1章④
すみません!日付を間違えていたようです。それとブクマ登録ありがとうございます。
――それからというもの、毎週1日は必ずレオン様は現れるようになった。
ふにゃふにゃの笑顔で頬杖を着いてわたしが仕事をしている姿を見ている。なんだか妙に緊張する。
しかもなぜかハンター達と仲良くなっているのだ。最初は何故か父親面をしたオーバンさんたちとバチバチしていたのに。男の人ってよく分からない。
「エリィ、今日の仕事終わった?」
机を拭いていると話しかけられた。
「え、あ、は、はい…。」
「今日は隣の村で祭りがあるんだって!オーバンさんたちに教えてもらった!」
笑顔のレオン様の後ろでばちこーんとウインクを決めながらグッ!としているオーバンさんたち。
「あ、で、でも…汚くて……」
薬草をすり鉢ですっているのでそれが飛んできたり、駆け回ってて恥ずかしながら汗だくだ。恥ずかしくて顔を隠してしまう。
「どんなエリィでも可愛いから大丈夫。」
「そうだぞエリアーヌちゃんっ!服なら俺の娘が置いていったのを貸してやるっ!偶にはぱーっと羽を伸ばして来いっ!」
元気になったオーバンさんに背中をバシッと叩かれお言葉に甘えることにしたのだった。
オーバンさんの家で着替えているけど、ふと思う。こんなふうに誰かと楽しい場に出かけるのはいつぶりだろう。学園に入るまではランベールに勉強を教えたり(と言っても途中からは自ら図書館に行き勉強していた)、王立学園費用を稼いだり、自分も薬師の資格の勉強をしたり忙しく、友人を作る暇さえなかった。
というかこの村に若い男性はいるのか?というくらい見かけない。ハンターたちはお父さんくらいの年代の人が多い気がする。
「わぁ…」
久しぶりにこんなに可愛いワンピースを着た気がする。さすがに貴族のようには行かないが、薄い黄色地にグリーンの花柄のワンピースだ。
感動して鏡の前でくるくる回っているとガチャ、とオーバンさんの奥さんが入ってくる。
「ほらほら、座って!」
「え!?」
「お化粧、しないとね〜」
「あっ!ママずるい!わたしもエリアーヌちゃんにしたいといつも思ってたのよ!」
そういえばお化粧とかしたことないかも。なんせ家を出たのは13歳。ランベールの母代わりとして化粧品なんかにお金を使うのも惜しかったのだ。
「うっ……わぁ〜。」
「これは、最高傑作だわ!!!」
そんなことを考えているとどうやら終わったらしい。奥さんが化粧を、娘さんが髪をやってくれたらしい。
伸びきった髪の毛で手を入れていないのに今日は花の祭りだからね、と言い編み込みハーフアップの編み込み部分に色とりどりな花をさしてくれている。
「こ、これは…詐欺では?」
それくらい別人がいた。すると2人が怒って土台が良くないとこんなに可愛くならないうんぬんかんぬん言っていた。
な、なんだかレオン様の前に立つの緊張する。やっぱりやめたい。
――コンコン。
「エリィ?どう?支度は終わった?急かしたくないんだけどね…。」
「あら!待ちわびてたのね。王子様が来たわよ。」
「お、王子様だなんてそんな。」
「エリアーヌちゃん!早く行きな?どうぞー!騎士様ー!」
ちょ、まだ心の準備がっ!
ガチャ、と開いた瞬間にやにやした2人に背中を押され、ドアの前にいたレオン様に倒れ込む形となる。
そのままレオン様は倒れてきた私を支える。申し訳なさと恥ずかしさで見上げたら私を真っ直ぐに見つめるレオン様の顔が至近距離にあった。