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鎖町百景-百人の異能力者の群像劇-  作者: 読留
卯月・七不思議戦争
13/58

4/14-④「取材記録:生徒会長」

 生徒会室前にて。


「あなたたちが噂の異能部ね。教頭先生から話は聞いてるわよ。あの岸波君も加入したとか。本当に不思議な面子ね。それで…話って何かしら」


 黒い長髪の一部を三つ編みにして垂らしている、我が校の生徒会長・色恋(しきれん)は笑顔ながらも少し怪訝そうな眼差しを私たちに向けてくる。彼女の上の名前は流石に知っている。下の名は知らないが。彼女のこの学校での人気は異常だ。校則の緩和、学力の底上げ、新たなイベントの開催。そして、容姿端麗、文武両道、温厚篤実(おんこうとくじつ)。この学校で生活するうえで彼女の名は嫌でも耳に入る。


「七不思議?なるほど、部活動の一環という訳ね。…放送部の子から聞いた話なんだけど」


 一瞬だけ考える仕草を見せたが、すぐに思いついた様子だ。


「ある日、その子が朝の放送の当番に遅刻してしまったらしいの。それで、他の放送部員に謝罪した。ところが、朝の放送は何の異常もなくいつも通り進行していたらしく、みんなに不思議な顔をされた。一応その子の声では無かったから、みんなはてっきりその子が代役を頼んでいたものと思っていた。もちろん、その子はそんな覚えはない。そこで部員全員に確認したが、誰も放送などしていないらしい。思い返してみると、部員の誰の声でも無いような気がするらしい。

 

 じゃあ、あの声は誰のものだったのだろうか?


 ……という話よ」


 腕を組みながら、色恋は淡々と語り終えた。


「それは未解決なんですか」


 宇治山君が聞く。


「ええ。何ヶ月か前の話だけど、未だに放送室に入るのを怖がってる部員もいるそうよ」

「他に放送室にまつわる話は無いんでしょうか」


 私が問うた。


「……聞いたことはないわね」

「そうですか。ありがとうございます」


 軽く会釈して立ち去ろうとする。


「あなたたち」


 またまた呼び止められた。何だというのだ。揃いも揃って。


「……いや、何でもないわ。部活動頑張ってね」


 色恋生徒会長は、少し物憂げな表情を見せたかと思うと、すぐに手本のような微笑みをこちらに向け、激励(げきれい)の言葉を寄越してきた。

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