1章⑤
1章④
「あ、す、すみませ…」
顔を赤らめながら見つめあっていると突然レオン様が震え出した。
「エリィッ!!!?可愛すぎる!!!いやいつも可愛いんですよ!でもね、今日は可愛さだけでなく美しさもある…妖精さん?エリィは花の妖精さんだったんだね…?あぁぁぁかわいいいいい!!!!!」
「いや、あの、ちょ……」
震えながら空気を抱きしめてる…。落ち着いてくださいと声をかけるもまだ悶えている。
「あっはっはっは!これが噂のエリアーヌちゃんに求婚してる王都の騎士様かい?随分変態だね」
いや仮にも公爵なんですこの方。王都ではさすがにこんな姿じゃないんだろうな。
「……コホン。エリィが美しく可愛く儚さもあり本当に素晴らしくて…つい気を失ってしまいました。」
「そ、そんなに褒めても何も出ません」
「なっ!事実を言ったまでだけど!?自覚してエリィ!」
「わ、わかりましたからっ!そんなに近づかないでください……!」
「そ、そんなに拒まなくても……」
しっぽと耳がシュン、と項垂れるのが見えてしまったので慌てる。
「ち、違いますよ!?その……レオン様があまりにもかっこよくて…。」
今日のレオン様はいつもと違ってかっこいい。さすがに王都の騎士団の格好ではこの辺鄙な村では目立つということで着替えてきたみたいだ。村人らしくシャツにパンツ、ブーツというラフな格好なのに開いた胸元から色気がムンムンである。
さっきも倒れ込んだ時ガッシリとした筋肉に支えられてドキドキしてしまった。
――こ、こんなこと考えてる私の方が変態じゃないっ!
「……本当ですか?エリィ…嬉しすぎて死にそう。」
「はいはい。バカップルはさっさと出発して下さーい。」
2人して家を追い出され、隣の村に向かうと、花の祭りとうたってるだけあり、花びらが舞っていた。至る所に花が植えられており、花のバルーンやガーランドが飾られている。
かわいい……!
綺麗な光景に目を奪われていると人が多い入口だからか、人にぶつかってしまった。
「…ッエリィ!」
レオン様が私の手を取る。
「エリィは危なっかしいから何を言われても今日は離さないよ。」
そう言って繋いだ私の手の甲にキスを落とす。そんな姿を見てそばに居る女の子はきゃー!と叫ぶ。
は、恥ずかしさで手汗が……!
ーーーー
「レオン様、あれ美味しそうじゃないですか?」
「ふふ、エリィは甘いものが本当に好きだね。」
アイスを買って大きく口を開けて食べる訳にもいかず手を離そうとするが、力が込められていて離せない。
「レオン様。食べたいので手を……。」
「?言ったでしょ。一日中離さないって。」
食べる時もですかっ!?
「じゃあどうやって食べれば…
「はい、あーん」
私が持ってるクレープをスプーンですくい、私の口元に持ってきたのだ。貴族じゃ絶対にやらないのに!きっと祭りの中で恋人たちがやっているのを見て真似したんだわ。
「ううう……」
「エリィ。はやく。溶けていくよ。」
もうやけだっ!
――――はむっ。
「んんん〜!!美味しいっ!」
どうやら食べられる花というのがあるらしく、花びらのアイスを頼んだのだ。領地にいる時も食べたことはなく、王都でも食べたことがない。初めての味わいだ。