丸い
俺は次の肉串にかぶり付きながら周囲を見渡す
背の高い建物が多いな…さすがは港町だと思う
その中でも一番高い建物は駅の時計台か
俺は両腕の毛穴からマンドレイクの繊維を伸ばす
極細の透明な繊維だ
時計台の頂点の避雷針に巻きつけてジャンプ
繊維を掴み 巻き上げながら一気に時計台の天辺まで辿り着いた
ここからならば港町を見渡せる
道路の舗装は行き届いていないようだけれど商店街みたいなのがあるし地方都市くらいには発展しているなぁ
海の方は向こう岸は見えない 対岸は地平線の彼方だ
「この星も丸いのか。やっぱりひとまずレールで通信方法を確立する方向で正しかったっぽいな。」
「あーあー、聞こえますかウェンディ様。この星は球体のようです。」
「常識だよアレン(仮)君。」
暇なのかウェンディは即座に返答してくる
ふと視線を足元に移動させるとロンさんとティナさんが言い争っているのを見つけた
聴覚に神経を集中する マンドレイクイヤーは地獄耳だ
「アレンくんを見失いましたよ!!!一体なんなんですかこれ。彼の様子おかしすぎませんか!」
「いやまぁ、どうしても肉が食べたかったのでは…」
「その前から変ですよ!魔列車から降りた瞬間に線路に飛び降りるし…悪魔にでも取り憑かれたんじゃないですか!?」
「えっっ!そんなことはないはずですよ。」
ティナさんにアレン氏の状況を伝えてないようだ
学者さんは何をやっているんだ
「ティナさん、アレンはもう…」
学者さんは涙をこらえる仕草をしながら言葉を詰まらせる
コント的状況に陥っている ちゃんと説明してくれよ…
地獄耳を解除して俺はティナさんの前に舞い降りた
その想定25mの落下の衝撃に耐える脚力に
俺は肉体に対する自信と確信を高めたのであった