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第十六話 追跡者

リリアは余裕だった。

魔導対策官。

確かに厄介なガードNPCだ。

だが。

このループで何が起きても意味はない。

リセットすれば終わりだ。

リリアは肩をすくめた。

「バレたのかもね」

MODを使っていること。

この世界を何百回も巻き戻していること。

もし運営が気付いたのなら。

このループは終わりだろう。

だが問題はない。

これは。

このループだけの話だ。

リセットしてしまえば。

誰も追っては来れない。

リリアは空中を見る。

MODウィンドウ。

慣れた操作だ。

指を動かす。

「はい、終了」

リセットボタンを押した。

世界が白く染まる。

次の瞬間。

リリアは門の近くの広場に立っていた。

王立アルカディア魔導学院。

いつもの開始地点だ。

ここで待つ。

レオンハルトが門から入ってくるのを。

そして。

ステータスを確認する。

外れなら。

またリセット。

いつも通りの作業。

リリアは軽く伸びをした。

「さて」

門を見る。

……そして。

固まった。

広場に。

黒いローブの男たちが立っていた。

魔導対策官。

三人。

こちらを見ている。

リリアの背中に冷たい汗が流れた。

「……は?」

リリアはすぐにMODを開こうとする。

空中を操作する。

しかし。

何も出ない。

もう一度。

操作する。

だが。

MODウィンドウが開かない。

リリアの顔から笑みが消えた。

「……なんで」

そのとき。

「そこまでだ」

魔導対策官が言った。

同じころ。

門の前で。

クラリス・ヴァレンシュタインは目を開いた。

また門だ。

いつものループ。

しかし。

違うものがあった。

門の近くの広場。

そこに人だかりができている。

そして。

ピンク色の髪の少女が。

魔導対策官に取り押さえられていた。

クラリスは思わず言った。

「……あの人」

そのとき。

「クラリス」

レオンハルトが護衛騎士達と合流する。

エレナたち令嬢も。

さらに。

ユリウス。

ガルド。

騎士科の学生たちも集まる。

ユリウスが静かに言う。

「捕まりましたね」

広場の中央で。

リリアが叫んだ。

「なんで!?」

魔導対策官を睨む。

「NPCのくせに!

なんで追ってこれたのよ!」

その声が広場に響いた。



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