表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コネクト! ―地脈に纏わるエトセトラ―  作者: 綾部 響
地脈と地脈接続師 【第二幕 人喫の幽鬼】
22/51

座学3 そして聖洞会

竜洞会に対立する組織“聖洞会”。その目的は?

 人間の形成してる世界に、「善悪」なんちゅー単純な図式は、殆ど存在してない。

 対立してる二つの組織があっても、どちらが正しいかとかやなく、どちらがより“支持”を集められるかでその時点での優劣が決定し、優勢な方が劣性な方を“悪”と断じるのが一般や。

 劣性な方も、相手を罵るやろうけど、支持を受けてない……それか支持が少数派の声は殆ど拡散されへん。

 所謂「負け犬の遠吠え」になってまうんや。




「“聖洞の……清き力……を解放して? 世界に真の……?” 長っ! 長いわっ! 覚えられへんわっ! もう“聖洞会”で良ーやん!」


「そら―――無理なんやわ―――。彼等(あのこたち)はその名称―――使われへんねんで―――」


 一瞬……ばあちゃんに、邪悪な……いやいや、意地の悪い気配(もん)を感じた。


「……おばあちゃん……それって……まさか……」


 利伽(りか)も何かを感じ取ったみたいで、その顔には驚愕が浮かんでる。


「そやで―――利伽ちゃん―――。竜洞会の全勢力を以て―――彼等(あのこたち)が付けそうな名称―――先回りして(ことごと)く登録したったんよ―――」


ばあちゃん達(あんたら)、何やってんねん!?」


 思わずツッコンでもーた……。

 それは巨大な権力を無駄に最大限駆使した、最悪な“嫌がらせ”やで……。


「あの時の―――彼等(あのこら)の悔しそうな顔を思い浮かべたら―――……」


 そう言うばあちゃんの表情は、この上なく嬉しそうやった……。


「でも、おばあちゃん。それやったらその“聖洞の清き力を解放して、世界に真の繁栄をもたらす会”が言ーてる事にも一理あるんとちゃう?」


 確かに、地脈を塞いでコントロールする理屈も解らんでもないけど、地脈を解放したままコントロール出来るんやったら、そっちの方が良ーに決まってる。

 すぐには無理かも知れんけど、繁栄に向かう努力やったらトライする価値はある。

 少なくとも、竜洞会よりは前向きに見えた。

 しかし利伽は、あのクソ長い名称を一発で覚えたんやな……。


「もー略称で良えで―――。利伽ちゃん―――本当(ほんま)に名称通りの事を望んでるんやったら―――うち等も―――リューヒも―――協力は惜しまんねんで―――」


 その言葉で、俺と利伽はハッとさせられた。

 もっともらしい、耳障りの良ー言葉で相手の警戒心を解く……詐欺の常套手段やんけ。


「“聖洞会”は―――地上に住んでる全ての人達に―――地脈の力をとことん(徹底的に)使わせて―――行き着くとこまで行かせるんが目的なんよ―――」


 行き着くとこまで……行ったら……その後は……どうなるんや……?


「おばあちゃん……行き着くとこまで行った人達は……どうなるん?」


 俺と(おんな)じ疑問を、利伽はばあちゃんにぶつけた。


「それは誰にもわからんねんで―――。誰も試した事ないし―――途中で大抵破滅か―――崩壊してまうからな―――……」


 ゴクリ……と、俺も利伽も喉を鳴らした。

 漠然とやけど、“聖洞会 ”の言ってる様な行き着くとこまで行く行為……破滅や崩壊の先にある物が、至上の幸福とは思えんかった。


「あるかどうかわからん至上の幸福か―――現状維持の為の封印か―――……。どっちが正しいなんてうち等には解らんけどな―――。少なくとも今の幸福と―――それよりちょっとだけ得られる幸せの方が貴いと思って―――うち等はうち等のやり方を通してんねんで―――」


 俺は、少なくともばあちゃんの意見に賛成やった。

 現状維持が、一概に悪いなんて言われへん。

 維持する為にも、多大な労力が必要なんやから。


「だいたい彼等は(あのこらは)―――行き着いた世界がどーなっても良ーって集団やからな―――。その考えもうちは好かんのや―――」


 地脈を利用して、兎に角行き着くとこまで世界を向かわせるんが目的の集団……。

 確かに、そんなとこに地脈を利用される訳にはいかん。

 ……まあ、だから俺に何が出来るって話やないけど、少なくとも俺はそう考えたんや。

竜洞会と聖洞会。どちらが正しいかではなく、どちらを選ぶのか。少なくとも聖洞会に同調は出来ない龍彦達に、不知火山と八代山の更なる秘密が語られる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