1、ガス自殺
これは数年前に友人から教えてもらったことです。
薬品と薬品を混ぜ合わせると有毒なガスが発生するそうじゃないですか。混ぜるな危険って表示とかは、その危険性について警告しているんですね。酸とアルカリを混ぜるといかんということです。実際に死者が出た事件があったそうで、それ以降混ぜるな危険という表示が義務付けられるようになったとか。小さい頃は混ぜるな危険を、「容器を振って中身を混ぜるな危険」って意味かと思ってましたよ。
とにかく、有毒ガスは人を十分に殺す威力を持っているとなれば、自殺にも使われるわけですわ。
ところが奇妙な話がありましてね……。
人気のない田舎でのことです。借金を苦に薬品自殺をしようとした男がいまして、ボロイ軽自動車にぺたぺたガムテープ貼って密閉状態を作ったんですね。そこで薬品を混ぜ合わせて自殺しようとしたんです。数週間後、近くの住民に発見されました。死んでました。これで自殺として処理……されなかったんですよ。
警察が調べると、薬品の一つは「正解」だったんですが、もう片方を間違えてたわけです。混ぜても有毒なガスが発生しないはずなんですね。ところが検死によるとガス中毒で死亡となっている。車を調べても外部から侵入した形跡がない。
一体、何が起こったのやら。
怨霊の仕業としてここはひとつ。