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レジスタンス

 3匹は、レジスタンスの本拠地に着いた。

 地下水路の脇道からパイプを通って、隣の脇道を進んだところにあった。


 本拠地の入り口で、見張りのねこが、リンプーを憧れの目で見ている。

 リンプーは、レジスタンスの中でそれなりの地位にいるんだろう。

 入り口まで、レジスタンスのリーダーが迎えに出てきた。


 友好的に、食堂に案内された。

 リンプーがクロとシロを、レジスタンスのメンバー達に紹介してくれた。


 みんなで、簡単に食事をした。

 食事を取ると、クロはお腹が一杯になって眠くなってきた。

 その後、クロとシロは柔らかい毛布の上に案内された。

 2匹は、久しぶりに安心して眠ることが出来た。


 身を寄せて眠る2匹に、近付く影があった。




 レジスタンスの本拠地は、それなりの広さがあった。

 リーダーは、区切られた区画を自分の部屋として使っていた。


 そこでリンプーは、レジスタンスのリーダーと話をしている。

「リーダーは、ワニへの生贄を助けに行くように言ったよね。

 ちゃんと任務を果たしたよ」


「確かに助けろと言ったが、まさか連れてくるとはな。

 しかも、追っ手も一緒に連れてくるなんて。

 何を考えているんだ?

 あのクロという黒ねこ。

 それほどの価値があるのか?」

 リーダーは、横目でリンプーを見る。


「黒ヒョウが憑依ひょういする。

 クロは、あのアシュラを一度倒している。

 強さに関しては、うちに引き込めば大きな戦力になるよ」


「アシュラを倒すのは、確かにすごいな。

 でも、あの生贄のねこを助けようと、躍起になっているようだが。

 うちに引き込むのは、無理なんじゃないか?」


「シロの件が片付いた後なら、きっと誘いに乗るさ」


「クロ君は、ちょっとイケメンだしな。

 リンプー君が庇護ひごしたくなるのも、分からなくは無いが」


「そんなんじゃ無いよ!

 でも、クロは勝てない相手にも向かっていく、心意気があるんだ。

 今まであたいの周りに、あんな風に考えるやつなんて、いなかった。

 自分以外のものを守るために命をかけるやつは、初めてなんだ」

 リンプーは、話しながら感情が高まっていくのを感じた。


「つまり、そのシロが死ねば、全て丸く収まるわけだ。

 クレイトスとも戦わずに済む。

 リンプー君も、クロ君と仲良くやれる」

 リーダーがニヤリと笑って、リンプーの方を見た。


「あ、あんた、な、何を言って……

 まさか……」






 リンプーは大急ぎでクロとシロが居る部屋に向かった。


 黒ヒョウ形態パンサライズドフォームになったクロが、レジスタンスメンバーを撃退していた。

 逃げて行くメスの戦闘員が、レッグウォーマーを落としていった。


 クロは、リンプーにも敵意を向けてくる。

 今にも、咥えたナイフで切り付けてきそうだ。


 リンプーは戦闘態勢を取らずに、ただ泪をこぼした。

「ごめんよ、クロ。

 シロの命を、危険にさらしちゃったね。

 追撃部隊にも、追いつく時間を与えちまった。

 あたいが、判断を間違えたせいで……」


 シロが、クロとリンプーの間に割って入った。

 悲しそうな顔で、クロを見つめる。




 クロは、戦闘態勢を解いた。

「泣かないで、リンプー。

 確かに油断しているところを襲われて、危なかったけど。

 でも、ちゃんとした食事がとれたから、助かったよ。

 それに、柔らかい毛布の上で寝られたから、元気になったし。

 シロも、また歩けるようになったよ」


「ゴメン、本当にゴメン。

 あたいのせいで……」

 リンプーは、我慢できずにポロポロと泪をこぼす。

 シロが、気にしないでと言うように、リンプーの泪をなめる。


「リンプーでも泣くことがあるんだ。

 驚いちゃったよ。ハハ」

 クロが、無理に笑顔を作る。




 3匹は、レジスタンスの本拠地を後にする。

 境界の怪物のいるところを目指して、移動を再開した。


「あたいも、帰る所が無くなっちまったね」

 リンプーが吹っ切れたように言った。

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