魔術手術 ~ Contraindicated Surgery
( *・ω・)ノヤァ( _ᐛ )ノユゥ(*゜▽゜)ノヨォ
【#モノ】です。
最終章なのでだいぶ長いですが、読んでいただけたら有難いです。
ツッコミどころも多いですが、楽しんでください。
追記~次の作品ができるまではこちらを最終回とさせていただきます。
*月*日
外の様子は黒雲が広がっており、朝の筈なのに暗い…
しかし、少女アイリスはそんな事を気にしないで、ベットで眠っている。
師「アイリスぅ…調子はどうだぁ?」
ア「…………」
師冶が様子を確認しに来ると、天井の一点を見つめているだけで、反応は無い…
体を揺さぶってみても、声をかけてみても、屍の様になっている…
師「…くそっ!
また失敗か…何が…何がいけない…」
師冶は机に置いといた本を手に取り、必死に中身を確認している…
アイリスは背中を向けた師冶を見ると同時に、起き上がる。
そして、隠してあったハサミを握り、師冶の元へゆっくりと近づいて行く…
師「早く…早く治さなければ…
アイリスが幸せになる為に!」
(グサッ!)
師「…えっ…」
師冶は背中に痛みを感じ、振り返ってみる…
後ろにはアイリスがおり、ハサミで自分を突き刺してた…
師「…えっ、アイリ…」
アイリスは刺したハサミを抜いて、再び師冶を突き刺した…
何回も背中を突き刺したり、腹部にも何回か突き刺して、アイリスは返り血で赤く染まる…
「せっ!先生!」
看護師がアイリスの部屋にやってきて、悲惨な光景を目撃する…
看護師は怒りと日頃の怨みをぶつける為に、持っていたペンでアイリスに襲い掛かる。
しかし、アイリスが先に看護師の左目を潰し、その場に倒れさせる…
そして、師冶同様に体中を滅多にし、辺りを血の海にさせる…
師「(ア…イリ…どうし…)」
アイリスの高笑いが聞こえると共に、師冶の意識も遠くなっていく…
大切な魔導書を抱えながら…
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師冶が本を開き、呪文の様な物を唱えると、魔法陣が展開され、空泡に向かって攻撃してくる。
ある魔法陣からはメスを、ある魔法陣からはハサミを、ある魔法陣からは光の弾を出し、空泡を死に追いやろうとしている…
空泡も華麗に弾幕を避けながら、師冶に目掛けて札を投げ捨てている。
空「くっ!医療器具をそんな扱いすんじゃねぇよ」
師「…なら、これはどうかなあぁあああ?
【黒い巨塔】」
師冶は足元に無数の魔法陣を展開させた。
そして、その魔法陣から黒い柱を作り出し、空泡の行動範囲を狭めたり、あわよくば押し潰したりしようとしていた…
空泡は飛んで柱を交わしたり、生成された柱を破壊し、上手くかわしている…
師「ふふっふぅうぅっ!
療子を退治しただけあるなぁあぁあああぁ!」
空「そんな単調な攻撃当たるかよ!」
師冶は一旦攻撃をやめ、高く宙に浮かぶ…
そして本を捲り新たな攻撃を繰り出そうとしている。
師「そうかぁあそうかぁぁぁ…
じゃあぁ次はこれだぁあああぁぁぁぁ!
【特攻役患者】!」
師冶が指を鳴らすと同時に、周りにあった死体が動き出した…
そして、そのまま空泡の元へ突撃してくる…
空「(あの猫と同じ攻撃か?
なら、飛んでおけば問題はないか…)」
空泡が宙に浮かぼうとした時、何体かの死体が爆破四散した…
空「…んなっ!?」
爆破した死体からは、赤黒い弾が発生し、飛んできて、空泡は被弾してしまった…
師「材料を再利用してぇぇえ!
