俺のトランシーバー
ウェンディは村から離れたくないらしい
この村を離れると村が滅ぶ気がするとのこと
そういう俺は魔術の修練に行き詰まりを感じてしまった
一旦は自分の肉体そのものを強くする方向を模索していくことにする
弱点は核になるマンドレイクの根である これを固くしたり別の場所に移動させることはできないか?
外骨格に当たる部位は蔦や葉を細かく編み込んだものだ
絹のようなツルツルな肌を再現しているだけではダメだ 稲妻に耐えきる物理防御が必要だ
そうだ表面だけ電解質でヌルヌルにして通電させて内部を守るようにするか…
見た目としてもウェンディの一派ということで仮面を装着しておきたいな
などと肉体のバージョンアップをしているうちに2ヶ月が過ぎた
冬になると雪が降る
除草の次の仕事は除雪である
ウェンディ様のためには掃除洗濯も手を抜けないのだ 生活のクオリティを高めるのだ
除雪していたら来客があった
「そこの仮面の人、もしやウェンディ殿ではございませんかな。」
初老の男性の声の方を見れば5名の団体様である
「いいえ、私はウェンディ様の身の回りのお世話を務めさせて頂いているものです。」
「この者たちがウェンディ殿に会いたいと申しましてな、王都から参上したのですよ。連れてきたのはそれぞれ武道会の魔術の部と武術の部の優勝者、そして学会の資料を持っている学者2名でございます。」
ほぼアポ無しで突撃してらっしゃった
「遠路はるばるお疲れでしょう、ウェンディ様に連絡致しますので少々お待ち下さい。」
そう言って俺はトランシーバーを取り出した
ウェンディに概念を伝えたら一晩で作ってくれたのだ
優秀な魔道具は多いこの世界だが通信についてはアイデアそのものが無く広まってないようだった
半径20km程度ならクリアな音声で通話が可能だ
「どうした?ポーション切れでイライラしてきたのか?」
「私をポーション中毒みたいに言わないでください。それより姐さん、王都からカチコミやで。」
「客間に入れておけ、そのうち行く。」