ここが乙ゲーの世界など俺は信じないっ!
?『じゃあな!』
そう言って俺は学校を出て友達と別れた。
俺は加藤雅行、どこにでも居るごくごく平凡な高校生だ。
これ言ったら友達にぶん殴られたわ、悪いの俺じゃねぇし
昔から人よりできる方の人間だった。
出来るからこそ周りからのプレッシャー
が凄く、出来なければこんなことも出来ないのかと罵られる。
だからこそ、出来ないことには強い劣等感を抱いた。
でも、俺には家族がいた。
父母はハキハキとした人達で間違えたことは間違えとめっちゃ叱られるし、出来れば褒めてくれるし、出来なければまた頑張ればいいと慰めてくれる。
妹は…うん、良い奴なんだよな
(でも俺を乙ゲーの世界に引きずり込むのだけはやめて欲しい。)
明るく優しい家族だったからこそ、性格が歪まないですんだんだと思う。
ノベルとかにもあるけど家族と周りからのプレッシャーとか俺は耐えられねぇわ
そら、性格も歪むわな
そんなくだらないことをぼんやりと考えながら歩いていた。
「危ない!」と後ろから声が聞こえた。
キキィ、ダンッ
俺は後ろを振り返ろうとしたがそれをすることは叶わなかった。
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「…様、…ト様、アルベルト様!」
耳元の大きい声で徐々に意識が覚醒していく。
ちょっと静かにしてくれや!てか、アルベルトって誰やねん!←
『っ…』
というか、身体中痛てぇ…
やっぱ、あの時事故にあったんかな?
しかし、この布団は凄いふかふかだ病院にしては寝心地がいいな
って、寝てる場合じゃねぇ!
ガバッ
『痛っ…』
俺はあまりの痛さにベットに逆戻りしてしまった。
てかこれ俺の声か?
「あ、アルベルト様起きては行けませんわ!貴方様は今日大きな事故に合われたのですから!」
俺は耳元で叫んでいゲフンゲフン健気に呼びかけてくれた女性に目を向けた。
『…綺麗だ』
思えば口に出ていた、それほどまでに彼女は美しかった。
艶やかな黒髪、白い肌、角度を変えれば青とも緑とも言えない美しい瞳…
「えっ?!」
目の前の彼女は赤くなったかと思うと冗談は言わないでくれというかのように赤い顔でジトっとこちらを見ていた。
んんっ、何この可愛い生き物は!
可愛すぎるだろ!
でも、どっかで見たことあるような…
彼女とは知り合いでもないし、第一こんなに綺麗な人だったら忘れるわけないしな…
俺が顰めた顔をしたせいか彼女はオロオロとアルベルト様と呼んだ。
てか、アルベルトって俺の事だよな?
そんな名前になった覚えはないんだが…
そこで、俺は思い出してしまった。
彼女のことを何故俺が知っていたのか。
何故俺がここにいるのか。
全てが非現実的すぎて俺はまた気を失った。
最後に声が聞こえたが目を開けるまもなく俺の意識は深くへと沈んだのだった。
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パチ
『ここは何処だ?』
俺はまたもや違う空間にいた。
「ここはねぇ、んー、君たちの世界で言う天国とでも言っとこうか」
『ここが天国…』
天国にしては無機質な感じだな。
俺がいる空間は綺麗な花園でもなくそして綺麗で鮮やかな人間が想像している所とも違う。
暗く扉がずっと奥まで続いている。
何より1番疑問なのは暗いにも関わらず全体がはっきり見えるという事だ。
「そして、私は君たちの世界で言う神だ。」
聞いてねぇよ。
厨二か?
「君もはっきり言うねぇ」
ハハっと呑気に言われても反応に困るけどな
「さて、冗談はここまでにして君は何故自分がこんなことになってるのかが分からないようだね。」
まあ、大体の想像はついてるけどノベルあるあるの間違えってやつか?
「いや、君の場合別に間違えじゃなくて本当に寿命だったんだよねぇ 。でも、君はまだ若すぎたしこんな稀有な才能の持ち主をやすやすとほおって置けないしねぇ。」
語尾を小さくするのが何気ウザイ。
「うざくて悪かったな」
まあ、そんなことよりも何で俺は乙女ゲームの世界に転生したんだよ!
「それはねぇ…」
ゴクリ…
「面白そうだったから(๑>•̀๑)テヘペロ←」
キモイ( ˙-˙ )
・・・・・
「ま、まあとにかく君にはアルベルト・ファルクスとして生まれ変わってもらう。これはもう決定事項だ。」
生まれ変わったのか入れ替わったのかは分からないけど俺は死んだんだな。
「さぁ、そろそろ起きる時間だ。頑張ってね!」
そう(自称)神が言うとまたもや俺の意識は深く沈んだのだった。
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『・・・』
やっぱり夢じゃないのか…
そう思えば思うほど自分が死んだことを実感させられる。
「あ、アルベルト様起きたのでしたらおっしゃってくだされば宜しかったのに…」
しゅんと拗ねているのはアンジェリカ・アルバーニ。
このゲームでの悪役令嬢だ。
そして俺アルベルト・ファルクスはアンジェリカの婚約者であり次代の国王という重要なポジションにいる。
『すまんな、所で学園へ行くまであとどのくらいだ?』
俺の時系列が合っていればまだ俺達は学園へと入学していないはずだ。
ふと彼女を見るとよく分からないが硬直している
ハッ!そうだ。
このゲーム、『夢見るプリンセスと5人の貴公子』通称:夢プリ
はヒロインが5人の貴公子達を攻略する乙女ゲームだ。
そして、ゲームの中のアルベルトは銀髪に灰紫の瞳を持つキリッとした青年だ。
そして、その冷たい風貌と口数の少なさから氷の王太子と呼ばれるほどだ。ちなみにポジションは溺愛(という名のヤンデレ)らしい。
あ、アンジェリカの硬直が解けた。
「申し訳ありません。学園入学まではあと2週間程度かと思いますわ。」
学園まであと2週間か…
あの世界に二度と戻れないのは悲しいけど、俺は俺なりにこの世界でも楽しんで行くか!
父さん、母さん、そして妹よ、俺はこの世界で頑張ってみようと思います。
さてと、その前に怪我なとさなきゃな何気痛いわ
初めまして!
処女作ですので大目に見てください(๑ーㅅー๑)
誤字・脱字等ありましたらご指摘ください!