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闇夜の晩は  作者: 不愉快なタンス
2章 テロ作戦はすぐ近くに
9/10

《占拠&削除開始・・・》

「大丈夫かしら?」


俺はそんな声で目を覚ました。

はて、俺がリーノと出会ってから気絶するのは何回目だろうか?

目を覚ました瞬間に真っ先に考えたことは、それだった。


「いや~、いきなり倒れるものですからびっくりしましたよ。」

「いや、僕もあなたの格好に驚きましたよ。」


正直、バスタオル姿で玄関に出てくるような奴はいないと思っていた。

しかもそれを恥じてないと来たから、余計に頭がこんがらがる。

この女性は何者だろうか。

明らかに見覚えのある顔だが、そいつがここにいるわけない。

そう、断じてそいつじゃないはずだ。

あいつは元俺がいた世界にいるはずだし、こんな所にいるはずがなi──


「って、いつまでボケとんじゃ。」


パシン! (いつの間にか手にしていたハリセンで叩く音)


「いってえ! いきなり何すんだおい!! っつーか、何故お前はここにいる!?」


今俺の目の前にいるコイツは、俺の幼馴染・・・のはずだったような気がする奴だ。


「んー、なんでここにいるって言われてもねぇ・・・。私は生まれた時からこっちと向こうを行き来できたし、まあ、王室の偵察部隊みたいなものに所属してるわ。」

「『所属してるわ』じゃねぇよ! 何サラっととんでもねぇこと言ってんだ!?」

「それよりも、なんであんたもここに居るわけ? あたしの記憶じゃ、あんたは向こうでのほほんとして馬鹿みたいにして平和に暮らしてたはずだけど。」

「そしてこの暴言の嵐・・・。やっぱ俺やる気失せる・・・。」


この暴言嵐女は、俺の幼馴染にして天才(天災でも可)と言われてきた奴で、名前を、倉本(くらもと) 友香(ともか)と言う。

昔から何でもこなす奴で、美貌(心の中はドス黒いが)に加えて小一の時点で漢検1級、数検準1級(数学が苦手であるため)、英検1級と同時取得し、天才だあーだこうだと言われていたら、小2にして小学生100m走の日本新記録を叩き出して再び注目を浴び、近所では“高嶺の花”の代名詞とまで呼ばれて、おまけに俺以外には誰にでも優しくしていたせいか、クラスの長的なポジションについていて、気づけば周囲の奴らは皆が皆コイツを慕っていた。

勿論、レベルの高い外見と相まって、性格までいい(対象は俺以外)と来たもんだから告白する男子が続出。小学校を卒業するまでに無数の男子が手に花を持って『我こそは』と言わんばかりに告白していったが、それらは全て綺麗に散っていったと言う。

おまけにバレンタインデーには、女子から男子からチョコをもらい、一年で169個という偉業を成し得た奴だった。

地底にマイホームを持っていると言われても納得できるほどだったが、まさかここで会うことになるとは思っていなかった。

・・・因みに、コイツの幼馴染というだけで恨まれたりしていたので、個人的にはかなり嫌いだったりする。


「それで、なんで馬鹿みたいな成績を取って馬鹿みたいに平和ボケして暮らしてたあんたがここに居るわけ? まさかマンホールに落ちて、そのまますっぽりはまって息絶えて、天国にでも行く途中に神様に「お前はこっちに来るな!」とでも言われてこっちに転生でもさせられたわけ?」

「そのとてつもなく悪い口を封じてから質問しろ。あと、そんなファンタジーなことを考えて喜んでるのはお前だけだカス。」

「同じような話を子供たちにしたら喜ばれたんだけどね? っていうか、そんなことで誤魔化さないでさっさと説明しなさいよ奴隷。」

「答えるのも面倒臭え・・・。」

「じゃ、今ここで消える?」

「喜んで話しましょう。」


俺は、つまらないプライドのために捨てる命なんざ持ち合わせていない。


「ある日、俺は学校の終わりに帰ってたんだが──」

「学校から帰るのは当たり前でしょカス。そんなことはどうでもいいから本題に入りなさいよ、本当に要領の悪くて頭も悪くて全体的にゴミのような奴ね。」

「いいから黙って聞け。そこで俺はあることに気がついたんだが──」

「何? まさかマンホールにはまって息絶えたことに死んでから気づいたとか? マジで馬鹿じゃないのww」

「茶化さずに聞けボケ頭。そこで紳士服を着た変な女子が転がってて──」

「そんな奴いるわけないでしょクズ。あんた、頭も悪いと思ってたら、目まで悪くなったの? 一度眼科と脳外科と精神科に行くことをおすすめするわ。」

「人を貶すことしかできないクズは黙ってろ。そしたら、そいつに無理やりこっちに連れてこられたというわけだ。そしてまあ、色々あってなんか手伝わされるみたいだから、魔法を使うためにもここで訓練する必要があるんだとさ。それでここに連れてこられたんだよ。」

「ふーん。こんな道端に落ちてる犬の糞のような奴でも、役に立つことがあるのかねぇ。こんな感じだし、せいぜい使えても『明かりを灯す』くらいの魔法でしょうに・・・。文字通り、猫の手も借りたいような場所なんでしょうね。」

「その言葉、国王の前でも言えるか?」

「は? 国王? なんであんたがそんなこと知ってんのさ。第一、あんたが国王と知り合いだとでも?」

「ああ、知り合いだが?」

「真面目な顔で嘘をつくなんて、少しは芸達者なサルになったみたい。」

「今まで話したの全部本当だボケ!!」

「カズ、嘘はわからない範囲でつくものよ。いい? 国王とあんたじゃ、ロケットとカビ、スパコンとコバエ、ライオンとノミ程の差があるのよ。それらが知り合いになるなんて、銃弾を生身の人間で弾き返すぐらいあり得ないことだわ。因みに、カビとコバエとノミがカズね。」

「あまりに酷い言い草だが、もし本当だったらどうする?」


お、これ何気に仕返しのチャンスじゃねぇか?

