77.善人、子供と触れ合い嫁たちとイチャつく【後編】
子供たちにお昼ご飯を食べさせた後。
お昼の散歩にコレットとでかけて、戻ってきた。
そしてお昼寝の時間となり、子供たちを2階の子供部屋へつれていき、寝かしつける。
俺はコレットともに、1階へと降りていくと……。
そこには赤毛の猫獣人が、ソファに座って、漫画を読んでいた。
「アム」
一階ホールには、漫画の棚と、そしてソファが置いてある。
ちょっとした娯楽スペースにもなっていた。
ソファに寝そべって漫画を読んでいたアムが、俺に気付くと、顔を赤くする。
「じ、ジロっ」
ぴょんっ、とアムがうつぶせ状態から、飛び上がる。
「お疲れさん。今日は非番なんだよな」
俺たちの孤児院はシフト制を取っている。
正規職員は全部で5人。
そこに非常勤の職員を加えたメンバーで、孤児院の仕事を回している。
今日はアムはお休みの日であり、別にかしこまる必要もない。くつろいだままでいればいいのだが。
アムはぴょんっ、と正座になると、くしくし……と短くクセのある髪を手でととのえて、こほん、と咳払い。
「お疲れ、ジロ。コレット。ふたりとも休憩?」
「ああ」「ええ」
俺はアムの前のソファに、コレットともに座る。
アムが立ち上がると、俺の隣、コレットのいない方に座り、ぴったりと体を寄せてくる。
「あーむ♡」
コレットが慈愛に満ちた目を、アムに向ける。
「な、なによ……」
「ジロくんが恋しかったの?」
「バッ……! ち、違うわよっ!」
かーっ! とアムが犬歯をむく。
「ふふ。アムも素直じゃないわね~。もうジロくんのお嫁さんになってから結構立つのだから、もーちょっとかわいげがあった方が、旦那様は喜ぶと思うわ」
「そ、そうかな……?」
アムがおそるおそる、俺を見上げて尋ねてくる。
「アムはそのままで十分かわいいよ」
「! へ、へえ……。そ、そう……。ふ、ふーん。ま、まあ別に、嬉しくないけど……ないけどっ!」
アムは顔を真っ赤にして、そっぽ向きながら、
「あ、あんがと……」
とお礼を言ってくる。彼女のしっぽがくねくねと動き、俺の腕に巻き付いてくる。
猫獣人にとって、しっぽでのコミュニケーションは重要らしい。
こうして絡みついてくるのは、甘えている証拠である……とのこと。本人が前、ベッドの上でそう言っていた。
「フーン」「コレット。おまえも十分かわいいよ」「アム、ワカイ。コレット、ワカクナイ」
きゅっ、とコレットが目を三角形にして、にらんでくる。
あかん、ジェラシーモードに入っていた。
「コレットって時々めんどくさくなるのよね」
「そんなことないよ。これもまたコレットの良いところだ」
焼き餅を焼くエルフ嫁がかわいらしく、俺は彼女の頭を撫でる。
「まあジロくんってば、いつの間にそんなプレイボーイになってしまったのかしら。村ではあんなに純粋で無垢だった少年が。時間が経つのは早いものだ」
うんうん、とコレットが笑いながらうなずく。
コレットは数十年前、俺がまだ子供だったとき、俺の住んでいた村で医者をやっていた。
そこで俺は初めて、この美しいエルフ少女とで会い、一目惚れした。
とある理由でコレットは村を追い出された後、数十年して、俺はコレットと再会を果たした。
紆余曲折を経て、彼女は俺の嫁となり、こうして俺の隣に座っている。
「いいなぁ……」
ぽそり、とアムがつぶやく。
「何が良いんだ?」
「ジロくんってばもう。アムはね、コレットばっかり、ジロの昔のこと知ってて、ずるいって思ってるのよ」
コレットがアムの胸中を代弁する。
「バッ……! ち、ちが……」
「違うの?」
「ちが……わない」
ぺちょん、とアムの猫耳が垂れる。
コレットは苦笑すると、
「アム、気落ちする必要はないわ。これからいっぱい、旦那様と楽しい思い出を作っていけば良いのよ。ね、ジロくん?」
「ああ。そのとおりだ」
俺はアムの肩に手を回し、彼女を抱き寄せる。
「ば、ばかぁ……。まだ明るいじゃない……」
