凶報三連 第二弾(上段)
次は凶報第二弾「凄く悪い話」か「悪い話」か……。どう転んでも悪い話やから、ほんま気が乗らんわー……。
蓬 の事は気掛かりやけど、今の俺はすぐに蓬んとこへ 駆け付ける訳にはいかんかった。
何故なら俺には、後二つの“凶報”が残ってるからや。
全部聞かなあかんみたいやし、何より俺も気になってしゃーない。
「それでは―――龍彦チン―――次は―――『悪い話』―――? それか―――『めっちゃ悪い話』―――?」
だから、何でそんなに嬉しそうやねん!?
なんかだんだん、リューヒが意地の悪い神に見えてきたわ……。
「……じゃー……『めっちゃ悪い話』で……」
正直、蓬の容態と、その処置について聞かされた事はかなりショックやった。
そのショックを受けた話より「悪い話」ちゅーんを聞かされるんは気が重い。
けどもー、ここまで来たら嫌な事は先に済ませとこうって考えになったんや。
……まー、その後に待ってる話も「悪い話」なんやけどな……。
「ほっほ―――龍彦チン―――勝負に―――出ましたな―――」
ほんっっま、嬉しそうやな、リューヒさん!
「ではでは―――この件は―――うちから―――話させて―――もらいます―――」
何がそんなに嬉しいんか、リューヒはまた、一人でパチパチと拍手して喜んでる……。
それにばあちゃんは乗っからんで、何処か呆れた様な表情やったんがまだ俺には救いやった。
「実は―――龍彦チンの―――友達の―――吉田と言う子なんやけど―――……」
―――吉田!? 吉田 勝人か!?
何で今、しかもこの場で、勝人の名前が出てくんねん!?
「伝え聞く所に依ると―――彼は―――化身です―――」
―――……は?
此処に来て、驚かんかった時も、絶句せーへんかった事も無い。
正に驚きの連続や! 驚きの速射砲やー!
……ともかくそれ位驚きに満ちてたんやけど、今回リューヒが放った一言は今までの群を抜いとった。
「ちょ……ま……吉田……? ……はぁ!?」
努めて冷静に、何とか言葉に……いや、念にしよー思たけど、流石に今回の事は最悪で無理やった。
「正確には―――吉田と言ー子は―――化身に―――精神支配を受けてて―――完全に―――その化身の―――僕となってます―――」
吉田が……勝人が、化身の僕やって!?
今日俺が会って話した勝人は、いつも通り普通の勝人やった……。
じゃー、いつその化身に“精神支配”っちゅーやつを受けたんや!?
「……いつからや……? いつから勝人は精神支配されとってん?」
「うちが―――改めてした―――見立てでは―――恐らく―――1週間位前からかな―――?」
1週間!? そんなに前から!?
「そ、そんなん、全然気付かんかったで! 教室でも、問題なんか起こしてへんし!」
俺が気付かんかっただけ……って言われればそれまでや。
1週間前なんか、俺も地脈の力に目覚めたばっかりやったし……。
まさかそんな身近に、化身と関係してる奴が居るなんて、思いもせーへんかったわ。
「龍彦―――化身はな―――ただ暴れるだけが目的やないんやで―――。息を潜めて―――僕を増やして―――粛々と目的を果たす輩の方が多いんやで―――」
そう言われれば、俺に返す言葉はない。
元々、それほど化身の生態や目的について詳しい訳や無い。
「……じ、じゃあ、勝人は何か目的があって、行動してるっちゅーんか?」
俺の頭の中には、アホみたいな勝人の、能天気な笑顔しか浮かんで来ーへんかった。
未だに信じられへん。
「そうよ―――自然に―――振る舞ってるのは―――もう精神支配が―――侵食しきってるからやねんで―――」
今日、俺の前で笑ってた勝人も、喜んでた勝人も、礼を言ってた勝人も、全部精神支配を受けた化身の操り人形の勝人やっちゅーんか!?
「彼の―――目的は―――一言で言えば―――釣りよ―――」
「つ、釣り!?」
釣りって、何釣んねん?
まさか魚って訳はないよな!?
それやったら、俺も手伝ったるんやけど……。
「そう―――釣りよ―――化身の餌を―――釣る役目ね―――」
け、化身の……餌……!?
「その、餌っちゅーのは……」
自然と喉がなる。
聞きたくない想像が頭の中を占める。
「その化身の―――餌は―――人間よ―――」
―――っ!!
一番当たって欲しくない想像が……当たってもーた……。
ひ……とく……い……?人喰いの化身やで!?そんなんほんまにおったんか!?




