封印師
学校から戻った俺と神流は、ある部屋に向かった。
俺と神流は、本殿裏にある“秘密の”小部屋へと向かった。
「ばあちゃん、ただいま戻りましたー」
「おばあちゃん、ただいまー」
俺達は部屋の入り口である引き戸の前で、声を揃えて帰宅の挨拶をした。
相手はそのまんま、俺達の祖母「不知火 禊」や。
「はいは―――い、おかえり―――。入ってえーよ―――」
おっとりとした優しそうな声が中から聞こえた。
俺が戸を引いて開け、二人して次々と中に入る。
目の前には、ばあちゃんが静かに佇んでる。
齢九十になるはずのばあちゃん。
けど目の前におるんは、どー見ても二十代半ば、多目に見ても三十代そこそこの“綺麗なお姉さん”や。
ただ少し普通やない所は、ばあちゃんの綺麗で長い髪が、美しく輝く銀髪やって事かな。
「もーだいぶ暑くなってきたね―――。学校はどうやった―――?」
でも、その話し方は所謂年より臭いもんで、おっとりと間延びしたもんや。
それでも普通の人から見たら、単に性格ののんびりした人にしか見えんやろ。
「まー、俺は普通や。ってゆーかばあちゃん、昨日も同じ話したで?」
「あら―――? そうやったかな―――?」
そう言って可笑しそうに笑うばあちゃんは、やっぱり高齢には見えへん。
けど、ばあちゃんは俺らが物心付いたときから、ずーっとこの姿や。
流石に俺らも、気付かざるを得ん。
―――ばあちゃんは普通やないって事をや。
修行や儀式を始めだして、漸く知った。
ばあちゃんは、この不知火山の「封印師」やっちゅー事を。
そんで、封印してるのは、この山の霊穴。
霊穴は地脈が溢れ出す所で、この山の“強すぎる”地脈を抑えてるんやそうや。
昔、小っちゃかった頃、一回聞いたことがある。
―――他の御山はそんな事してへんのに、なんで不知火山だけそんなんしてるん?
ばあちゃんは笑いながら教えてくれたな。
―――それが昔からの“しきたり”やからやよ。
“化身”なんてもんは、見た事もない。知らんもんは知らんのや。
けど、不思議な事が世の中にあるってゆー事は……知ってる。
今夜見廻りに向かう神流に“あの事”を託す。




