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第3話 ガバ

「制作者のミス」、それはクソゲーとは切っても切り離せない関係があるものだろう。

そして勿論この流星にも「ミス」はある。

それがこの第五区画にある「パン屋「ウマウマ(゜∀゜)」だ。


「まさか店名まで変わっていないとは...。」


そんなことを考えながらも入店し早速目的の品を手に取る...、と言うよりトングで掴む。


「よかった、クロワッサンはあるみたいだな。」


そう、微かな艶を放ち食べるととてもおいしい、何の変哲のない普通のクロワッサンである。

...俺は別に昼飯を買いにココへ来た訳ではない。

勿論ココへ来たのはさっきも言った通り強力な装備を手に入れるためである。


別にクロワッサン自体には別に聖剣並の攻撃力があったりだとか投げると爆発したりだとかそんな戦闘的能力は備わっていない。

だが実はこのクロワッサン、このアイテム自体には何も特殊効果はないのだが買値が他のパンとあまり変わらない50Gなのに対して売値が「155G」なのである。

あくまで推測だが、プログラマーが「買値「50G」売値「15G」」にしようとしたところを同じキーを誤って二回押してしまい「買値「50G」売値「155G」」にしてしまったのだろう。


ちなみにプレイヤー達は嬉々としてこのミスを使っていたが現在に至るまで運営はパッチを配布することはなかった。

何故ならば運営も嬉々としてこのバグを公式RTAに使っていたのだから。

それでいいのか、運営よ...。


クロワッサンを今この所持金で買える6つ分トングでトレイに移し会計へ持っていく。


「お会計、300Gです。」


俺は6つのクロワッサンが入った紙袋を持ちホクホク顔でパン屋を出て行ったのだった。


====================================


~1時間後、公園広場~


「...そうだよな、普通に考えて売れる訳ないよな...」


そう言って手にクロワッサンが入った袋を持ちながら首をガクッとうなだれ、ため息をつく。

クロワッサンを買えたところまで所までは良かった。

だが、換金所に買い取りに行った所買取拒否されてしまったのだ。


「普通に考えてパンなんて日持ちもしないから売れる訳ないのにな...

第一そんな錬金術がゲーム寄りとは言え現実世界に通用するはずないんだよな...」


と、より一層深くため息をついた。



...と、その直後。


「どうしたの?、君?」


「うお⁉、びっくりした...」


背後から急に少女に声をかけられ驚いてしまう、俺はゲームでNPCと話していたとはいえ女性と話すことなんてほとんどない。

それ故いきなり話しかけられ驚いてしまった。

俺が呟き終えた直後に声を掛けた所を見るに少女は俺が呟き終えるのを待っていたのだろう。

年は大体16、7歳程度だろうか、金髪のロングヘアーに素朴な衣装をしている。

俺は一息ついてから正直に答えた。


「実は訳あって一文無しになってしまって、

住む家すらないんですですよ...。」


「ですですよ」という意味不明な語尾をつけながらも何とか自然な素振りを見せる。


「あはは、それは大変だったわね。

それと別に敬語じゃなくて良いわよ。」


「そう、か、ありがとう。

じゃあこれからは普通に話させてもらうことにする。」


少し間を置いた後、少女が口を開く。


「...それより君、名前は?」


「俺の名前は高橋...、じゃなくてライン・クローバーだ。」


「で、あんたの名前は?」


「私? 私はミア、ミア・アクセルよ。」


ミア・アクセル...、聞いたことがない。

確かアクセル家はよろず屋を営んでいた家系だったはずだがやはり未登場キャラクターなのだろうか?


「そうか、ミア・アクセルだな。

話せてよかったよ、また何処かで会えたら良いな。」


そう言って、俺は席を立つ。

しかし少女...、ミアが呼び止めた。


「ちょっと待って!」



そう言うと少女はこの時を待っていたという風に腰に手を当て、既にミアに背を向けていた俺を指さし自身満々に言った。


「あなた、私の家に来ない?」

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