私の武器に変化させたんだぁあああぁ!!」
空「んなもんありかよ!?」
師「使える者は使わないとなああぁぁぁぁああ!」
空「クソ医者め…」
師「行けぇぇぇ、捕まえるか殺せぇえぇ!」
師冶がそう指示すると、死体は一斉に空泡の元へ向かってくる…
空泡が宙に浮けば自爆して弾を飛ばしてくるし、地上に降り立てば、死体に囲まれる…
四面楚歌な状況に、空泡は頭を悩ませ、打開策を思い浮かべるまでは、逃げる事にした…
─────────────────────
射竜は日輪病院まで戻ってきて、アイリスから身を
隠す。
昨日から走ったりして、疲労感が一気に押し寄せてきた…
息を整えながら、射影機で撮った写真を確認してみる。
射「う〜ん…やっぱりハッキリ写ってるなぁ…」
アイリス (霊体) 、死体、幽霊…
どれもが有り得ない物ばかり…
射竜は射影機が何なのかを考えようとしたが、今はそれどころでは無い。
アイリスの興奮を抑える方法を考えないといけない。
射「まずは話し合い…
いや…あの様子じゃ駄目だよな…
何かを差し出す…時間が無いな…」
今自分に何ができるかを射竜は考えるが、あまりいい案が浮かばない…
射「こういう時、空泡ならどうするだろう
………
有無を言わずに攻撃するだろうなぁ」
ア「なぁに話してるのー?」
射「!?」
背後にアイリスがいつの間にか存在していた…
振り返ると同時に、ハサミによって逃げ場を失われてしまう…
射「あっ…」
ア「うふふ♪つーかまーえーた♪
【ギロチンクリッパー】」
アイリスの技により、射竜の体は真っ二つに分かれてしまった…
ア「アハハ!
…?あれ?」
アイリスは目を丸くさせる。
切った筈の射竜はその場に座り込み、怯えている…
アイリスは確かに切った筈だと思い、射竜に触れてみる。
射「ひっ!?
やっ…やめ…!」
ア「………
お兄ちゃん、何で生きてるの?」
射「…へっ?
なっ…何が?」
ア「私、今ハサミでチョッキンってしたはずなのに
なんでなんでー?」
アイリスは射竜の服をめくって、触ってくる…
射竜はくすぐったそうな声をあげながら、どうしてかを考えてみる…
射「(…そういえば、外で空泡くんに貰ったあれっ
て…)」
射竜はポケットにしまっておいた紙を取り出してみる。
でてきたのは、上下に分かれた人型の御札一枚と、くしゃくしゃになっている人型のお札二枚…
射「そういえば…空泡くんはこれを持ってれば安心だ
って、外で言ってたような…」
ア「へぇ、そうなんだ」
射「!?」
アイリスは射竜の言葉を聞いて、笑みを浮かべる…
ア「じゃあお兄ちゃんとはあと二回遊べるってことだ
ねー」
射「アイリスちゃん…どうしてこんな事するの」
ア「なんで?
う~ん、なんでか~?」
射竜の問いのアイリスは考える。
アイリスが考えている最中、射竜は射影木を構え、アイリスを写そうとする…
射「…えい!」
シャッターを押すが、寸前のところでフレームから外れてしまい、収めることができなかった…
ア「へっへーん!同じ手には乗らないよ♪」
射「っく…」
ア「質問に答えてあげるね
私はねー…生きていて全然楽しくなかったの♪
毎日ベットの上で、毎日が検査…
友達もいないし、ママとパパもお見舞いに来なか
ったし、必ず治すって言ってた先生はおかしくな
っちゃたし…」
射「………」
ア「おかしくなった先生は私の体をバラバラにした
り、謎の薬を投入したりしたの
それで私、もう我慢の限界が来てー」
射「…来て?」
ア「先生をハサミでめった刺しにしたんだー♪」
射「…っえ?」
ア「先生を殺した時、私は今まで感じた事のない気持
ちが生まれたの♪
先生の悲鳴と溢れ出る血…その後来た療子さんも
殺してね♪
もっともーっと人を殺したいなって、思った
の♪」
アイリスが楽しそうに話しているが、射竜は吐き気と恐怖が収まんなかった…
あんな幼い少女が人を殺し、尚且つ殺しを楽しんでいる事に、射竜の頭は真っ白になった…
ア「これからも、私は人を切り刻み続けるんだ♪
病気で苦しんでいた頃の私はもういない、第二の
人生の始まり始まり~♪」
射「…悪いけど、それはさせないよ」
ア「ほえ?」
射「(正直、僕にできる事は少ないけれど…
この射影機を扱えば…)
殺意に縛られたキミを成仏してみせる!
