天の向こうのジュースとは
宇憧が始めて見た宇宙の風景は、黒で染まった紙に宝石の粉をまぶしたような、涙の出る景色だった。
現在、列車は光の速さを超えて走行している。前方へと伸びる光の線路の上で、激しい音を立てながら。
窓から見える、見たこともない色をした惑星を眺めつつ、宇憧は電話機をみた。
「ルームサービスか。ホテルみたいなのかな?」
宇憧は試しに受話器を取る。すると即座に大声がした。
「はい! ご用件はなんでしょうか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あ……、えっとー。……、ジュースっていただけます?」
「はい!!!!! えーとえーと、メニューメニューっと、あった!」
ガサゴソガサゴソ、ガチャン!!と音が鳴る。
「えっと!オレンジ! カカリパ! ナスタラドス! の三種類から選べます! 何にしますか!!!!」
青年は、オレンジ以外聞いたこともない単語を聞いて、そのたびに疑問を浮かべた表情になる。
「……、じゃあオレンジで」
「かっしこまりましたー!! あ、お姉ちゃん! おれんじだってー!!!」
ガチャッ。ピン! と受話器を元に戻す。
「宇宙って……、広いんだな。」
ジュースの素材名は適当に決めました