秘密の9割は予期せぬ事態で秘密ではなくなるらしいですよ
夜、黄泉山の病室には黄泉山に呼び出された雀蘭とベインの姿があった
「それで、話って?」
「ああ、ベイン、頼んでた物は?」
「持ってきましたよ、完全オフラインのラップトップ、倉庫に眠ってた骨董品ですけど一応動きます」
ベインからラップトップを受け取り、隠し持っていたUSBメモリを差し込む
「これから話す内容は万が一適切な方法以外で世に放たれれば最悪この国が崩壊するような情報なんだけど…回れ右して知らない選択をするなら今だよ?」
「お前の家を爆破した奴の話なんだろ?そんなに大事なのか?」
雀蘭の問に頷く
「今の所これを知っているのは俺と権蔵さんだけだよ」
「権蔵…治安維持局局長の金欲権蔵か…」
「何故そんな情報を自分達に?」
「2人は信用出来るからね、それで、覚悟は良い?」
2人が頷いたのを見て、権蔵さんと見つけた『得難き翼の黎明』のファイルを見せる
暫くして、2人が神妙な面持ちで口を開く
「…確かにコレは戦術核弾頭級の厄ネタだな」
「『A=E細胞』…遺伝する感染症…黄泉山さん、少し協力して頂けますか?」
「何だ?」
「ユキさんとミドリさん、そして月詠さん、あとお二人の血液と細胞のサンプルを採取させて頂きたいんです。{不死者}発症者と未発症者の違いが何処にあるのか調べます。もしかしたら発症を抑える方法が見つかるかも」
ベインの言葉に直ぐに頷く
「それと雀蘭さん」
「何だ?」
「この資料に書かれた『A=E細胞』の元になった人物に心当たりがあります、本人の居場所は分かりませんが、直接コンタクトを取れる人物が居ます。」
「マジかよ!」
「マジです。連絡先を教えるので2人共ここに連れてきてください、自分の名前を出せば分かるはずです」
「…流石だな先生」
ーーー
翌日、その翌日とアーテリーの治療を受けてどうにか黄泉山立ち上がれるようになって来た頃、昴達は3人で話し合いをしていた
「…黄泉山さん、絶対私達に隠してる事あると思うんだよね」
「なんか「折角病院に居るんだから」ってベインさんに血とか抜かれたっすけど、あの人も何か隠してるッスよ!」
「雀蘭さんも…慌てて出て行っちゃいましたし…」
「うんうん…ここは1つ、黄泉山さん達が隠してる事を私達で暴くのはどう!?」
「辞めておいた方がいいですよ」
居ないはずの人の声に驚き振り向くと、アーテリーさんが扉を開けて立っていた
「もし知ってしまうとそれだけで命の危険がある、そういうものはこの世界に沢山あるんです。黄泉山さんが皆さんに話さないって事は、皆さんを守る為なんです。」
「で、でも…」
「私からはこれ以上言える事はありません。それより黄泉山さんの今日の治療は終わったので面会出来ますよ」
そう言うとアーテリーさんは部屋を立ち去った
「…とりあえず面会行こっか」
「「…はい」」
ーーー
「黄泉山さん、結構良くなってきた感じ?」
「うん、あと数日で退院出来そうだよ」
「そっか…ねえ黄泉山さん、私達に何か…」
その時、病室の扉が凄い勢いで開かれ、2人組の男女が現れた
「私の羽から危ない細胞が作られてトンデモ秘密結社がそれで{不死者}を造り出して、その{不死者}が脱走して危ない細胞を世界中にばら蒔いたって聞いたんだけど本当!?」
「…えっと、どちら様?」