どこまで出来るか分からないけど…」
ア「私と本格的に遊んでくれるの?
やったー!」
アイリスは飛んで喜んでいる、その様子だけを見れば、ただの少女である…
ア「お兄ちゃん、滅多刺しにしーてあげる♡」
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光の針を死体に飛ばしながら、師冶にも札を飛ばす。
しかし、師冶に投げている札はことごとく防がれしまっている…
師「はっはっあぁぁあ!
ぬるいぬるいぃぃいいぃゐゐ」
師冶は余裕そうにしている。
そして、死体を次から次へと生み出している…
師「逃げてばかりじゃ、つまらんぞおぉぉおぉお
お!?」
師冶が叫ぶが、空泡は聞いておらず、死体に針を飛ばし続ける…
いくら死体に打ち込んでも、師冶が復活させてしまうので、きりがない…
しかし、空泡は焦っている様子を見せずに、死体との鬼ごっこを続けている…
空「(よし…そろそろかな)」
師「ん?なんだぁあ?」
周りをぐるぐる走っていた空泡は突如、中心へ向かって走っている。
死体も後に続き、空泡がいる中央へやってくる。
師「何をする気だぁあああぁ?」
空「ふっ、見てなって
【色空結界】!」
空泡が結界を作りだし、全死体が結界内に閉じ込められてしまった。
師「死体を一か所に集めて、何になるというのだああ
あぁ!」
空「まぁ、見てなって」
空泡は指を鳴らし、結界を解除する。
張られていた結界は無くなり、中身は何も無くなっていた…
師「…何?
何で中にいた死体がいない…
死体が何処に行ったぁぁぁあ!?」
空「消したんだよ、俺の力でね」
師「何だと!?」
空「お前に投げてた札の中に、結界を作る用の札も投げ
てたんだ
そんで準備ができたから、死体を誘い込んで、結
界を張って、中にいる奴らを無の存在に変える
いやぁ、疲れた疲れた」
師「なんだとおぉ…」
師冶が衝撃を受けていると、光の速さで空泡は師冶の元に近づき、頭にかかと落としを食らわせる。
かかと落としを食らった師冶はすさまじいスピードで、下に落ちていく。
叩き落された師冶に、空泡は留めを誘うとする…
空「これで終わりだ!【無蝕透明】!」
光の弾を数個作りだし、下にいる師冶に直撃させる。
師「ぐあぁあぁぁぁ!?!!?
あっ…アイ…リ…」
光弾が全て直撃した師冶は果ててゆく…
そして最終的に消え失せた。
空「…ふぅ、終わったか」
空泡は下に降りて、師冶がいた所へ近づく。
空「よし、完璧に消え失せたな
…にしても、あっけない最期だったな」
「…それはだなぁぁあ」
空「あん?」
|
師「…何故治せない
全ての検査もした、原因も探った…
何故…何故…何故だ!!?
私の腕では…アイリスを治せないのか…!」
師冶はアイリスのカルテを見て、酷く狼狽える…
いくら手術しても治らない不治の病に彼は絶望をしていた。
師「早くアイリスを楽にしなければ…
約束を果たさなければ…」
「悩める医者よ」
師「…はっ?」
突如として聞こえた声に、師冶は声をあげ、周りを見渡してみるが、誰もいない…
あるのは無数の本ばかりで、人がいる気配なんて無かった…
師「なっ…何だ?
