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様々な世界・世界の詩

鏡の世界

作者: リィズ・ブランディシュカ



 鏡の中にはもう一つ別の世界があるんだよ。


 いつだったか私に向けて、クラスの中にいる物静かな女の子が言ってた事がある。


 あんまり静かだから、みんなその子の存在を時々わすれちゃってて、たまに発言するとびっくりする子。


 だから、ずっと覚えてたのかな。


 で、なんでそんな事を言ったかっていると、目の前に大きな鏡があるからなんだ。


 家族と一緒に、美術館に行ったんだ。


 それが今日。


 鏡の展覧会を見てるんだけど、一番最後の区画にはとてつもなく大きな鏡があったんだよね。


 部屋の中がぜんぶうつるような鏡。


 だから、びっくりしてついじっくり観察しちゃった。


 鏡なんて、普段あんまりみないけど、ここまで大きいと珍しくなっちゃう。


 いつもは、鏡そのもの自体より、そこにうつっているものの方みてるんだけどね。


 あらためてじっくり観察してみると、見れば見るほど不思議だなって思う。


 そこにあるはずがないのに、あるように見えるから。


 鏡の世界にある。


 でも、鏡の裏側にはない。


 とっても不思議。


 手を伸ばしてみた。


 すると、するっととおりぬけてしまった。


 それはとても、おかしな事だけど。


 なんだか頭がぼうっとして、まあいいかって思ってしまった。


 するする。


 伸ばした手がどんどん、鏡の中に入っていく。


 このまま入っていったら、どこに行くんだろう。


 鏡の中の世界ってあるのかな。


 好奇心につられるまま、腕を鏡の向こうにつきだしていくけれど、お母さんとお父さんが私を呼ぶ声がした。


「先に行っちゃってたのね」

「勝手に歩いて行ったらだめじゃないか」


 両親はすぐ後ろにいたようだ。

 気が付かなかった。


 私は、慌てて振りかえって「ごめんなさい」と言った。


「もう帰るわよ」

「ここで、展示区画は終わりみたいだな」


 私はお母さんとお父さんと手をつなぎながら、展示会場から出ていった。


 出口で係員の人が他の人と何か話しをしていた。


 手になにか小さなものを持ってる。


「おかしいですね、出た人間と入った人間の数がこんなにあわないなんて」


 後から分かった事だけど。


 その日、数人の人間が行方不明になったようだった。



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