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訳の分からない世界は嫌いなので  作者: ぺん ぎんこ
10/11

8

つっまんねぇ事にマリーの両親は生きていた。

マリーと人間の成体、二人が目の前で抱擁して、ギャンギャン泣いている。マリーとケントが不用心にも館に突っ込んで行った時は親が子を殺すとこが見れると期待したが、そんなことは起こらなかった。

使用人どもも感極まって泣いており、ケントですら薄っすらと涙目だ。

外が燃えているというのに呑気だなぁ。

まぁ、消しておくか。

私は雨の勢いを上げ、火消しにかかる。バケツをひっくり返した様な威力でようやく火が鎮まる。これなら、酸素奪ったほうが早かったかな?どっちでもいっか。

それが終わっても、なんか喋りながら泣いている。


まだかな?

長くない?


もういいよ。

殺したくなってくるなぁ。

私は気を紛らわせる為に近くにいるメイドに声をかける。


「私をかまいなさい。」


光栄な事だぞ、と私は態度で教える。


「は?なんですか?」


メイドが私を見下して言う。

よし、殺そう。こんなに使用人いるなら一人くらい良いだろ。


「おい、ちょっと待て。」


ケントが私の肩を掴む。イラっと来たので、殺意を込めて睨む。


「……っ!お、おい。今、殺そうとしただろ。」

「そうよ?なんで邪魔するのかしら?」

「するだろ、そりゃ。」

「だから、なんでよ。」

「なんでもだろ。」

「は?」

「は?」


会話にならない。


「そこのメイドさん、別に殺しても構わないわよね?」

「嫌ですけど、というか誰なんです?これ?」


私を指差しながら、ケントに聞く。よし、もういいわ。

私はゆっくりと手を上げる。掌が丁度、メイドの胸の辺りに来る。

心臓だけ潰すか。


「おい!だから、やめろ。」


殺そうとしたら、手を下げられた。


「マイさん、この方はお嬢様の命の恩人であられます。どうか、丁重に扱いくださいませんか?」


ケントが私を制しながら、メイドに頭を下げる。


「なるほど、では、先ほどまでの非礼をお詫びいたします。申し訳ございません。」


マイとかいうメイドはそう言って裾をそっと持ち上げ、一礼する。ケントの言うことは聞くらしい。

あれ?これ、なんで言うこと聞いてるの?てっきり、仲間なんていないって言うから家族や部下も全員、敵だと思ってたのに。

どうやら違うのだろうか?

もしかして、戦闘能力があるものしか仲間とカウントしてない?それはあり得そう。


「そう、ところでお前はアレの味方なの?」


私がマリーに指を指すと、メイドはニコッと笑うだけだ。頷きはしない。なんだ、見かけだけか。


「なるほど、じゃあ、コレはどう思ってるのかしら?」


私はケントを指差す。


「出来の良い後輩だという認識でいますわね。」


なるほどぉ。


「え、じゃあ、殺してもいいじゃないの。」


いてもいなくても変わらないし、敵になりそうじゃん。


「駄目だって言ってるだろ。」


そう突っ込まれる。


「先程から殺すと仰りますが、親が権力者なのです?」

「違うわよ。別に人間如き直ぐに殺せるだけよ。」

「……はぁ。」


納得していない、それどころか馬鹿にするような態度だ。


「メルティがまた何かしたの?」


抱擁をやめ、泣き止んだマリーがそう言った。


「別に何もしてないわよ。」

「おい。」


ケントが何か言いたげだ。


「そう、本当にありがとうね、メルティ。あなたは命の恩人です。」


そう言って、マリーが頭を下げると服が少し汚れた使用人どもも頭を下げる。なんだか、良い気分だ。猫がお腹を出して、服従のポーズをとっているのを見る時と同じような高揚感がある。


「うむ、くるしゅうないわ。」

「ほんと偉そうね。」


マリーがそう言って笑う。

私に頭を下げ無かった二人の人間が私に近づき、私の手を取る。服装は豪勢だが、服も手も汚れているのでやめてほしい。


「娘の恩人らしいな、感謝する。本当にありがとう。御礼なら出来る限りならなんでもしよう。何か希望などあるか?」


と言った。私は少し悩んで


「じゃあ、私も此処に住ませなさい。マリーの成長を見たいわ。」


と申し出た。マリーは見ていて面白そうだから、そうしたのだ。


「そ、そうか。そ、それくらいなら全然良いぞ。」


全然良さそうじゃない、と言うか、なんだか困惑している。なんでだ?


「メルティ、それでいいの?」


マリーがそう聞いてくる。なんか、馴れ馴れしいな。


「えぇ、いいわよ。私を楽しませなさい。」


「そっか、ありがとう。」


なんで感謝した?


「じゃが、今、此処にいるのは危ないから諸々の事が終わるまで街にいなさい。」


なんて事を二人の人間の片割れの髭面のジジイが言う。マリーの両親の雄の方だ。


「そうね、それがいいは。」


なんか綺麗の着飾った、人間にしては顔が整っているマリーの両親の雌の方がそう言う。


「そう、じゃあ、そうするわね。終わったら教えなさい。」


私がそう言って、立ち去ろうと踵を返すとマリーに止められる。


「まだ、木が燃えてるでしょ。」

「それにまだ騎士団がおるぞ。」

「えぇ、危ないわ。」


なんだ、こいつら。


「もう燃えてないし、騎士団なんて雑魚は殺したわよ。」


そう言うと、なんか三人が唖然として、顔を見合わせて、なんか話し始めた。

使用人どもも驚いているが、信じてはいないようだった。

なんで信じられないのよ。まだ、騎士団がいるなら館に入れてないでしょ。それに、もしいると仮定するなら全員、此処に集るな。油断するな。

本当になんなの?


「じゃあ、もう行くわよ。」

「……待ちなさい。メルティが街に溶け込むなんて無理だから、此処にいなさい。」


マリーがそう言う。

酷いや。


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