破片の記憶
掲載日:2018/07/29
雨上がりの中で立ち止まり、気ままな雲を見上げる。
踵の裏から這い上がる亡霊のような、湿気の舞に虚ろな心は絡め取られる。
遠い、あの頃の望郷は、憎しみに似た切断で切り刻む。
この町に、この風景に、この道に、楽園の残骸が現れる!
子供の無慈悲な悪戯に、身震いするほど憧れる。
無邪気な思い出には、残酷と傲慢が注がれて、怯えて進む人生に劇画のような躍動をもたらす。
瓶詰めにされた虫の破片が、繰り返される残酷を暗示する。
硝子越しに見つめられ、後ろめたさを放り出す。
今も眼球の内側で、虫の破片は快楽の棘にぶら下がっている!
ひそひそ囁かれる暴言で、残虐のからくりが動き続ける。
いつからか、子どもたちの大きい声に震えている。
気ままに見た悪夢は、自由を纏い夜と昼を飛び回れ!
恥ずかしいほどの大粒の汗が、廃れた残酷を濡らす。
気づく時だ。刃こぼれした闘争本能はその体を戒める。
期待するべき楽園など在りはしない。
この町に、この風景に、この道に、この姿が滑稽に塗り込まれる。次の獲物を知らせるように。
帰り道はどこだ?渇いていない道を探している。
気ままに見すぎた悪夢に、この風景が狂わぬうちに。




