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~始~
カラスが歩く
まるで嘲笑うかのように地を踏みつける
その視線の先では
いったい誰が
死んでいるのか
そんなに哭いて
何かいい事があったのか
朱い空には
怒りを内に秘めた雲が
連なっていた
また喰った
数は2
腹は未だ空いたままだ
だが
喰い過ぎは胃に悪い
もっと喰いたい
もっともっともっと
オレは頭に乗っていた帽子のつばを握り、深くかぶり直した。
電車が乱暴に左右に揺れる。
ボックス席は大量に余っているが
一番後ろの車両の
一番後ろの入り口の傍に立っていた。
窓の外には鴉がいる。
「仕事だ」
オレは
静かに啼いた