目を潤ませながら、しかし頬を真っ赤に染めて、アムが言う。
「ん? 明るいからどうした?」
俺は単に、アムの頭を撫でようとしただけだ。
「……………………はぁ」
表情を一転させ、アムが深々とため息をつく。
コレットがうんうん、とうなずく。
「ジロくん。ない。今のはないわ」
「……コレットぉ」
「よしよし、かわいそうに。ジロくんが鈍感なばかりに」
コレットがアムに手を伸ばす。
アムの頭を優しく撫でる。
「やれやれまったく、ジロくんは鈍感過ぎて困ったもんだ」
「……ほんとよ。ばかっ。ばかっ。ジロのばかっ」
むー、っと恨みがましく、アムが俺をじとっとにらんでくる。
「コレット。アムはどうして機嫌悪いんだ?」
「だめよジロくん。そんなふうにわからないことをすぐ質問するだけだと、いつまで経っても乙女心を理解できないんだから」
だから教えない、とコレット。
「す、すまん……アム」
「……ジロのこと、す、好きだけど。その理由もわからず謝るところだけは、きらい」
ぷい、っと顔を背ける。
「うーむ……」
「乙女心のわからないジロくんであったとさー」
と、そのときだ。
「ジーロさーーーーーーん!!!」
若々しく、活力に満ちた声が、どこからか聞こえてきた。
俺たちのいる1階ホール。北側の壁は大きな窓になっている。
その隣には渡り廊下があって、裏の温泉、竜の湯へ続いている。
竜の湯の方から、3人の女性が、こちらに向かって歩いてきた。
ひとりは声の主である、若い少女。
ふわふとした色紙の薄い髪の毛。
それを三つ編みにして、肩から前に垂らしている。
そして走りながらこちらへやってきているので、彼女の張りのある巨乳が、ばるんばるんと、弾んでいた。
輝くばかりの笑顔を浮かべながら、ぶんぶんと手を振り、そしてぶるんぶるんと胸を弾ませる少女。
「マチルダ」
「ジロさん、お疲れ様です-!」
明るい笑顔でマチルダが、俺に近づいてくる。
そして、
「むむっ! アム、コレット。ずるいですよ!」
マチルダが俺たち三人の前に立つ。
「では失礼!」
元受付嬢の少女が、俺とコレットとの間に、無理矢理おしりを入れてきた。
俺の隣に、マチルダが座る。
「あっ、こらマチルダ。だめよ、ジロくんの隣は私なの!」
「ジロさん。今休憩時間ですよね? 一緒にお風呂いきませんかっ? お背中流しますよっ!」
「もうっ! マチルダ、あなた今お風呂いってきたばっかりでしょう! それにジロくんはお仕事中!」
「むぅ……。良いじゃないですか。休憩中なんですよ? 何をしてもいいじゃないですか……。ねっ、ジロさんっ?」
「ジロくんっ! 職務怠慢ですよっ!」
美少女ふたりが俺の方を向いて言う。
どちらもが比類なき美しさを持っている。
こんなかわいくてキレイな少女たちが、俺の恋人と、そして嫁であるなんて。
それこそ、冒険者をしていたときには、考えられなかった。
「ふふ、ジローはもてもてだね」
くす、っと笑うのは、童女と見まがうほど、幼い女の子だ。
赤ふちのメガネをかけている。
長い紫の、ちょっとぼさついた髪。
幼い見た目に反して、妖艶な雰囲気を持つこの人は、俺の先輩、大賢者ピクシーだ。
先輩とは前世で、地球で同じ大学に通っていた。元カノだったりする。
先輩はソファの背もたれに腰を下ろすと、そのまま俺にしなだれかかってくる。
「ピクシー。あんた重い」
「おや、アム。ごめんよ。しかし妖小人である私の体重は、そこまで重くないと思うんだけどね」
先輩は人間に近い見た目をしているが、その実、亜人だ。
高い魔力適性と知能を持った種族、妖小人。
その種族特性は、成人してもまるで子供のような見た目をしていること。
こう見えて先輩は、500歳以上だったりする。
「…………」
やってきた3人のうち、最後の1人が、俺の前にすすす、と移動してきた。
「あの……。その……。じろー、さん」
俺の前に立っているのは、長身、そして爆乳の黒髪乙女だ。
