異層世界決戦 ―具現!霊剣 蛟竜―
黒鬼を倒す!その為には強い霊器を具現化させなあかん!
俺は修行を活かして、これまでにない集中力を高めた。
それに呼応して俺の右手には、今までに無いほどの霊気が集まり出した!
(……彦―――注意し―――……。霊気を集め……ぎると―――その分制御……難いんやからな―――……)
まるで遥か彼方から話しかけてるように、聞き取りにくいばあちゃんの念話が聞こえたけど、今はそれどころやない。
何よりも俺は初めての経験に、気分が高揚して回りの声が聞こえんかった!
これ程集中を高めた事もなければ、これだけの霊気を集めた事もない!
今集めた霊気を武器に具現化させたら、一体どれ位強力な武器が出来るんや!
俺は一気に、霊気で武器を造り出すイメージを頭の中に浮かべた!
―――そうや、武器……刀とか太刀や!
―――目の前の黒鬼を一撃で倒せる位強くて強力な奴や!
手に集まる霊気が、その形を変えていく!
俺の思い描いた通りの武器が、俺の右手には出現した!
―――ズシッ!
「うおっ! 重たっ!」
霊気の武器が出現したと同時に、その重さに俺は慌てて両手で柄を握り武器を支えた。
両手を使ってやっと持ち上げる事が出来るほど、巨大で長い、立派な太刀が具現化したんや!
「……えーっと……」
「タッちゃん……」
「……」「……」
持ち上げる度に足元がふらつくほど重い太刀に、俺は言葉を失い、それをみたビャクも掛ける言葉を無くし、蓬と黒鬼に至っては言葉すらなかった。
勿論、こんなに巨大で長い太刀を想像した訳やない。
(あーあ―――やってもーたか―――。初心者は大抵―――やらかしてまうんよね―――……)
(ど、どういう事やねん!?)
俺の武器が、俺では到底扱えるレベルの代物やないと踏んだ黒鬼が、同じように巨大な黒棍棒を繰り出してくる!
長すぎて重すぎるその太刀では、辛うじて防ぐだけで精一杯やった!
(龍彦―――当てたろか―――? あんた―――武器を具現化する時に―――ただただ強い武器をって望んだんちゃうか―――? それこそ―――目の前の化身を一撃で倒せる様なってな―――)
(なんで解ってん!?)
全くばあちゃんの言うとおりや。
でも普通はそう考えて、そう願うよな?
(ハッキリ言ーわ―――。あんたの持ってる武器がその化身に当たったら―――その化身は一撃で倒せるかもしれんな―――)
(なんや!? その当たったらって!?)
黒鬼の攻撃は激しさを加速度的に増していく!
ろくに振り回されへん俺の太刀では、盾として使うのが精一杯やけど、強度だけは高いようや。
黒棍棒の連撃を受けてもビクともせん。
(強力で―――黒鬼みたいな大きな化身も一撃で倒せるなんて武器はな―――巨大で長くて―――重量のある物になるんは解るやろ―――? 単純に「倒す」なんて想いを込めたら―――そら今あんたが持ってる様な武器になるわな―――)
うっ……。
確かに「倒す」なんて、今考えたら余りにも安直な思いしか頭になかったわ……。
(『霊器』はな―――何でも願いを叶えてくれる便利道具やないで―――。あくまでも現実的で―――自分が使える武器を想像せんでどーするんよ―――)
これは俺の考えやけど……。
例えばミサイルとか、強力な爆弾なんて想像しても、それを具現化するのは難しいって事や。
もし可能でも、強力過ぎれば被害は甚大やし、何よりも自分の制御出来る範疇を越えとる。
つまり『霊器』も、結果だけを想像するんやなくて「どんな武器にするか」っちゅーことを詳細に設定していく作業が必要って訳や。
(それからな―――『霊器』には名前付けた方が良えで―――。愛着も湧くし―――具現化もしやすくなるからな―――)
(解った! やってみる!)
俺は渾身の力を振り絞って、攻撃を仕掛けてきてる黒鬼の棍棒を持ってた巨大太刀で弾いた。
確かに威力はあるみたいで、黒鬼は大きく体勢を崩して後ずさった!
―――ここやっ!
俺は持ってた太刀を消した!
造り出すんは結構大変やけど、消すのは意外なほど簡単やな。
そして再び俺は集中の世界へ飛び込んだ!
(龍彦―――……い忘れた……どな―――……そう強い武……なんか……も具現……たら―――あんたぶったお……で―――……)
またばあちゃんの声が遠くから聞こえる。
けど俺はそんなんに気ー取られへんかった!
今は目の前の化身を倒すだけの力を手にする必要があるんや!
右手に霊気を集めながら、俺は詳細に「出来上がる物」のイメージをした……。
ベースは勿論「太刀」や。
長さは鍔本から剣先まで5尺程……。
柄は両手で持つことも考えて1尺程が適切か……。
元幅は2寸……一般に日本刀の倍くらいや……。
先幅も一寸半。
でも切れ味とスピードは優先したい。
元重は2分半、先重は2分や。
大きさは、さっきまで手にしてた太刀の3分の1程度に抑える。
けどこれで、俺が扱える最大級の太刀が具現出来る筈や!
手の中の霊気が形になっていく。
―――すらりと伸びた刀身。
―――俺の手にしっくりと馴染む柄。
―――重量は、その長さに似合わん軽さや。これやったら、素早く切り伏せられる。
俺の、俺だけの「霊剣」が、その姿を表した!
作った俺がこう言うんも何やけど……。
―――美しい! 見事としか言えん太刀や!
思わず自画自賛した俺の頭に、この「霊剣」の名前が浮かんだ!
「……蛟竜……こいつは『霊剣 蛟竜』や!」
霊剣蛟竜!俺にしては良い出来や!それにこいつは……強い!