私、疲れて幻聴が…」
「不治の病を治す方法を知りたくないか?」
師「…!?」
「我ならその病を治せるぞ…」
師「なっ…何だって!」
「知りたいなら、我を手に取れ
そうしたら、全てが分かるぞ…」
師冶は半信半疑で声のする方へと近づいていく…
幻聴に身を委ねるなんてどうかしていると自覚しながら…
そして、本棚を漁り、一つの本を見つけ、それを手に取る…
「…おめでとう、貴様に我の力を捧げよう!」
|
聞いた事のある声が聞こえ、空泡は周りを確認してみる。
すると、少し離れたところに師冶が持っていた魔導書が浮かんでいた…
空「…何だ?」
「我が彼奴を操っていたからなぁぁぁああ!」
空「はぁ…」
「せっかく我という力を分け与えたというのに、なんて不
甲斐ない奴よのうぅぅう…
あの少女に殺され、死後も協力してやったと言うの
にぃぃぃいいいい!」
空「お前が全部の黒幕ということだな?」
「左様、我は黒魔術の始まり…名は…」
空「名乗らなくて良い」
「なぬっ!?」
空「こっちはもう疲れてるんだ、本なんかの相手をし
ている暇は無い」
空泡は指を鳴らし、結界を発動させる。
「ふんっ!そんな結界、我には…」
魔導書は何か魔法を唱えるが、何も起こらなかった…
「なっ…何故だ!?」
空「この結界は如何なる者も抵抗できない
お前が何をしても、意味は無い」
「きっ…貴様!?
我の出番はここまでと言うのか!?」
空「じゃあな、全ての元凶
無の世界で生き続けるが良い」
「おっ!おのれぇぇぇええぇぇぇ!」
魔道書は消え失せると同時に、空泡のいる空間が崩れ始めた…
空泡は身を守り、瓦礫や破片に当たらないようにする。
│
空「…ここは」
狭い手術室に空泡は佇んでいた…
周りにある棚も、近くにある台も見た事がある。
空「戻ってこれたのか?」
空泡が今いる場所は日輪病院の手術室。
あの魔導書を封印したら、元に戻る事が出来た。
空「それにしてもあの藪医者
魔導書に取り憑かれていたとはな…」
黒幕は医者では無く、持っていた魔導書だったとは、空泡は一ミリとも考えていなかった…
魔導書を扱っていたのでは無く、扱われていた医者を哀れに思いながら、空泡は手術室から出る…
空「さて、射竜を探さないと
そんで、残酷な真実を伝えないと…」
(ドゴーン!!!)
空「!?
なっ…なんだ!?」
─────────────────────
アイリスから逃げ、アイリスの攻撃を避け、アイリスから身を隠す…
射竜は自分が普通の人間である事を忘れる程、人間離れな事をしている…
隙を見つけては射影機を構え、写真を撮るが、アイリスは中々にタフであり、倒れてくれない…
そもそも、写真を撮る意味があるのか分からないが、撮らないよりは良いだろうという精神である為、写真を取り続けている。
射「はぁっ…!はぁ…!」
ア「アハハっ!チョキーン!」
射「…っ!」
アイリスに切られてしまうが、身代わりのおかげで助かったが、貰った御札は使い切ってしまった…
射「(もう切られたら命は無い…
僕も最後…必ず決める…!)」
ア「アハハっ!アハハハハハ!
もう終わりにしましょう?
【エクスキューションオペレーション】!」
アイリスは掌に力を溜めている…
射竜はチャンスだと思い、射影機を構える。
射「…これで最後だ!」
射竜は思いを込めてシャッターを切る。
しかし、射影機は反応が無い…
射「…!?
なっ…なんで!」
何回もボタンを押すが、射影機は動かなかった…
射「こんな時に故障!?
冗談はやめてよ!」
ア「アハハ!楽しかったよお兄ちゃん ♪
バイバイ ♪」
射「あっ…」
アイリスが溜めた赤黒い光が、射竜の元まで飛んでくる…
射竜は死を悟り、動く事なく目を瞑った…
空「射竜ッー!!」
(ドゴーン!)
|
大きな衝撃音が鳴り響くと同時に、射竜は目を開けてみる…
射「……?
アレ…僕は…」
空「射竜!大丈夫か!?」
射「えっ…空泡くん?」
目の前にいたのはいなくなっていた空泡だった…
空泡は結界を作り、アイリスから放たれた赤黒い光線を防いだのだ。
射「空泡くん!無事だったんだね!」
空「それはこっちの台詞だ!
