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現実ゲーム  作者: フリー88
生徒会長選挙編
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生徒会長選挙

「はぁ、はぁ・・ 」


 ショッピングセンターまであと僅か100メートルほど。全速力で走ったせいで息切れは激しく、汗がだらだらと湧き出てくる。

 一刻も早く夢葉のもとに着かなければならない。もし、悪い人に襲われていたのなら僕の責任であってもどうしようもなく警察とかに任せるしかないのだ。それでも足は止めない。こうすることで自分の犯した罪を許してもらおうという自己満足だったのかもしれない。


『ぷるるる・・ぷるるる・・』


 携帯電話が再びなった。ズボンのポケットから取る時に焦って落としてしまいそうになるが、しっかり掴みなおして電話に出る。


「あ、もしもし。お兄ちゃん 」

 電話は夢葉からの電話だった。それは深刻な声と思いきやむしろ明るい感じの声が返ってくる。

 どうしたのだろう。僕が出る幕なく、犯人があっさりと見つかって事件が解決したというのだろうか。否、それでは一応犯罪にあったのだから解決したとはいえ明るい声が返ってくるとは考えにくい。

 そのとき、ものすごくくだらない事件の結末の予感が脳内を過ぎった。


「ごめーん、悪い人に襲われたんじゃなくて道案内してただけみたいだった 」

 やっぱりその辺りのオチだろうと思った。


 詳しく聞くとあるお爺さんに服屋の場所を訪ねられて、口で伝えるのは難しかったから直接伝えに行ったらしい。その隙にちょうどトイレから出てきていなかったから誘拐とかと勘違いしたということだ。

 早とちりをした夢葉も夢葉だが、トイレの前で待っておくと言っておきながら勝手にいなくなった新田が悪いと思う。ともあれ、何事も無く新田が無事だったことはよかった。


「とりあえず、もう近くまで着ちゃったし、また僕も合流するよ。さっきは用事って言って帰っちゃってごめんな 」

「ほんとにお兄ちゃんは勝手なんだから。でも許してあげるよ。だってお兄ちゃんだもの 」




「いやぁ、前での演説は緊張するな。もう心臓が跳ねまくってちょっとしたことで死んでしまわないか心配になるぐらいだよ 」


 いよいよ、選挙も最終日となって投票前の演説を残すのみとなった。正直なところ今までの校門前でのチラシ配りも大事な作業の1つだが、たった1回の演説がその何日にも匹敵するぐらい大事であることは知っている。

 僕は投票する側だったとき、ある程度まともな立候補者でどちらにするか迷った時は演説の出来で判断するようにしていたからだ。これは決して僕1人に限ったことではなく多くの人がそうしているにちがいない。


 周りの手伝いもあって演説の原稿は書けたしそれなりに自信もあるのだが、いざ演説のときに噛んでしまわないかとか心配なことは多い。今、体育館のステージ上では演説は始まっており、立候補ナンバー1番の岩清水秋雄が演説をしている。次は僕の番だ。


「それでは次は立候補ナンバー2番の大庭希くんどうぞ 」

 原稿を見て確認しているうちにあっという間に岩清水秋雄の演説は終わった。どんな内容かすら耳に入ってこなかったが今大事なのは自分の出せるすべてを出すことだ。


 大きく深呼吸をしてできるだけゆっくりとステージの中央に行く。

「こん・・ 」

 始めのこんにちはと言おうとした時点で大きなミスをやらかしてしまった。マイクのスイッチが入っておらず音を取らなかった。ところどころで笑いが起きている。


ーどうしようー


 頭の中が真っ白になった。原稿があるのに次に言う言葉が何か分からない。冷静になれ、冷静になれと言い聞かせるごとに余計に冷静ではなくなっていく。


 ふと、真剣に、不安そうにこちらを見つめる新田の顔が見えた。そのすぐ近くには笑った石動の顔もある。僕はみんなに支えられてここまで頑張ってこられた。この2人だけでなくクラスメートや僕を応援してくれるほかの学年の人々。家では夢葉にも。


 ここで僕が頑張らなくてどうするんだ。もう1度大きく深呼吸して今度ははっきりと

「こんにちは」

 と言えた。その後も不思議なほどにすらすらと言葉が出てきた。


 僕がこの選挙に参加したのは神春さんを取り戻すためで今でもものすごく大事なことだ。だが、僕はこの選挙を通じて大きな事を学べた。それは仲間の大切さ。

 ほんとにありがとう、みんな。




「ってことで当選おめでとー 」

「おめでとう 」

 次の日の朝、登校すると入り口すぐの掲示板のところに選挙結果が張り出されていた。結果を見る前に掲示板前で待ち伏せをしていた石動と新田によって結果を知ってしまったが、自分の目で確認しても間違いない。

『今期生徒会長;大庭希』

 待っていなかったかもしれませんが、長らくお待たせいたしました。読んだかたはいきなり選挙終わって、「あれ?」とかなったかもしれませんが、諸事情によりそうしました。

 諸事情というのはもともと生徒会選挙でこんな長く引っ張るつもりは無かったのに長くなってしまったからということです。つまり、長く神春さんが出せなかったんです。

 私の気ままに書いているものなので不定期更新になったりいろいろ駄目ですが暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

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