腰のあたりまで伸びた、艶のある黒髪。
黄色い肌は日本人を想起させるが、その実、人間ではない。
額から伸びるツノが、彼女が人外の存在であることを物語る。
着物の胸部を、まるで富士山のように押し上げている、大きすぎる胸に目を取られながら……俺は言う。
「お、桜華。お疲れさん」
「はいっ……。じろーさん。……おつかれ、さまです」
淡く微笑む桜華。
彼女は鬼であり、数ヶ月前、近くの孤児院から、コレットの経営する獣人孤児院へと引っ越してきたのだ。
大雨で孤児院が壊れてしまったのである。
そこから数ヶ月間、共同生活を送っていた。あやねとアカネは、元々は桜華の経営する孤児院の子だったのだ。
そして桜華は、つい最近になって、彼女と俺は恋人関係になっていたりする。
「…………」
もじもじ、と桜華が胸の前で手を組んで、身をよじっている。
ぶりゅんっ、と擬音が聞こえてきそうなほどだ。
柔らかすぎる乳房が押しつぶされて、ぶるぶると微細に動いている。
「ジロー。どうやら桜華ちゃんは、体に火がついてしまったようだよ」
「ぴ、ピクシーさん……。ち、ちが……」「違うのかい?」
「……あの、……その」
頬を朱に染め、うつむく桜華からは、言いようのない色気を感じた。
「桜華、恐ろしい子……!」
「桜華さん、昨日あれだけジロさんとしていて……すごい体力ですね!」
戦慄するコレットとマチルダ。桜華はさらに体を縮めて、消え入りそうな声で「……申し訳ございません」と言う。
「……昨日も、気を失うまで、その……激しく……あの、申し訳ございませんでした……」
昨晩のことを言いながら、桜華が謝ってくる。
「いや、大丈夫だって。気にすんな。むしろ先にダウンしてすまない」
「……じろーさん」
桜華が自分の下腹部をなでながら、こくん、とのどを鳴らした。
「コレット!」「がってんだ!」
それを見てマチルダと、コレットが立ち上がると、桜華の両脇に立つ。
がし、がしっ、と桜華の腕をつかむと、そのまま俺から引き離そうとする。
「桜華、ごめんなさい。でもジロくんはこの後も仕事があるの」
「そうです! なので少し冷静になりましょう。あっちでアイスクリームでも食べましょう!」
コレットとマチルダが、桜華を連れて、食堂へ消えていった。
「こーゆーときだけ、息が合うのよね。ふたりとも」
アムがため息をついて、やれやれと首を振るう。
「まー、何はともあれだジロー」
隣の空いているスペースに、先輩が滑り込んできて、俺の腕に抱きついてくる。
ラベンダーの花のような、甘い香りがする。
ちらりと覗く薄い胸。彼女が醸し出す大人な雰囲気と、未成熟な体とのアンバランスさに、俺は背徳感を覚える。
「胸をガン見するのはかまわないが、しかしアムがいるのを忘れてはいけない。ほら、彼女が焼き餅をやいているぞ、ジロー」
隣を見ると、アムがぷくっと頬を膨らませていた。
俺と目が合うと、「べ、べつにっ!」とそっぽを向く。
「ジロのばかっ。えっち。ふんだ」
ぺしぺし、とアムが、しっぽで俺を叩くと、立ち上がってどこかへ行ってしまう。
「ふふ。愛されてるね、ジロー」
「なあ先輩。アムはどうして不機嫌になったんだ?」
すると先輩は、苦笑する。
「だめよジロー。そんなふうにわからないことをすぐ質問するだけだと、いつまで経っても乙女心を理解できないぞ」
と、さっきコレットから言われたセリフを、まんま返されてしまった。
「難しいな、乙女心って」
「そのうちわかるようになるさ。なにせ2人の嫁と、3人の恋人とつきあってるんだ。そのうち嫌でも理解できるさ」
ぽんぽん、と先輩は俺の肩を叩いたのだった。
お疲れ様です。
投稿が遅れすみません。書籍化の最終作業をしていました。
おかげで書籍は、アーススターノベル様より秋頃発売できそうです。
来月には発売日のアナウンスが来ると思います。順次情報を公開していきます。
それでは、今後ともよろしくお願いします。