お前!よく死なずにいたな!」
空泡と射竜は互いが無事だと知ると、大きく喜び手を取り合う。
射「…あっ!みんなは!
みんなは見つかったのかい?」
空「………射竜、お前に言わなきゃ…!」
空泡が射竜に何かを伝えようとした時、何かが飛んできて、空泡は射竜を抱えて避ける。
空「なんだぁ?お前…」
ア「アイリスだよ ♪」
空「あん?」
射「空泡くん…あの娘は…」
射竜は空泡に目の前の少女の事を伝えた。
病に侵され、医師に縛られた事を…
空「…あぁ、その医者なら、さっきボコして消滅させ
てきたぞ」
射「…えっ?」
空「あいつは、どうやら魔導書に操られてたらしい
だから、人間離れした荒治療が出来てたんだ」
射「…どうしてそんな事を?」
空「さあな?聞くのがめんどいから、そく消滅させた
よ」
射「そんな無茶苦茶な…」
空「…おい、小娘」
ア「………」
空「お前がアイツに縛られてたのならば、もう安心だ
医者はもう存在しない、だからさっさと成仏し
な」
空泡はアイリスにそう促すと、黙ったまま宙に浮いている…
襲ってくる様子も無い。
ア「本当に先生をやっつけてくれたの?」
空「あぁ、やっつけたよ
(大した事なかったけど)」
ア「そっか〜、分かった!」
空・射「?!」
ア「先生を殺してくれてありがとう ♪
またね ♪」
アイリスはお礼を言うと消えてしまった…
アイリスがいた場所には虚無が残る…
射「………」
空「何だったんだ?
…射竜、大丈夫か?」
射「あっ!
…うっ…うん、大丈夫だよ」
射竜は引きつった笑顔で空泡に答える…
空泡も穏やかな笑顔で射竜の事を見つめる。
射「アイリスちゃん…成仏できたのかな?」
空「あれ程の強い悪霊はそう簡単に成仏は出来ないだ
ろう」
射「そっか…
アイリスちゃん、人を殺さないと良いけど…」
空「まぁ、大丈夫だろ」
射「…なんでそんな事が言い切れるの?」
空「僧侶としての勘」
空泡がそういうと、射竜はおかしいと思い、吹き出してしまった…
空「…なぁ、射竜」
射「…なぁに?」
空「お前に伝えないといけない事があるんだ」
射「…………」
空泡が何を言いたいのか、射竜は薄々気づいている…
聞いた方が良いのか、現実から目を逸らしたほうが良いのか…
空「やっぱり、言わない方が…」
射「…ううん、聞かせて」
空「!
…射竜」
射「聞いてあげないと、みんなが報われないから…
だから…」
空「…射竜」
射竜の目から涙が流れる…
空泡は射竜に寄り添い、胸を貸してあげた。
─────────────────────
「射竜〜!」
クラスメイトの友人が射竜の名前を呼ぶ。
射「どうしたの?」
「今日、野球部の練習が休みなんだ
だから、放課後遊ばないか?」
射「………
ごめん、今日はちょっと…」
「………そうか
分かった」
射「ごめんね」
「気にすんなって」
射竜は遊びの誘いを断った後、教室から出て行ってしまった。
「麻生くん…大丈夫かな…」
「凄く辛そうなのに、いつも通りだよね…」
「警察や先生からいっぱい事情聴取されたらしい
よ…」
クラスメイトが、射竜の事を話している。
あの後、日輪病院…では無く太陽診療所は警察によって捜査された。
その結果、診療所から大量の白骨死体と最近できた死体が見つかり、大きな話題となった。
射竜もメディアなどに沢山注目されたが、結果として謎のまま終わってしまい、射にも黒い噂が流れる様になってしまった…
「麻生の奴がやったんじゃね?」
クラスメイトが冗談でそういうと、射竜を遊びに誘ったクラスメイトが殴りかった…
「痛ってぇ…」
「お前!射竜がどんな気持ちでいるか分かってんの
か!
