はない。

「いや、何のこれしき。俺は、約倍の64時間もやったことがある」

そこは、威張るところじゃないと思うが……。

「それは、すでに人知を越えていますね」

「そうだろ? なのに、誰も変わるとの申し出はなかった。なんて優しい艦員たちなんだろう?」

そう言って、光輝は遠い目をする。

そう言いながら、冬眞も光輝の斜め前の席に付き、時間を入力する。こちらは勤務開始の時間を入力する。

そして入れた後、斜め後ろを振り向き、口を開く。

「今回も賭ですか?」

冬眞がそう問えば、光輝はちょっと不機嫌そうに返す。

「悪いか?」

「では、自業自得ですね。そんな人に、誰も変わるなんて言いませんよ」

苦笑いして冬眞は言う。

「そんなもんか?」

光輝は不思議そうに言う。

光輝が引っ張ってきた者達は誰もが欲しいけど、邪険にされてきた者ばかりだ。

口が悪かったり、勤務態度にだいぶ難ありだったりとかだ。

どうして光輝は、そんなに知っているのか斗真には、分からないが光輝は彼らに慕われている。

冬眞も慕われているが、だいぶ意味は異なる。

冬眞はこの艦で、かわいいと人気を博していたからだ。

本人は気づいていないが、実はファンクラブまで存在している。

同人誌なるものまで、出ている最初興味引かれ開いたがそれが間違いだったと光輝が思うまで、そう時間はいらなかった。

何故俺が、冬眞を組み引くのは、分かるが、俺が副艦に、組み引かれ、そこを冬眞と副艦に良いようにされなきゃいけないんだ。

「それは談じてない」

光輝は、強く言いたい。

だから、これを読んだとき、これを書いた者を呼んだ。

光輝にしてみれば、同じ艦の者を使うのを禁止にするためだ。

だが、一応これを書いた者には、書いた者だけが持つ熱い思いがあった。

下手に。

反対は出来なかった。

彼らを下手に縛り付ければ、どこかで、書けなくなったことに対する反動が出る可能性があるからだ。

難しいものだ。

「そんなもんです。艦長も賭について、少し勉強しては如何ですか?」

だって、この艦長賭が好きなくせに、賭をやれば、全部、顔に出ちゃうのだから仕方ない。

だから、一度光輝の前に鏡を置こうとしたら、船員達それは止めてくれと、泣いて懇願されたことがある。

それに、光輝にも必要ないと止められたことが、過去に一度あった。

冬眞は不思議に思い聞いたことがある。

「少しは、勝てる方法を捜した方が艦長も楽しめると思いますよ」

「俺は、勝敗の有無何か、どうでも良いんだ。それより他の者がどういう策略で来るか、どういうゲーム運びをして来るのかに、興味があるんだ。それに、俺が楽しいんだから、別に良いだろう。勝ち負けなんて、興味ない」

『つまり何か、艦長はゲームの勝敗には興味はないってことか? ますます、分からない人だ。じゃあ、何を楽しんでいるんだ? 本当にゲーム運びと戦略が見たいのか? でも、たかがゲームで分かるのか? この艦長どういう、頭してんだ』と、冬眞は思う。

「艦長がでも、全員確か引っ張ってきた者ばかりでしょう?」

「そうだったけ? 忘れたな」

そう、この艦の艦員たちは、全員光輝が引っ張って来たと言っても良い。

力はあるのに、上司と上手く行かず、隅に追いやられていた彼らを拾い集めてきたのだ。

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