第18話 最終話 進む日々
王立アルカディア魔導学院。
あの日以来。
時間が巻き戻ることは一度もなかった。
クラリス・ヴァレンシュタインとレオンハルト・アルヴェリアは、周囲も羨むほど仲の良いカップルとして学院生活を過ごしていた。
中庭を歩けば自然と二人は並び。
講義では隣に座り。
休み時間には楽しそうに会話をする。
その姿は、いつしか学院の名物になっていた。
そんな二人を、アレクシスは少し離れたところから見守っていた。
王太子として。
そして兄として。
時には先輩として。
「勉学は怠るな」
「殿下、それはあなたにも言えることでは?」
そんなやり取りをしながら、二人の世話を焼くのも日常の一つだった。
魔導科では。
ユリウス・フェルンベルクが、相変わらず研究に没頭していた。
ある日、実験室から大きな爆発音が響いた。
煙の中から現れたユリウスは、静かに呟く。
「理論は正しかったようです」
教師たちは頭を抱えていた。
一方で。
セシル・ラウレンツは忙しく学院を歩き回っていた。
新しい友人。
新しい取引。
新しい情報。
人脈作りに余念がない。
「学生のうちから顔を広げておくのは大事だからね」
そう言って、楽しそうに笑う。
騎士科では。
ガルド・ヴァルグレンが学友たちと剣を交えていた。
剣を振り。
汗を流し。
互いを称え合う。
「次は負けないぞ!」
「望むところだ!」
そんな声が訓練場に響く。
王立アルカディア魔導学院。
そこでは今日も。
学生たちが笑い。
学び。
競い合っている。
特別な事件は起こらない。
時間が巻き戻ることもない。
プレーヤーのいない世界で。
ただ。
穏やかな日々が流れていく。
クラリスは空を見上げた。
青い空。
ゆっくりと流れる雲。
そして隣には。
レオンハルトがいる。
クラリスは微笑んだ。
「平和ですね」
レオンハルトも笑う。
「ああ」
そして静かに言った。
「やっと、普通の毎日だ」
王立アルカディア魔導学院。
そこでは今日も。
誰もが幸せな学生生活を送っていた。




