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飽きた。飽きた、飽きた、飽きた。
此処にいろ、と言われて一週間?それくらいが経った。
もう、マジ飽きた。飽きすぎて、メイドで遊ぼうと思ったら、何故か止められる。制止の声くらい無視して、捥いでも良かったけどそれしたら追い出せれそうなくらいは分かっている。人間の常識も板についてきた。
それにしたって、暇だ。壁は一回壊したらめっちゃ怒られたし、直せって言われて面倒だったからしたくない。
もういいや、飽きたし街にでも行こう。行ったら駄目だと言われたけど、こんなに長く拘束されるなど聞いていない。
私は自らを水に変え、壁をすり抜け、外に出る。簡単に外に出れる部屋で良かった。私はそのまま、館から出る。誰にも見つかりはしなかった。木々は焦げていた。
昼頃で、太陽が真上にある。
私は街に行く。面白みのないただの煉瓦の街だ。街を行く人々も普通で単調であり、つまらない。もっとカラフルな服だとか、ドラゴンを飛ばしてみたりだとか、急に人々を殺しまくる騎士だとかいないのかな?
石畳の道路を歩いて、街の中心部にある噴水へと向かう。
そこには子ども達がたくさんいた。かけっこだとか、そう言ったいかにも餓鬼という遊びをして楽しんでいる。それを微笑みながら見る両親共が噴水を囲む様にある芝生のエリアになんかの布を敷いて座っている。
私は子ども達を蹴りたくなったが、それを我慢して噴水エリアを抜けると『奴隷商』という看板が掲げられた店の前に着く。
これが奴隷を売買する場所か。話だけは聞いていたけど、こんな風に堂々と商いをしているとは思って無かった。
私は店の中に入る。すると、店の中には奴隷の姿は無く、禿げたおっさんが一人カウンターでニコニコと私の来店を眺めているだけだった。木を基本とした店内の壁には沢山の人の絵が飾っている。どれも人間としては秀美であり、きっと高く値がついた奴隷なのだろう。これが商品なのだろうか?
「おい、ハゲ。これらが商品なのかしら?」
「……初対面でハゲって言うか?このガキが。で、奴隷のおつかいかい?家庭教師でも探しているのですか?」
ハゲは最初こそは砕けた口調だったが、段々と商売時のそれになっていく。雰囲気の変わりようがすごい。
「意外ね。私を客として向かい入れてくれるのね。」
「勿論ですとも。どこぞの貴族のお嬢様には見えないが、金は持ってそうなのでね。で、どういった物入り用で?」
なんだか仕事が出来そうな奴隷商だ。正直すぎるけど。
「見た目がいい子を探しているの。」
「それはどういった使用用途で?」
「私の話し相手にするのよ。」
「……友達探しでしょうか?」
言葉をどうやら選んだようだ。
「まぁ、そんな感じよ。あと、強いのがいいわ。雑魚は嫌いよ。」
「そうなると値が張りますが大丈夫ですか?」
「いくらくらいかしら?」
「金貨が四十枚は必要かと。」
「三十年は余裕で暮らせるわね。」
「まぁ、人生の値段ですから。」
「そうね。とりあえず見せてくれるかしら?」
「分かりました。では、これを。」
そう言うとハゲはカウンターの下から冊子を取り出す。私はその冊子をパラパラと捲ると人間の顔と体と金額が書いてあるものが何十ページもあった。
「珍しいでしょう。うちは専属の絵描きを何人も雇っとるのでそういった事が出来るんですよ。うちは奴隷の在庫数が多いですから、保管してるのは別の場所なんですよ。とはいっても、この街の端の方でまるっきり別の場所という訳ではないのですけどね。」
ほーん、と聞き流しながら奴隷を見ていく。
そして、ある程度、流し見し終えてから、目の前の男を一呼吸すら出来ぬ間で殺す。
「ありがとう。保管場所に行けばいいのね。」
べちょっと音を立てて頭部を失った男に礼をして、店を後にする。あの本に保管場所が書いてあったのだ。私は駆け足気味で保管場所へと向かった。




