拍子抜け
化身を見つけた利伽との合流を果たす龍彦だが……。
無我夢中で山を駆け登り、八代山の方へと向かい駆け降りる。
馴れてるとはいえ、夜の山道は視界が悪く何回もコケそうになった。
不知火山と八代山の境目に到達して、もう一回頭の中で周囲の地図を思い描いて利伽の場所を確認した。
利伽は、俺がおる位置の丁度反対側におるみたいや。
俺は再度、山道を駆け登る。
そんなに高い山やないとはいえ、こう何度も登り降りしたら流石に息が上がってまう。
八代山を登りきった所で、逸る気持ちを抑えて大きく深呼吸して一旦息を整えた。
俺の息遣いで、化身に俺らの場所を知られんよーにする為や。
(因みに龍彦―――化身にもあんた達の霊気―――……体から出る光は見えてるからな―――。息とか整えても―――あんまし意味ないで―――)
そーゆー事は早よ言えよ!
俺は息を整えるんを諦めて、利伽の方へと駆け出した。
僅かに下った所で茂みに潜んでる利伽を見つけて、その隣に出来るだけ静かに合流した。
「どんな感じや?」
利伽にそう聞きながら、利伽が見つめている先に視線を凝らす。
―――本当や……何かが薄らと光ってる……。
「……うん……おばあちゃんの言ってる通りみたい……。向こうも此方に気付いてるみたいで、さっきから同じ距離保たれてるわ」
言われてみれば、化身やと思う光はさっきから大きく動こうとしてへん。
茂みや木の陰に隠れてチラチラとしか見えへんけど、なんや此方を警戒してるみたいな動きや。
しかし……あれが“化身”って奴か!?
小っちゃいし、動きもチョコマカした感じやし……あれやったらまるで……。
「……なんか……猫とかネズミみたいやね……」
全く同感、その通り。
仔猫とか野ネズミとか、小動物の大きさに動き……化身ゆーても、気にする程やないんちゃうん。
(化身はな―――大きさで判断出来んのやで―――。“化身”言ーからには化けよるんやで―――。油断しなや―――)
今俺、念話使ってなかったやんな!?
怖! ばあちゃん、怖!
ばあちゃん、俺の心を読んだんかいな!
(龍彦―――……ばあちゃんは何でもお見通しなんやで―――……)
だから怖いっちゅーねん!
なんや目の前の小動物より、ばあちゃんの方が化身やと思てきたわ……
見た目通りなのか、それとも大化けするのか?初めての化身との遭遇で戸惑う龍彦達に、禊からある提案が……。




