大企業の社畜ティナ
「次はこの荷物を持って王都まで飛行させてくれ。ロナルドの眼の前まですっ飛ばして驚かせてやろう。」
ウェンディの声はご機嫌そのものである
王都までの飛行は俺の操縦だろうか
線路沿いに飛ばせば着くだろうがちょっと距離があるなぁ
俺は自分の意識を二分割して
もう一つには素材を与えた
仮面の額の部分が盛り上がりこぼれ落ちる
身長十センチほどの俺のミニチュアがウェンディの仮面の額部分から地面に飛び降りた
「ウェンディ様、私の処理能力を向上させましょう。ゼリーポーションをください。」
皿にゼリーポーションをプリンのように盛ってもらった
「これを食えばやる気が出るということかい?このポーション中毒め!」
「そんなんじゃありませんって……これで私のお手伝いを増やそうと思ってるんです。」
ミニチュアマンドレイクが自分の頭を少しずつ千切り
ゼリーポーションの上に五つの塊を植えた
そして緑のマナの「強化と成長」の魔術を練る
五つの塊は蠢きながら一センチ四方のキューブに成長した
「これらは記憶装置と演算回路、それに互いに通信するモデムを持ちます。しかも成長して増殖します。」
マナか太陽光さえ有れば動作してしまう高効率型である
キューブの一つをラジコンの受信回路部分に近づけ
更に「強化と成長」の魔術を行使するとラジコン回路にキューブが融合した
だがこれではソフトが無いただの箱
ミニチュアマンドレイクがラジコンに乗り込み操縦しながらソフトを作り上げるのだ
ラジコンは飛び立った
「結局誰かが運転しているんじゃないか?あんまり意味がないテスト飛行になってないか?」
「気が向いたときに操縦できるくらいでいいんですって。映像は来ますから。」
結局夜中まで映像を見る羽目になり
気づいた頃にはゼリーポーションがキューブに食い尽くされていて
キューブは十六まで分裂してしまっていた
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アレンとロナルドは技術展示会にて唖然としていた
ティナが自社の展示会で『電波を使った音声と映像の送信』という題目でプレゼンをしていたのだ
「これはひどい。まずいですね。」
「特許申請中とあるな。先を越されてしまった。ウェンディさんに連絡しておかないとな。」
ティナへの質問と称賛を眺め
アレンとロナルドは肩を落とし会場を出た




