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追撃部隊の陣容

 クロとシロとリンプー、3匹は道を急いだ。


 シロは、今の体調が維持できる保証がない。

 早いうちに進めるだけ進んでおきたい。

 休憩を最小限にして、丸1日は歩き続けた。




 後ろから、数匹のねこ達が迫る。

 4匹いる。

 こちらの3匹と並行して、同じ速度で歩く。


「なんだい、やるのかい」

 リンプーが戦闘態勢に入ったが、ねこ達は何も言わずに立ち去った。

 これから進む道の側に2匹、後方に2匹に分かれて行った。


 リンプーが不満そうに言う。

「前方に行った2匹は、先にある別のコミュニティに行った可能性がある。

 待ち伏せなり、妨害を覚悟しないとね」


「彼らは、僕達のコミュニティの偵察部隊だ。

 こちらの戦力を調べるために、接近してきたんだ」


「戦いもしないで、戦力が分かるのかい?」


 リンプーの質問にクロが答える。

「彼らは、僕のことは知っている。

 魔物に乗っ取られていることを知ってるかは、分からない。

 シロが戦えないことも、知っているだろう。

 リンプーの事も、複数の敵相手の落ち着いた対応で、分析したと思う」


「フーン。

 シロが戦えないことも知っているなら、戦力2倍だ。

 普通に襲い掛かるはずの戦力差だね。

 なのに手を出さないなんて、慎重な奴らだ。

 なかなか、やるもんだね。

 で、これから情報を得た追っ手が、襲ってくるわけだ」


「多分、そんなに素早く出発できないと思う。

 今のペースで進み続けられれば、距離も簡単には縮まらない。

 上手くすれば、追っ手に会わずに境界まで、行けるかも知れない」

 クロが答える。


「だから、半分を別のコミュニティに行かせたんだね。

 あたい達の足止めを、依頼するわけだ。

 クレイトス様とか言ってたけど、追っ手のことは分かるかい?

 こっちも奴らのことを知っておいた方が、助かるんだけどね」


 クロは、今度は追っ手の情報を教える。

 さっきとは違い、一緒に戦う仲間と認識したからだ。

「アシュラは、ヒョウの血を引いているみたいなんだ。

 体の大きさは、コミュニティで一番だ。

 とどめを刺していないから、絶対に後からでも追ってくる。

 少し小さいけど、アシュラのお父さんもヒョウの血を引いている。

 そのアシュラのお父さんが、クレイトスだ」


「勇ましい名前だね。

 古代マケドニアの親衛隊長の名前だ」


※クレイトスは、ゲーマーには最強の禿おやじとして知られている。


「クレイトスは、コミュニティで最強の戦士だ。

 それと、魔法使いが一匹いる。

 名前は、アサガオ。

 どんな魔法を使うのかは、知らない」

 クロは、追撃してくるであろう二匹の情報を話した。


「その二匹とさっきのアシュラ、そして境界の怪物。

 こいつらをなんとかしないと、空を見ることは無いってことだね。

 勝算はあるのかい?」


「あるわけが、無いよ。

 でも、化け物の力を使えば何とかなるかも……」

 ワニは別として、ねことの戦いは行けるかもしれない。

 しかし、自分が自分で無くなる感覚が思い出される。

(闘いには、勝てるかもしれないな。

 もし生き残っても、その場に立っている僕は、心は僕じゃないかも知れない)






 暫く進むと、通路上に障害物バリケードが築かれていた。

 下水に流れてくるゴミを積んで、築いたのだろう。

 障害物バリケードの真ん中に開閉式の扉がある。

 扉の上に可動部があり、押せば傾いて通れるのだろう。


 クロは押してみたが、ビクともしない。

 つっかえ棒をされているみたいだ。


「すみませーん。

 ここを通してもらえませんかー?」

 クロは、出せる限りの大声を出した。


 返事がない。


 リンプーが言う。

「所詮、急造の障害物バリケードだ。

 足場を確保すれば、踏み越えていくことも出来るだろう。

 でも、途中の箱の隙間から、攻撃されるかも知れない。

 シロには無理だろう。

 あたいは、横の水路を泳いででも行ける。

 一匹くらいなら咥えて泳げるよ。

 どうする?」


 クロは突然化け物化する。

黒ヒョウ形態パンサライズドフォーム


 黒い霧を纏ったまま言う。

「追っ手が来る。

 時間を使いたくない。

 水の中にも、罠があるかも知れない。

 どうせ、障害物バリケードの向こうに敵がいる。

 どうにかして越えたって、そこを襲われる。

 だから……突き破る!

 ヴィールヒ」


 クロが黒い霧をまとって突進する。

 クロは、体当たりで吹っ飛んだ扉の向こうに、走りこんだ。

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