俺の名はアレンだ
学者Bさんは逝った 彼の名前はアレン まだ21歳だったようだ
数日後に学者Aは目を覚ました アレンとは長い友人で
彼は死んだら日記を全部燃やしてくれと常々言っていたらしい
まぁ死ぬとも思ってなかったろうが
「アイツ、ウェンディさんのファンだったんですよ。近くで見れただけですっごい喜んでましたよ。」
神妙な顔つきをしていると学者Aさんが勇気づけてくれた
「貴方と話していると、まだアレンが生きてるみたいで妙な気分になります。でも違うんですね。」
もはやこの体はアレンだった頃とは程遠いものになってしまった
全身にマンドレイクの繊維が行き渡り強靭になった 再生力ももはや人間のものではない
悪魔に乗っ取られていた男のほうがまだ原型をとどめていたのではないだろうか
「王都に行って日記を燃やします、学校は退学して村に戻って来ます。」
俺はウェンディにそう伝えた
退学したら失踪扱いにしてもらおう 家族が居たら定期送金でもするか
彼の体が完全に死んでしまったわけじゃないからな
「君がそこまでして他人の人生を背負う必要はない。君の責任というわけでもない。」
「まぁ王都に行ってみたいんですよ。通信機の基地も作ってきますし連絡も取れるのではないかと。」
「君の名前はアレンで良いのかい?」
正直シックリは来ない でもそれで良いんだと思う
ロン氏にも意向は伝えた
ロン氏は説明しづらい事態は説明したくないようで
武術の部の優勝者が自分を犠牲にして全員を守った話にしたいらしく了承してくれた
そんなんでいいのかね?
レミットの家族はママさんの病気も治り円満だ
一時はレミットの不倫発言で喧嘩もあったようだが
今では寧ろ雨降って地固まるという形で前より良いようだ
俺の村の知り合いは彼女だけだったし 心残りもない
ウェンディの家の掃除をしてるだけでは発展もなかろう
俺は世間を知るための旅に出ようと決心した
きっと困難も有るだろうが 帰る場所さえあれば戦っていけるさ