異層世界決戦 ―そうは問屋が……―
この霊剣蛟竜は素晴らしい出来や!これやったら勝てる!……筈やってんけど……。
今俺の手には、俺だけの霊剣「蛟竜」が握られてる!
まだ一振りもしてないけど、こいつの強さは握る柄からビンビン伝わってくる!
最初に作った太刀と違い、こいつは威力やなくて切れ味を優先させて作ったつもりや!
元々、引くことで切れ味を増す日本の剣は、剣閃が鋭い程にその威力を高める。
強度を無視して、薄く薄く刃を研いでいくのはその為や。
本来やったら、すぐに刃毀れしてまうんやろーけど、達人はその腕で刃の傷みを軽減して、幾度も振るうことが出来る。
けど当然、俺は達人やない。
でも今手にしてる剣は霊剣や。
切れ味が落ちたら、再び具現化したら良ーんや!
―――俺は単純にそう考えてたんやけど……。
「……あれ……?」
「タッちゃん!?」
蛟竜を構えた姿勢で急に体勢を崩した俺に、ビャクが慌てたような声を上げた。
何や、全身の力が急激に抜けた様な、そんな錯覚に襲われてフラッと目眩がきたんや。
目眩だけやない。
蛟竜を握る手も、踏ん張る足も、兎に角全身から力が抜けるようやった。
(龍彦―――だから気ーつけーやーゆーたやろ―――)
またまたばあちゃんの声が俺の頭に鳴り響く。
基本ばあちゃんの声が聞こえるときは、良くない事の前触れやと俺は学習してた。
(言ーたって……何を?)
少しでも気を抜いたら、意識をもっていかれてまいそうや。
(さっきの霊器と今の霊器―――あんたの強い思いが籠ってる反面―――そんだけ強力な武器になったんやけどな―――それだけあんたの霊気を大量に使てる訳や―――。そんなん連続で作ればどうなるか―――あんたでもわかるよな―――?)
俺はハッとなって固まってもーた。
無我夢中になりすぎて、自分の状態さえ把握出来てなかったんや……。
(それからな―――あんた今の霊器作るとき余計なこと考えたやろ―――? 速く動くーとか―――鋭い切れ味ーとか―――)
(なんでそんなん分かんねん!?)
(龍彦―――あんたの事なんてみーんなお見通しやで―――)
怖! すっげー怖いわ、ばあちゃん!
けど、ばあちゃんの言ーてる事は概ねその通りや。
でも普通強い武器作るときって、そんな事考えるよな!?
(霊器はただの武器やなくて―――霊気によって具現化された武器やで―――。いちいちそんなん考えんでも―――使う霊気によって威力や仕様が変わるんやで―――)
えっ!? そうなん!? 最初に造り出すときの設定が全てと違うのん!?
(必要な能力を―――必要な時にだけ付与出来るのも―――霊器の特徴なんや―――。そもそも化身に対して良く斬れるだけの刀やったらな―――日本には『霊刀』呼ばれる武器がゴマンとあるわ―――)
それは俺も耳にした事がある。
実物は見たことが無いけど、最も有名なんは「妖刀村雨」とか「神剣七支刀」か?
(あんたはその霊剣作るときに―――すでに色んな付与してもーてるんや―――。つまり―――なーんもせんでも―――大量の霊気を使い続けてるっちゅーことなんやで―――)
な……なんじゃそりゃー!!
それやったら、立ってるだけでいつかダウンしてまうっちゅーことやんけ!
確かに今更、新しい霊剣なんか作れそうにない。
それに2回も霊剣作ったから、今すぐにでも倒れそうや……。
時間がないのはよー解った!
それやったら、短期決戦で仕留めるしかないっちゅーはなしや!
……勿論、まだ一合も打ち合ってない。
蛟竜が奴に通用すればの話なんやけどな……。
短期決戦!一撃に掛けるしかない!……この蛟竜が通用すればやけどな……。