コイツのことだし、俺の言ったことは微塵も信じちゃいないだろうし。


「そうねぇ・・・。そんなことは有り得ないけど、とりあえず拍手くらいはしてやろうかね? 本当のことを言えるくらいには賢くなりましたよ、ってあんたのお母さんにでも報告してあげようか? それとも、私のペットにでもなる?」

「まず俺はいつも本当のこと言ってたしお袋は今旅行で家にはいねぇしお前のペットなんざ死んでもなりたくねぇ!!」

「今のは私の冗談よ。それくらいもわからないなんて、やっぱり猿並みの頭のようね。いえ、ひょっとしたら猿以下かしら?」

「お前の頭をかち割っていいか?」

「そうねぇ・・・。ま、仮にさっきの話が本当だったら、なんでも言うこと聞いてあげてもいいわよ。」

「・・・言ったな?」

「言ったことは3秒後には忘れてるわ。」

「畜生! 貴様は外道か!! 鬼、悪魔、下衆!!」

「なんとでも言いなさい。別にあなたにはどう思われてもいいしねwww」

「やっぱりこいつには勝てねぇ・・・。」


今までの経験上、コイツに勝てないことは分かっていたさ。でも、でも・・・っ!

俺にだって勝ちたいと思うときはあるんだよ!! 例え勝てないと知っていても!!


「そうなの・・・そんなに勝ちたかったのねぇ・・・。ま、あんたが生まれ持った「サル」という才能でも恨んでなさい。」

「貴様今どうやって心の読んだ!? まさかこの文章を読んでグペェ!」


くひが! くひがねじれるぅ!!


「滅多なメタ発言はおよしなさい。」

「洒落でも言ったつもりか・・・。」

「やっぱりあんたには家畜小屋がお似合いね。大体、私がここにいるってことは魔法が使えると考えてもいいでしょうが。今では読心術ぐらいはお手の物よ。」

「外道! それでも貴様人間か!!」

「そうね、少なくともあんたよりは人間に近いかしらね?」

「こいつ、絶対いつか殺す・・・。」

「できるならやってみなさい。そのちっぽけな才能とヘタレな性格と少しの努力でどこまで行けるかが楽しみだわ。せいぜい私を楽しませてね。」

「こいつ絶対いつか殺してやるううううううう!!」


違う! この目から流れてるのは涙じゃないんだ!! 空気中の水分がたまたまここで目に見えるサイズまで大きくなっちゃっただけなんだ!!


「やっぱり、そんなことを考える時点でサル以下よねぇ・・・。」

「人の心を簡単に読むな外道!!」


俺は、いつか絶対コイツより強くなって復讐してやる、と心に誓って、転がり出るようにして友香の部屋を出た。



                           ☆



「あ・・・せめて部屋番くらい聞いときゃよかった・・・。」


廊下に出た俺は、今更後悔した。

恥を忍んででも聞きに行くか、スペルさんが帰ってくるまで待っておくか・・・。

俺は、先ほどの状況を思い出す。


『空き部屋を探すべきか、スペルさんの部屋を探すべきか・・・。』


この状況で俺は、多少の恥を忍んで多少のリスクは負ってでも空き部屋を探す、という選択をした。結果は無残なもので、世界で一番会いたくない奴にあってしまった。

ならばスペルさんの部屋を探す、という選択しかないのだが、これ以上別の部屋に訪ねて行っても、さっきみたいなことが起こるのでは? という恐怖心が、俺の体を動かさない。

つまり、ここで俺がとった行動は、


「結局待つしかないのかよ!!」


スペルさんが帰ってくるまで待っておく、というものだった。

太陽を奪われた世界の中で、闇に包まれた空間に身を置いた俺は、何か得体の知れない寒気を感じ取っていた。

・・・決して、夜だから寒いとか、あいつとまた会ってしまったら、とかから来る恐怖感ではない。




                           ★




『ぐっ・・・先生・・・俺に近づかないでください・・・。危ないですから・・・ぐぁっ!』

『馬鹿!! そんな苦しい顔を見せられといて放っておけるか!!』

『本当に・・・危な・・・いんです・・・。俺が・・・これ・・・を・・・抑・・・え・・られ・・・て・・・る間に・・・・早kぐああああああああああああ!!』

『大丈夫か!?』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

『っ!? ルノア!?』

『・・・・・・・・個体の意識の消滅を確認。すぐさま占拠を開始します。占拠完了まで50秒。』

『・・・何が・・・起こっている・・・? 個体の意識? 消滅? 占拠?』

『占拠完了まで30秒・・・。』

『ルノア・・・・・?』

『残り、20秒・・・。』

『おい・・・ルノア! ルノア!!』

『完全占拠まで、10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0。・・・占拠完了。これより、作戦(ミッション)削除(デリート)を始めます。関係者および、関連のある方々はお離れください。作戦開始(ミッションスタート)まで、あと300秒・・・。』

『本当に、何が起こっている・・・?』


その日、異変は明確に起きた。

何者かのテロという形で。

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