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第十五話 監視者

レオンハルトの周囲には二重の壁ができていた。

内側。

クラリスと取り巻きの令嬢たち。護衛騎士達。

外側。

ユリウス、ガルド、そして騎士科の学生たち。

完全に囲まれている。

外の様子は見えない。

ガルドが腕を組んで立つ。

「これなら見えません」

ユリウスは静かに頷いた。

「完璧です」

クラリスは小さく息を吐いた。

周囲には独特の緊張が漂っている。

時間が巻き戻される世界。

犯人は近くにいる。

誰もがそれを理解していた。

その空気を少しでも和らげようとして。

クラリスはレオンハルトを見る。

レオンハルトもこちらを見ていた。

二人は小さく微笑み合う。

ほんの一瞬。

だが。

それだけで空気が少し柔らいだ。

ガルドが苦笑する。

「殿下、余裕ですね」

レオンハルトは肩をすくめた。

「焦っても仕方ない」

ユリウスが静かに言う。

「相手は必ず動きます」

そのころ。

肉壁の外では。

リリア・フェアライトが身を乗り出していた。

「見えない……」

肉壁の隙間から覗き込む。

そして。

ほんの一瞬だけ見えた。

レオンハルトの顔。

微笑んでいる。

リリアは目を細める。

「……あれ?」

喧嘩している様子ではない。

クラリスとも距離が近い。

いつもの光景だ。

つまり。

不仲ではない。

リリアは小さく舌打ちする。

「またか……」

しかし。

何かがおかしい。

いつものループと違う。

ステイタスを確認せずにリセットするか迷う。

1000分の1の確率でイベントが起きる。

もし万が一。

だから。

リセットをためらわれる。

ステイタスを確認するためにはレオンハルトの半身を単独で確認する必要がある。

「どうなってるの……?」

リリアは焦り始めていた。

周囲の学生たちは、次々と講堂へ入っていく。

入学式が始まるからだ。

門の前に残る人間は減っていく。

しかし。

肉壁は動かない。

そして。

リリアも動かなかった。

その様子を。

遠くから見ている者がいた。

黒いローブ。

魔導対策官。

王国の治安を守る専門部隊だ。

魔導犯罪。

違法魔法。

そして――

時間干渉魔法。

対策官の一人が静かに歩いてくる。

リリアの前で止まった。

「君」

リリアの肩がわずかに揺れる。

「なぜ講堂に入らない」

リリアはゆっくり顔を上げた。

そして。

一瞬で理解した。

……ああ。

そういうこと。

魔導対策官。

このゲームにも存在する。

ガードNPC。

プレイヤー対策。

NPCへの攻撃。

建物破壊。

その他の不正行為。

そういうプレイヤーを取り締まるための存在。

つまり。

運営側のNPCだ。

リリアは小さく笑った。

「……なるほどね」



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