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第六話 確認

王立アルカディア魔導学院の門をくぐった瞬間。

クラリス・ヴァレンシュタインは、静かに足を止めた。

……やはりだ。

この感覚。

この光景。

何度も見ている。

門の石畳。

朝の光。

集まっている新入生。

すべてが、どこか既視感がある。

「クラリス様!」

声がした。

振り向くと、三人の令嬢が駆け寄ってくる。

エレナ。

リディア。

ミレイユ。

クラリスの取り巻きだ。

エレナがすぐに言った。

「やっぱりです!」

ミレイユも慌てて頷く。

「また同じです!」

クラリスは静かに言った。

「皆さんも、ですか」

リディアが小さく頷く。

「はい。門をくぐるところから

何度も経験している気がします」

そのとき。

「クラリス」

後ろから声がした。

レオンハルトだった。

黒髪の第二王子が、護衛騎士達を連れてこちらへ歩いてくる。

エレナがすぐに動いた。

「殿下、少し失礼します」

そして三人の令嬢は、自然な動きでクラリスとレオンハルトを囲んだ。

まるで壁のように。

レオンハルトは少し驚いた顔をする。

「どうした」

リディアが落ち着いた声で言った。

「確認をしたいのです」

「確認?」

クラリスが説明する。

「殿下、

講堂まで進めるかどうか、

試したいのです」

レオンハルトは少し考えた。

「なるほど」

クラリスは頷く。

「はい」

エレナが言う。

「いつも門のあたりで終わる感じがするのです」

ミレイユも続ける。

「でも、前回の今日は講堂まで進みました。

 そして、今回の今日もまだ終わっていません」

レオンハルトは小さく笑った。

「なるほど。すこし残念だ」

クラリスは少し困ったように言う。

「残念、ですか」

レオンハルトは頷く。

「わたしは、何度やり直しても

お前に会えるなら悪くない」

クラリスは思わず目を伏せた。

「殿下」

エレナが咳払いする。

「今は調査です」

レオンハルトは肩をすくめた。

「分かった」

五人はそのまま歩き出す。

中庭を抜ける。

学院の石の廊下。

学生たちの流れ。

すべてが自然に進んでいく。

そして。

講堂の扉が見えてきた。

エレナが小さく言う。

「……来ました」

ミレイユが驚く。

「本当に進んでいます」

リディアが静かに言った。

「つまり」

今回の今日は

まだ終わっていない」

クラリスは講堂の扉を見る。

ゆっくりとくぐる。

その瞬間。

胸の奥に、焦りと不安が広がった。

いつもは。

門の、殿下と会話している最中に終わる。

だが、前回と今回は違う。

今回は、前回よりも先に行けるのだろうか。



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