0.(神様の)とんとん拍子
最初なので二話上げることにしました。この後は悪しからず?のんびりで参ります。
『まー神様って本当にいたんだ』
死んだ後に最初に思ったことだった。死んだ後に意識があるというのもおかしな話だが…何はともあれ、私の想像を貫いたような男神が目の前にいたのだから仕方ない。
煌めく銀糸は肩のあたりで綺麗に揃えられ、綺麗な二重の目はまるで宝石のような翠だ。薄い桜色の唇に、衣服は神話に出てくる神と似たようなものを着ている。男性とも女性とも見える神々しさだ。
…が、宙に浮いて足を組み、こちらに向けている笑顔は俗極まりなく 、私は違和感を覚えた。
「君は結構綺麗な僕にしてくれるんだね」と、いつの間にか手に弄んでいた林檎を一齧り。
神様によるとこうだ。
まず、神様は見る人のイメージがそのまま具現化されて見えるらしい。つまり、別の誰かが神様を見たら例えば絶世の美女に見えるというわけだ。
なんとまあ見方によっては虫がいいシステムだこと。
「君がここにいるのは、特別な存在だとか自殺者だったから意識があるわけじゃないんだよね。すぅ〜〜〜っっごく病んでる人間も極端な癇癪持ちな人間も見てきたけど、こんな変わった人間は初めてだよ」
『まさか初対面で、しかも死んでから悪口を言われるとは…』
「死んでるから大丈夫じゃない?」
これは何と無責任な…
神というのは人間(日本人)が勝手につけた名称なので必然的に「これ」扱いされるこれ
ていうか、私のイメージではもっと荘厳なんだけどなぁ…
「気に入ったから君に感化(微妙に違うけど)されてみた」
凄いであろう存在を感化させてしまった。
…んぅ〜〜なんかもう色々と定義できないから神様でいいや!神様かっる!これが違和感の正体か!!
「まーだって結局考えるの放棄するというか、それさえつくられたって思うでしょ?ここまである意味自己肯定感がないのは初めてだから」
神様が、またもやいつの間にか食べ終えていた林檎の芯を投げ捨てると、それは空気に溶け込むように消えていった。
『あ、もういいですいいですはい。で?』
「うんじゃあ、んー…君転生!」
そうと決まったら後ろを向いてあれこれ取り出しては放り投げて「あれも違うこれも違う」と散らかし始めた。まぁ消えるけど。
…もうなるようになれ。
「よしおっけー!準備できたよ、ばいばーい」
視界が白んでいき、神様が手を振る中、私の意識は落ちた。