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訳の分からない世界は嫌いなので  作者: ぺん ぎんこ
9/11

7

館の前にはあれだけ人間の気配がするのに分からないのだろうか?家の中ではなく、外にいれば分かると思うんだけどなぁ。

というか、飽きてきた。

目の前の二人を殺して、両親を完璧に助けた上で首を見せるのも悪くないかもしれない。けど、我慢だ。流石にそんな簡単に殺していては人間が滅んでしまう。我慢して面白い事を待とう。

なんか、二人が話してる。

どうするか、悩んでいるようだ。私に頼めば良いのに、殺せって。

三人で行けば私が守りきれずにって事になるかもしれないけど、私一人ならいけるのに。

三人か……私もだんだん人間に慣れてきたようだ。


「ねぇ、メルティはどうしたら良いと思う?」


マリーが私に聞いてくる。


「私に頼むしかないんじゃないかしら?殺して来いって。」


それ以外は面倒だと思うわよ、ほんと。仲間を集うにしたって、私達に与するような馬鹿な人間は早々、見つからないだろう。


「え、いけないんじゃなかったの?」


ケントがそう聞いて来る。


「お前ら、お荷物がいたら守り切るのは難しいかもだけど、別に私一人ならどうにでもなるわよ、きっと。」

「きっと?」

「いないと思うけど、私クラスがいたら厳しいじゃないのよ。」


「あー、多分いないと思いますよ?」


マリーがそう言って来る。


「なんでかしら?」


言い切れないと思うのだけども。


「メルティがもう、騎士団で一番強い人を殺してるから。」

「騎士団ねぇ、あれって騎士団だったのね。」


知らなかった。


「じゃあ、なんだと思ったの?」


呆れた様に聞いて来る。


「バカ。」

「……それ、答えになってないよ。」

「そっか、でも、まぁ、じゃあ行って来るわね。二秒で終わると思うから着いてくるかしら?」


瞬殺で終わると思う。


「さっきと言ってる事が違いすぎないかな?」

「気のせいじゃないからしら?」

「……そんな事ないけど。」

「黙れ。私に意見するとはどれだけ偉いのかしら?」

「そうやって脅せばいいってものじゃないよ。」


責めるように言われる。


「あっそ、それは私以外に言うものよ。私のは脅しじゃなくて事実よ。人間如きが私に逆らうんじゃないわよ。」


私がそう言うと、マリーはなんだか悩んだ素ぶりを見せる。


「……ねぇ、私さ、考えたんだけど、メルティがなんで私達を助けたんだろ?って。でも、考えたところで分かんなくって、けど一日中一緒にいた事で分かった事もある。メルティは私達がどうなってもいいって思ってるくらいは分かった。なんで、それなのに助けてくれるの?」


「愚問ね、そっち方が面白い事になるかもしれないからじゃないの。」


貴族の娘で、迫害されてて、殺されそうだなんて面白そう。結末が見てみたい。それだけだ。


「どうゆうこと?」

「蟻の群れを殺すのって面白いでしょ?それと同じよ。」

「待って、まずそれ面白くないよ。」

「そうなの?じゃあ、分かんないと思うわよ。じゃあ、行ってくるわね。」


私はそう言って、二人が何かを言う前に背を向けて歩き出す。

スタスタと歩きながら、館へと向かう。

私は歩きながら、天候を操る。

私の頭上には雨雲が出来て、それが徐々に広がっていく。雨がぽつぽつと降り始める。

やがて、雨雲が館の端にかかろうかという所まで広がる。

館を囲うように存在する森林で隠れている騎士達は鎧の中に入る雨を煩わしそうに感じている。そして、自分達の頭上にしか存在しない雨に警戒しているようだ。

警戒しても意味ないのに。


私は隠れている騎士達を目標にして、雷を落とす。

バリィ、と音がして雷が落ちる。大きな音が聞こえて、騎士達の上に雷が。

馬鹿みたいに連なった雷が、館を囲うように落ちた。特に、門の周辺には多い。


悲鳴すらあげる暇も無く、騎士達は一人残らず死滅した。


それと、木から煙が上がり始める。火が付いたようで燃え始める。私はその火をキラキラとした目で見る。やはり、なんだか綺麗だ。


「何事!?」


二人が私に走って近づいてくる。


「死んだわよ、騎士達。つまらないわ。」

「雷が凄いたくさん、落ちてたけど。もしかして。」

「そうよ、私よ。」


私は胸を張って言う。


「考えてよ!!燃えてんじゃん!!」


なんだか、怒っている。


「別にいいじゃないの。魔法あるんだし、火くらいから身くらい守れるわよね?」

「違うよ!!木が燃えたら駄目なの!!」

「なんでかしら?」

「なんだって、あの木達はね、庭師さん達が一生懸命に生やしてるの。自然の守りになりますようにって、外敵からの。」

「じゃあ、もう一回、生やせばいいじゃないの。」

「大変じゃん。」

「私は知らないわよ、そんなの。」

「そうだけどさぁ。」


「んな事より、早く行くぞ!!火を消さないと!!」


ケントがそう言ってぼうぼうと燃えるとこに突っ込んで行く。


「雨で消火できると思うわよ。あいつ馬鹿なのかしら?」


私が笑って、マリーにそう言うと、頭をペシンと叩かれた。

解せない。


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