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現実ゲーム  作者: フリー88
生徒会長選挙編
30/43

まさか家出じゃないでしょうね。

「ふーん、大庭の言いたいことは分かったわ。」

 僕が新田に説明すること10分ほど。ところどころに相槌を打ちながら聞いて、すべて話し終わるとまず彼女はそう言った。どうやら理解してくれたようだ。何と僕の周りは物分りがいい人ばかりなのだろう。石動といい、神春さんといい。僕は一瞬感動しかけたが。


「ところであんたの部屋って案外きれいよね。クマのぬいぐるみがあるのなんか女の子っぽいじゃない。」

 なぜにいきなりそんな話!?今僕はとんでもないことを話して、ついでに言うならば新田はさっき俺のこと好きです宣言したのに。

「案外はひどいし、クマのぬいぐるみは夢葉からのプレゼントだし・・・・ってそんなことはどうでもよくってだなぁ。お前本当に僕の話を理解したのか?とてもそういう反応には見えないんだが。」

「えぇしたわよ。大庭がついに頭がおかしくなっちゃったんだなぁって。だってそうでしょ?今のあなたのゲームがどうこうって話しも私のことを彼女とか妹さんに言ったことも。あのときはそう言わなければいけない理由があるのかと思ってあなたに合わせてあげたけど。あっもしかして勘違いしてないでしょうねぇ。あんたのことなんか好きになるはずないからね。」


あれは僕に合わせただけだったのか。恥ずかしそうに言ったものだから本気で勘違いしていた。さてそんな話は関係なくて今大事なのは夢葉の誤解を解くことだ。それならばゲームのことを理解してくれなかったことも僕の頭がおかしくなったと思われたこともこの際どうでもいい。ようするに新田に僕たちが付き合っていることを否定してもらえればいいのだから。

「それで私は妹さんを説得すればいいの?冗談だったって。」

 僕の意図は大体理解はしてくれているようだ。ならば話が早い。僕たちは早速夢葉の部屋に行った。


『コンコン』

 夢葉の部屋のドアをノックしてみるが返事はない。電気も点けていない。今回のは相当重症のようだ。真っ暗な部屋の中、布団に潜り込み泣いている夢葉の姿が想像される。

「入るぞ。」

 このまま部屋の前で立ち往生していても仕方がないので返事は無くとも勝手に入っていく。

「あれ?」

 廊下の光さえなければ真っ暗なのは想像通りだが、その部屋のどこを見渡しても夢葉はいない。念のため本当に布団の中にいないかやベランダにいないかなど確認したがやはりいない。あの夢葉が流石に家出はしていないだろう。そう思い込もうとはしてみるが、心の奥底を嫌な予感がよぎる。

 そのとき机の上に1枚の置手紙があるのを見つけた。この置手紙、本当に家出なのか?まさか「しばらく家を開けます。探さないでください。」みたいな定番セリフが書いてあるんじゃあないだろうなぁ。

「ねえ、それってまさか・・・・。」

 新田も僕と同じ嫌な予感がしたのだろう。震えた声でそう言う。

 僕は恐る恐るそれに手を伸ばし、表を向ける。横の新田は祈るような目でこちらを見る。

『話しがあります。リビングに来て下さい。』

 どうやら僕たちの心配は杞憂に終わったようだ。


 気持ちを再度整えなおしリビングに向かった。

『コンコン』

 リビングのドアをノックするのは何だかおかしい気もするが一応大事な話しをするのでしておいた。

「どうぞ。」

 すぐに夢葉のその声が聞こえてきた僕たちは、目配せをしてドアを開けた。


「ハッピーバースデイ!!お誕生日おめでとう、お兄ちゃん。」

「えっ?」

 リビングに入った瞬間クラッカーの音と共に夢葉の予想外の言葉が飛んできた。周りを見渡しても折り紙とかで作った飾りでリビング中が装飾され、とても重々しい話しをする気配がない。

 ハッピーバースデイと言われて何のことか考えてようやく思い出した。今日6月16日は僕の17歳の誕生日だ。だが、それにしてもどうしたのだろう。あんなに怒っていたのがこんなことをするなんて。


「その・・・・もう機嫌は直ったのか?」

「何を言っているの、お兄ちゃん。そりゃーショックは多少は受けたけど怒ってはいないよ。だってお兄ちゃんにもいずれ彼女はできることは分かってたもん。だからね、私はお兄ちゃんの愛人になるの。」

 彼女から愛人に目標が変わったのは進歩したのかしていないのか微妙なところではあるが、怒っていなかったのなら良かった。あれ、待てよ。またしても疑問が浮かび上がってくる。

「じゃあ、どうして怒ったふりなんかしたんだ?」

「サプライズパーティーがしたかったの。本当は私が早く帰ってきて準備するつもりだったんだけど部活で遅くなっちゃって。それでちょうど良かったから利用させてもらったの。」

 なるほど、始めっから完全に夢葉の手のひらで踊らされていたというわけか。こんな案を思いつくなんて、流石わが妹、あっぱれだ。

 ともかく僕が彼女にかけてあげる言葉は1つだ。


「ありがとな、夢葉。」

 やさしく頭をなでてやると夢葉は目を細めて幸せそうな顔をした。

遅くなりました。もうそろそろ期末試験ということでもしかしたら更新スピードが遅くなるかもですが、よろしくお願いします。(テスト期間中は逆に更新できるかも笑)

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