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味の旅路~放浪するエルフは糧を求めて今日も往く~  作者: 壬生
世話になった貴方に最後の感謝を
15/25

医食同源という考え

焚き火の明かりが、山道の一角を柔らかく照らしていた。

シタレ蛇の串焼きが鉄板の上でちりちりと音を立て、脂からは香ばしい香りを上げる。


「塩だけでこれかよ……」


金串から外した大きな肉を、クルツがひと口食べて、ため息をもらす。


「外は香ばしく、中はとろける……なのに臭みが一切ない。これ、本当にあの化け物か?」


「脂に甘味がある。干しセッタと合わせるのもいいだろうし、生のクムユを刻んだものをのせても美味そうだ」


リフィがぼそりと呟くと、クルツが笑う。


「腹いっぱい食ったあとにもう次の工夫か」


エルドも右腕をさすりながら肉にかぶりつき、頷いた。


「リフィ……助かった。料理も、薬も、見事だ」


焚き火の炎がぱちりと跳ねた。その赤い光を見つめながら、リフィはぽつりと口を開いた。


「……“医食同源”という言葉があるらしくてな。体の不調を治療するのも、食事を摂るのも、ともに生命を養うためで、その源は同じという考え方らしい」


「……は?」


クルツがぽかんとし、エルドも一瞬眉をひそめた。


「その言葉、誰に教わったんだ?」


リフィは少しだけ目を細めると、懐かしむように答えた。


「昔、旅の途中で出会った変わった人族の女からだ。

“前世では薬を扱う学び舎に通っていた”と自分で言っていたよ。

薬も料理も、知識を積めば積むほど、互いに近づくんだってな」


エルドが目の前で焼かれた蛇肉を見ながら苦笑する。


「食って治す。確かに……今の俺には妙にしっくりくるな」


三人は静かに焚き火を囲み、香ばしく焼かれた肉を口に運びながら、山の中の野営地で夜を過ごした。

空には雲ひとつなく、満天の星が静かに瞬いていた。

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