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第十一話 王太子

王立アルカディア魔導学院の講堂。

在校生の席の中央に、一人の青年が座っていた。

金色の髪。

青い瞳。

落ち着いた雰囲気。

アレクシス・アルヴェリア。

この国の王太子であり、第二王子レオンハルトの兄だ。

そして、『ロイヤル・スペル:身分違いの恋は魔法にのせて』の攻略対象者の一人だ。

アレクシスは講堂を静かに見渡していた。

新入生たち。

教師たち。

壇上。

そして入学式を待つ空気。

……まただ。

同じ光景。

同じ時間。

同じ入学式。

アレクシスは小さく息を吐く。

この一日は何度も繰り返されている。

それはもう疑いようがなかった。

そのとき。

講堂の入り口から二人の人物が歩いてくる。

護衛騎士達に取り囲まれた、レオンハルト。

そして銀髪の少年、ユリウス・フェルンベルク。

アレクシスはわずかに眉を上げた。

「なにがあった」

レオンハルトが言う。

「兄上」

ユリウスも軽く礼をする。

「王太子殿下」

アレクシスは頷いた。

「話を聞こう」

レオンハルトが腕を組む。

「この一日は巻き戻されている」

ユリウスが続ける。

「時間干渉が確認できます」

アレクシスは静かに言った。

「やはりか」

レオンハルトが言う。

「原因はまだ分からない」

ユリウスは説明する。

学園の入り口の門。

クラリスのお友達令嬢たちの行動。

講堂。

そして巻き戻しのタイミング。

アレクシスは黙って聞いていた。

やがて言う。

「魔導対策官を動かす」

近くの騎士に目を向ける。

「伝令を」

騎士はすぐに頭を下げた。

「は!」

そして講堂を出ていく。

アレクシスは続ける。

「学院の魔力を監視させる

時間干渉があれば検知できる」

レオンハルトは頷いた。

「助かります、兄上」

ユリウスが静かに言う。

「ただし」

アレクシスが見る。

「何だ」

ユリウスは答える。

「誰が時間を巻き戻しているのか

それはまだ分かりません」

レオンハルトも言う。

「ターゲットの目処はついた

だが犯人が分からない」

そのときだった。

「面白い話をしているね」

落ち着いた声がした。

三人が振り向く。

そこに立っていたのは、一人の青年だった。

整えられた茶色の髪。

琥珀色の瞳。

穏やかな笑み。

セシル・ラウレンツ。

王都最大の商会、ラウレンツ商会の御曹司だ。

魔導具や流通に精通し、学院でも有名な学生である。

そして乙女ゲーム『ロイヤル・スペル』の攻略対象の一人でもある。

レオンハルトが眉をひそめる。

「盗み聞きか」

セシルは軽く肩をすくめた。

「講堂で王族が集まって話していたら

さすがに気になる」

セシルは笑う。

「商人は耳がいいんだ」

ユリウスが言う。

「話は理解していますか」

セシルは頷いた。

「時間が巻き戻っている

そういう話だろう?」

アレクシスは静かに言った。

「軽い話ではない」

セシルは真面目な顔になる。

「分かっている」

そして少し考えてから言った。

「だからこそ

俺も協力する」

レオンハルトが聞く。

「どうやってだ」

セシルは答える。

「情報だ」

そして講堂を見渡した。

「この学院の学生

誰がどこにいるか

だいたい把握している」

ユリウスが言う。

「顧客網ですか」

セシルは頷いた。

「商会の人脈は広い

学生にも友人が多い」

そして静かに続ける。

「不自然な動きをしている学生がいれば

すぐ分かる」

ユリウスは頷いた。

「それは助かります」

セシルは笑う。

「推理は任せる

頭がいいのは君だ」

ユリウスは静かに言った。

「役割分担ですね」

アレクシスは短く言う。

「協力しろ」

セシルは軽く礼をした。

「王太子殿下の命令なら」

そして講堂を見渡す。


そのとき。

講堂の在校生の席付近で。

ピンク色の髪の少女が立っていた。

リリア・フェアライト。

彼女はレオンハルトを見つめている。

MODウィンドウ。

そして小さく呟いた。

「……やっと見つけた」

王太子アレクシスの前で、レオンハルトの護衛騎士たちは少し陣形を崩していた。

レオンハルトにしか目が行っていないリリアには攻略対象者アレクシス、セシル、ユリウスがそろっているのも気にならなかった。

レオンハルト・アルヴェリアが視認できる。

ステータスを確認する。

レオンハルト・アルヴェリア

好感度

クラリス:最高

リリアはため息をついた。

「また外れ」

MODのリセットボタンを押す。

その瞬間、世界が白く染まった。


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