コネクター
今まで感じた事のない感覚!それは……?
「今の……何なん!?」
「……わからん……」
「じゃー、この感覚って何やの!?」
「俺にもわからん……」
矢継ぎ早に浴びせかけられる利伽からの質問に、俺もそう答えるしか出来んかった。
さっき、いきなり体に電流が走ったような感覚があったと思ったら、今はなんや異物感が体の中にあるような感覚が続いてる。
恐らく利伽も同じなんやろう。
初めての感覚、今までに感じた事のない気持ち悪さに、俺も利伽に答える事が出来んかった。
ただ、利伽が焦ったように質問するんも、俺の中にあるこの焦りみたいな感覚と同じ気持ちから来るもんなんは解った。
―――何か善くない事が起こってる。
何や確信めいた物だけは、ハッキリと認識することが出来たんや。
焦りと不安でオロオロするしかない俺達に、更なる未経験の感覚が襲ってきた。
(龍彦―――利伽ちゃん―――聞こえるかしら―――?)
突然頭の中に響いた、聞いた事のある声。
俺達は何がなんだか訳が解らんよーになって、二人して周囲を見回した。
「ばあちゃん!? ばあちゃんか!?」
「えっ!? おばあちゃん!?」
そう、俺の……俺達の頭に響いた声は、間違いなく俺のばあちゃん「不知火 禊」の声やったんや。
(そうやで―――。おばあちゃんやで―――)
緊迫感に襲われてる俺達を尻目に、頭の中に話しかけるばあちゃんの声は拍子抜けする程のんびりしたもんやった。
「おばあちゃん、利伽です! これは……どーなってるんですか!?」
慌てたみたいに利伽がばあちゃんに問いかけた。
(あら―――利伽ちゃんか―――。久しぶりやな―――。元気にしてた―――?)
「えっ!? ……えぇ……まぁ……」
しかしばあちゃんは至ってマイペースや。
そしてそのペースに、利伽はまんまと嵌まってもーてる。
「ばあちゃん! そんなんえーから、知ってる事説明してくれや!」
そんな二人の間に割って入って、今度は俺が問い掛けた。
(ほんまに―――龍彦はせっかちやね―――。じゃあ、順番に説明するわ―――)
ばあちゃんは少し残念そうにそう答えた。
こんな時やけど、ばあちゃんは久しぶりな利伽との会話が楽しかったんかも知れん。
でも色んな意味で、今はそれどころやなかった。
(まず―――今こうやって話をしているのは―――不知火と八代の家に伝わる―――念話って技術なのよ―――)
今まで色々と修行や儀式で教えられてきたけど、そんな技は初めて聞いた。
でも実際こうやって話出来てるんやから、受け入れるしかない。
(念話は口に出して話さんでも―――心の中で“話し”をすれば出来るからね―――。考える事とは違うから―――注意しーや―――)
なるほど……心の中で会話出来るけど、思考とは別個って事か。
(それから―――あんた達が感じてる感覚は―――この山の何処かに―――化身が忍び込んだ信号やで―――。あんた達―――手分けして早く探しーや―――)
(わかった、おばあちゃん! それで何か探す手掛かりとかあるん?)
流石は利伽。
俺と同じくらい動揺してたはずやのに、もう立ち直って念話にも対応してる。
(あんた達の―――『コネクター』としての能力は―――さっき私が解放しときました―――。今のあんた達には―――化身が薄ぼんやりと光って見えるはずやで―――。見える光の強さは化身の力によって違うけど―――今侵入してきた位の強さやったら―――薄ら見える程度ちゃうかな―――?)
ばあちゃんには、離れた場所からそんな事も解る力があるんか。更にビックリや。
それより「コネクター」って何やねん。
(うん、解った! やってみる!)
(お、おう、解った)
でも、利伽はそんな疑問、後回しにしたみたいやった。
即断即決で答えた利伽に釣られたように、俺もそう答えた。
そこで一旦念話は中断して、俺と利伽は顔を見合わせ頷き合うと互いに別方向へ駆け出した。
御山への、化身の侵入!それを探し出す為に行動を開始した龍彦達は!?