アイツは…仲間を一気に失ってるんだぞ!」
「分かってるよ…麻生がそんな事する訳ないって…」
射竜は人柄がよく、みんなにも優しい性格をしていた為、学校生活で不便な事はなかった。
むしろみんなが寄り添ってくれて、精神が安定している…
「ったく…それにしても、射竜の奴
最近何処に行ってるんだ?」
|
射竜は空泡の住むお寺に来ていた。
家にいても、マスコミが押し寄せるだけで、気が休めないからだ…
射「はぁ…」
空「どうした?ため息なんかついて」
射「…理由、分かってるよね?」
あれ以来、射竜は空泡と仲良くなり、今では親友的なポジションである。
あの日、寺に泊まる事になり、射竜が食事を振舞ったら、空泡が絶賛しそれで親交ができたのだ。
空「まぁ、忘れろとは言わないぜ
むしろ、忘れるなよ」
射「うん、分かってるよ」
あの診療所での出来事は、忘れる事は出来ない…
心霊部のみんなやアイリスちゃんの事も…
射「そういえば…どうして日輪病院は廃病院になった
んだろう?」
ふとした疑問が思い浮かび、空泡に聞いてみる。
空「あぁ、それは…」
「それはねぇ〜!」
射「えっ!?」
空泡では無い、幼い少女の声が聞こえた気がし、射竜は寺の中を確認してみる…
「ばぁ!!」
射「うわあぁっ!?」
「アハハっ!うりゅーくんだ!」
飛んできたのは診療所で見た少女、アイリス…
射「なっ!?なんでキミが…!」
空「俺が連れてきたんだよ」
射「…えっ?」
空「あの後、もう一回診療所に行ったら、そいつがい
たんだよ
そんで、放っておくのもアレだと思って、俺が監
視する事にしたんだ」
空泡の説明を聞いて、射竜は納得してしまった…
確かにアイリスを一人にしてしまうと危険だし、一人でいると寂しそうだと思ったからだ…
だったら、成仏させてた方が良いんじゃないかと射竜は思ったが、口にはださなかった。
ア「うりゅーくん、遊ぼ!」
射「うっ…うん、いいよ」
あの時のトラウマが思い浮かぶが、アイリスもある種被害者だったんだと思いながら、共に遊ぶ事にした。
〖魔術手術 END〗
キャラクター
*无色 空泡
射竜と友人になり、アイリスを引き取った、お人好し僧侶です。
射竜の卵焼きが好み。
*麻生 射竜
悲しくて残酷な経験をしましたが、新たな友達と出会えました。
心霊部は射竜が卒業するまで存在する事になりました。
*藪石 師冶
二つ名:闇の藪医者
闇の藪医者
「荒治療をする」という特徴を持つ。
廃病院の主。
生前は普通の良心な医者だったが、一人の少女を原因に精神を病んでしまった。
どうしても治せない不治の病。
そんな時に禁忌された手術が記された本に目を付けられてしまう。
黒魔術を扱えば、少女を治せるかもと考えた師冶は死んでも永遠に黒魔術の本を片手に約束を果たそうとしていた。
ちなみに、日輪病院が廃病院になった元凶である。
死後も約束を果たす為に、材料となる人間を探していた。
*魔導書
師冶を操っていた謎の本。
人を惑わす呪われた魔導書であり、自分の力を必要としている人間の元に現れ、甘い言葉でさそい、破滅へ追いやる存在。
空泡によって、存在を消された。
*アイリス・コープスメル(Iris・Corpsmel)
二つ名:切り裂き少女
切り裂き少女。
「あらゆる物を切り裂く」という特徴を持つ。
師冶が治そうとしていた少女。
友達にテディベアの“フラン・コープスメル“がいる。
生前は不治の病を患っていた少女。
そんなアイリスに凄腕医師の藪石師冶が不治の病を治してくれると約束してくれて、アイリスは信じていた。
しかし壊れた師冶により、彼女の日常はまた遠ざかってゆく。
もう生きたいという夢すらも見なくなっていた。
そして少ない体力を使い、信用していた師冶と嫌われていた療子を殺したと同時に、自分の命も尽きてしまった。
死後も何故か診療所に縛られ、長い間孤独でいたが、空泡と射竜と出会い、今は幸せに過ごしている。




