4/14-③「取材記録:二年生 ボランティア部 男子生徒」
廊下にて。
「七不思議かぁ…。うーん……あ、階段の話なら聞いたことあるぞ」
二年生のフロアに、ボランティア部の活動中であった岸波君が偶然通りかかったので、彼にも話を聞いておくことにした。様々な生徒や教師と関わる分、七不思議についても聞く機会が多いかもしれないと思ったからだ。案の定、何か知っているようだ。
「この学校のどこかによ。登っても登っても登り切れない、下っても下っても下り切れない、つまりそこに永遠に閉じ込められちまう階段がある、っつー話だ」
「なるほど…他には何かあるかい?」
宇治山君が質問する。
「んー……、あとは割と有名だけど、運動場にある、ゴールポストが捻じ曲がったサッカーゴールとかか?昔にいたこの学校の生徒が純粋な蹴りだけで凹ませたっつー、あれだよ。あ、でも辰巳はまだ見たことないか?」
「まだ運動場に行く機会は無いからね。そんなものがあるんだ?」
「おう。まあ、サッカー部のデタラメだろうけどな。あいつらは、『俺らもこのくらいのシュート撃てるようになんぞ』みたいな感じで、冗談半分で代々パワースポット的役割にしてるんだよ。あははっ、物は考えようだよな」
岸波君は呆れたように笑う。
「はははっ、確かに。でも、意外とそういうの大事かもね。……じゃあ、部活の邪魔しちゃ悪いし、俺たちはお暇するよ。協力ありがとう」
「おうよ。まあ、一応部員だしな。面白い七不思議あったら、俺にも教えてくれよ!」
「ええ、もちろん」
そう言って私たちは互いの持ち場に戻ろうとした。
「…あ、それとよ」
これで今日、三度目の呼び止めである。
「色恋さんに聞いてみたらどうだ?立場上いろんな人と関わりあるから、何か知ってるかもしれねえぞ」